大林組、年間約1万9000時間の工数削減見込み|BIM問い合わせ対応AIエージェントを構築

20260708_BIM問い合わせ対応AIエージェント

株式会社大林組は、BIMソフト「Revit」に関する社内問い合わせを自動化する「コンシェルジュ型AIエージェント」を構築しました。開発を手掛けたのはスキルアップNeXtで、Microsoft Copilot Studioを活用し、わずか1.5ヶ月という短期間でMVP(実用最小限の製品)を完成させています。

設計部全体では年間1万8960時間の工数削減を見込むほか、初心者が質問しにくいという心理的なハードルの解消も目指しています。

月120時間を要していた問い合わせ対応

同社の設計部では、コンシェルジュ3名がRevitに関する問い合わせに対応してきました。月間の問い合わせ件数は約40件にのぼり、1件あたり約180分、月間では120時間もの対応工数が発生していたといいます。

特に時間を要していたのは、質問の背景を確認するやり取りで、文字だけのコミュニケーションでは意図が伝わりにくく、打ち合わせに発展するケースも少なくありませんでした。

新入社員が抱えていた質問への抵抗感

対応履歴はExcelで簡易的に記録されるにとどまり、担当者以外がナレッジとして活用しづらい状態も課題でした。

加えて、新入社員やRevitの利用歴が浅い社員にとってはチャットでの質問に心理的なハードルがあり、自己解決のための検索や試行錯誤に1人あたり月間5時間程度を費やしていたことも判明しています。

Copilot Studioによる短期間での開発

大林組の担当者は以前、スキルアップNeXtが提供する研修に参加した経験があり、その際の相談が今回のプロジェクトにつながりました。

既にMicrosoft 365の基盤を社内で契約していたため、新たなインフラ構築や利用可否の検証といった準備をほぼ省略でき、開発に速やかに着手できた点が大きな利点になったといいます。

回答範囲をあえて絞り込む工夫

構築したAIエージェントは、Revit作図講習の資料や過去の回答履歴を参照し、簡単な質問や社内ルールに関する疑問へ即時に答える仕組みです。

複雑な質問には回答させず、対応範囲をあえて限定する方針を採用した結果、約80%の回答精度を持つ一次受付エージェントを短期間で実現しました。

年間約1万9000時間の削減効果を見込む

このエージェントにより、コンシェルジュの一次対応業務は月80時間の削減が見込まれています。空いた時間は、複雑な質問への対応や基準策定、マニュアル更新といった高度な業務へ振り向けられる計画です。

また、Revit作業者300人への展開を想定した場合、ユーザーの自己解決時間は月間1500時間、年間では1万8000時間減らせると試算されており、設計段階での疑問解消によってプロジェクトごとの手戻りも200件減らせる見通しです。

データ整備という新たな課題の発見

今回のプロジェクトでは、既存のデータをそのまま投入するだけではAIが十分に機能しないという「AI Ready」なデータ構造の重要性も浮き彫りになりました。

禁止操作の線引きなどがマニュアルに明示されておらず、AIが理解できる形になっていない組織的な課題を早期に把握できたことも成果の一つだと担当者は説明しています。

他部署への横展開も視野に

現在はRevit利用者の多いグループ会社を対象にトライアルを実施しており、想定以上に的確な回答が得られるとの声が寄せられています。一方で回答しきれない質問への具体的な要望も届いており、マニュアル更新や質疑集の整備を進める材料として活用されています。

大林組は今後、今回の基盤を他のソフトウェアや部署へ横展開するとともに、社員のリテラシー向上に向けた研修の開催も検討しています。将来的にはテキスト回答にとどまらず、人間と同様の作業をエージェントが自走的に担う活用も目指す方針です。

参考ページ:スキルアップNeXt、大林組の「コンシェルジュ型AIエージェント」を構築し、設計部全体で年間約19,000時間の工数削減へ

出典情報など

出典:株式会社スキルアップNeXt,「コンシェルジュ型AIエージェント」を構築し、問い合わせを自動化。設計部全体で18,960時間/年(1,580時間/月)削減するとともにユーザー側の質問ハードルを解消。,https://www.skillupai.com/private-training/success_stories/obayashi3/,リリース日:2026-07-06