富士通が東急建設・北野建設とFTP再開発現場で建設工程管理支援AIの実証実験を開始

富士通株式会社は、東急建設株式会社および北野建設株式会社と共同で、建設現場の工程やタスクの抜け漏れリスクを減らすAIの実証実験に乗り出しました。舞台となるのは、富士通が神奈川県川崎市で進める再開発拠点「Fujitsu Technology Park」の建設現場です。
期間は2026年8月3日から12月25日までとなっており、複雑化する現場運営の高度化と、熟練者が持つ知見の継承を両立させる狙いがあります。多数の協力会社や資機材が関わる現場では、工程管理から資材手配、申請手続きまでの業務が複雑に絡み合っており、その円滑な連携をAIで支える取り組みとして位置づけられています。
人手不足が現場管理を圧迫
建設業界では人手不足や労働者の高齢化が進み、経験豊富な現場監督への業務依存が長年の課題となってきました。工程管理や資材手配、各種申請、検査対応など幅広い業務を限られた人数でこなす必要があり、段取りの抜け漏れが工程遅延や手戻り、安全面のリスクにつながる懸念が指摘されています。
働き方改革の要請が強まる中、若手人材でも質の高い現場運営を担える仕組みづくりが求められています。こうした状況を背景に、AIやデータ活用によって現場運営を高度化しつつ、熟練者の知見を組織的に活かす取り組みへの期待が高まっているといいます。限られた人員で質を落とさず工事を進めるには、デジタル技術の後押しが欠かせなくなっています。
異なる2工事で同時に効果を検証
今回の実証実験では、FTP再開発プロジェクトの中で東急建設と北野建設がそれぞれ手がける異なる建設工事を対象とします。富士通は両社と個別に連携し、開発したAIを各現場に適用。段取り漏れや工程遅延のリスクをどれだけ精度よく検知できるか、示される根拠情報が現場責任者にとって役立つものかを検証します。
会社ごとに異なる図面や工程表、日報のフォーマットに対応できるかに加え、現場責任者の業務負荷をどれほど軽減できるかという実務面の効果も、あわせて評価していく方針です。同じ再開発現場内で条件の異なる2つの工事を並行して検証することで、より幅広い現場状況への適用可能性を確かめる狙いもあります。
蓄積データと法令を横断分析
このAIは、図面や工程表、作業日報といった現場の共有データに加え、手続きや承認、検査、安全指示に関する情報を横断的に読み込み、1、2か月先の工程や資材・人員手配、確認事項に関する抜け漏れ候補を根拠とともに提示することを目指します。
さらに官公庁や自治体が定める建設関連の法令や条例も踏まえたうえで、申請や資材発注、重機の手配、協力会社との調整に漏れがないかを確認し、遅延につながりそうなリスクとその根拠を提示する仕組みです。
工程表と日報を突き合わせて差異を洗い出し、支障となりそうな要因の候補を抽出する機能も備えており、現場責任者が素早く判断を下せるよう後押しする狙いです。これにより、経験の浅い担当者でも見落としがちなポイントに早い段階で気づける環境づくりが期待されています。
富士通と施工2社の分担体制
実証実験は、それぞれの強みを生かした分担体制で進められます。富士通がAIの企画・開発を担い、各現場のデータ分析や検証作業を主導する一方、東急建設と北野建設は現場で培った知見や検証用データを提供し、実務の視点から評価とフィードバックを重ねていきます。
こうした連携により、実際の建設現場が抱える細かな課題までAIに反映させ、施工会社ごとに異なる業務プロセスにも対応できる仕組みへと磨き上げていく考えです。
実証実験を通じて得られた課題や要件をもとに、建設工程管理支援AIの有効性を高めていく方針です。両社の実務知見が加わることで、より現実に即した検証が可能になると見込まれています。
実用化に向けAI基盤も活用へ
3社は今回の検証で見えた課題や要件をもとにAIの精度を高め、工程遅延や手戻りの削減、申請・検査・資材手配の漏れ防止、現場運営の負荷軽減につなげる考えです。
富士通は今後、AIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi」や量子インスパイアード技術「デジタルアニーラ」を用いた検証の高度化を予定しており、写真データや点群データ、BIMデータ、社内ナレッジとの連携も視野に実用化を進める方針です。
東急建設と北野建設も、デジタル技術の活用を通じて生産性向上と働き方改革の両立を目指すとしています。将来的には他の建設現場への展開も見据えており、業界全体の課題解決につながる取り組みとして注目されそうです。
出典情報など
出典:東急建設株式会社,富士通、東急建設および北野建設と、建設現場における工事進捗やタスクの抜け漏れリスクを低減する建設工程管理支援AIの実証実験を開始,https://www.tokyu-cnst.co.jp/topics/3022.html,リリース日:2026-08-25