大成建設、CO2収支マイナスコンクリート活用の天然石材調内装材を開発し什器に適用

大成建設株式会社は、製造の過程でCO2を固定し、CO2収支をマイナスにできる特殊なコンクリート技術を使い、天然石のような風合いを持つ新しい建材を開発しました。名前は「T-razzo(ティー・ラッツォ)」。環境にやさしいだけでなく、見た目の美しさにもこだわった内装材です。脱炭素技術というと、どこか専門的で遠い存在に感じる方も多いかもしれません。今回の取り組みは、そうした技術を日常の中でより身近に感じてもらうことを目指したものでもあります。
工場でCO2を吸収するコンクリート
この建材のベースとなっているのは「T-eConcrete/Carbon-Recycle」と呼ばれる環境配慮型コンクリートです。コンクリートの中にCO2を取り込むことで、つくる際に出る分よりもCO2収支をマイナスにできる仕組みになっています。大成建設はこれまで、CO2排出量の削減につながる技術やノウハウを積み重ねてきました。その積み重ねの末、2020年度には製造過程でのCO2収支をマイナスにできるこの技術を完成させています。
構造材ではなく内装材から広げる
本来であれば、この技術を建物の骨組みに使うことも可能です。しかし、そのためには国の認定を取る必要があり、時間もコストもかかってしまうという課題がありました。そこで同社は、法的制限がない「内装材」としての活用に目をつけました。オフィスの什器や仕上げ材であれば、大がかりな手続きなしに導入できるためです。まずは身近な仕事場から導入することで、多くの人が脱炭素技術を体感できると考えたのです。すでに東京・新宿にある同社の設計部門の執務室では、机の天板にこの建材が使われており、実際に社員が日々目にする場所での導入が始まっています。
利用者が材料を配置する制作工程
この建材の大きな特徴は、利用者自身が工場に足を運び、石材の代わりとなる砕石や貝殻などの素材を一つひとつ配置できる点です。いわばワークショップのような形で、完成品づくりに直接関わることができます。自分の手で模様をつくる体験を通じて、できあがった空間への愛着や、環境への意識が自然と高まることが期待されています。単に製品を「使う」のではなく、「一緒につくる」というプロセスを取り入れることで、脱炭素技術をより自分自身に関わるものとして感じてもらう狙いがあります。
組み合わせ次第で表現は無限大
使用できる素材は砕石だけではありません。
・貝殻やステンレスなどの素材
・色をつける顔料
・企業にゆかりのある特別な素材
これらを自由に組み合わせることで、その企業や空間だけのオリジナルな模様を表現できます。仕上げ方法も豊富で、職人が手作業で一つひとつ磨き上げる方法のほか、表面に凹凸をつけて滑りにくくする加工や、水をはじくコーティングなど、床やカウンターなど使う場所に応じて質感を選べるようになっています。同じ素材を使っても、配置や仕上げ方によって異なる印象を生み出せるため、唯一無二の空間づくりが可能になります。
内装から外装・外構へ用途拡大へ
今後はオフィスや商業施設の床、外構など、適用できる範囲を段階的に広げていく方針です。身近な内装材から脱炭素への関心を広げることで、コンクリート技術全体への理解や導入も後押しされると期待されています。大成建設は、利用者や社会のパートナーとともに楽しみながら環境意識を高めていけるような技術開発を続け、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めていくとしています。
出典情報
大成建設株式会社リリース,環境配慮コンクリート「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」を用いて天然石材調建材「T-razzo®」を利用した高い意匠性のある建材を開発 環境技術をより身近に。ユーザーが“創る楽しさ”を体験し、愛着を深める高意匠性脱炭素建材,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2026/260617_11072.html