竹中工務店、木造仮設事務所を開発、GREEN×EXPO建設現場で初適用し効果検証

建設工事の現場では、これまで軽量鉄骨製の仮設事務所を借りて使うのが当たり前でした。価格の安さや手軽さが優先され、働く人にとっての心地よさはあまり重視されてこなかったのが実情です。こうした状況を変えようと、大手建設会社の竹中工務店が、木材を多く取り入れた新しいタイプの仮設事務所を作りました。2027年に横浜市で開かれる国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」の建設現場で、すでに使用が始まっています。

現場環境を見直すきっかけ

これまでの仮設事務所は、性能や快適さよりも価格や手軽さが優先されがちでした。そこで同社は2025年4月から木造仮設事務所の開発を進め、2026年6月8日から実際に使い始めています。柱や壁といった構造部分だけでなく、床や天井、外壁にも木材を使っているのが特徴です。今回の現場では、作る・借りる・運ぶ・使う・解体する・直す・保管するという一連の流れを通じて、長く使い続けられる仕組みづくりを試しています。建物の規模は約33平方メートルの平屋で、執務室1室とトイレ・更衣室・倉庫などの部屋2室で構成されています。

注目したい4つの工夫

新しい仮設事務所には、いくつもの工夫が詰め込まれています。

・神奈川県産の木材を採用し、これまで使われにくかった丸太の辺材などの未利用材も活用

・使用後は他の現場での再利用や家具への転用、燃料化を想定し、廃棄物を出さない資材循環を目指す

木材は地元産にこだわることで、地域の林業を支える狙いもあります。木工事の製作には株式会社長谷川萬治商店が協力し、サッシには株式会社LIXILの再生アルミ製品が使われるなど、複数の企業が力を合わせて実現した建物となっています。

水を大切に使う手洗い場

現場には、水道設備がない場所でも使える手洗いスタンドも初めて導入されました。20リットルの水を最初に入れるだけで、AIが水質を見守りながらきれいにして繰り返し使える仕組みです。従来は給水車で水を運ぶ必要があり、衛生面でも手間がかかっていました。この設備により、清潔さを保ちながら作業員が快適に過ごせる環境が整います。水を循環させる仕組みは、現場の運用効率を高めるだけでなく、限られた水資源を有効に使うという点でも意味のある取り組みといえそうです。

木の空間が生む働きやすさ

木に囲まれた空間には、気持ちを落ち着け、集中力を保ちやすくする効果があると言われています。今回の事務所にはテラスも設けられており、休憩や会話、一人で集中したい時など、さまざまな使い方ができるよう工夫されています。工事期間中は、実際の利用者の様子を調査しながら、木の空間がどのように働きやすさへつながるのかを確かめていく予定です。こうした調査結果は、今後ほかの現場で木造仮設事務所を広げていく際の参考材料にもなると考えられています。

省エネと環境への配慮

建物全体ではZEB Ready相当の省エネ性能を備え、使用時のエネルギー消費を50%減らすことを目標としています。さらに、木材が炭素を蓄える効果もあわせ、資材づくりから解体・再利用までを通したホールライフカーボンを約50%削減することを想定しています。木材を使うことで建物そのものが二酸化炭素を蓄える役割も果たすため、環境負荷を抑えながら快適な職場をつくるという、二つの目的を同時に実現しようとする試みです。

これからの広がりに期待

竹中工務店は、今回の現場で得た知見を踏まえ、資材を無駄にしない建築の実現に向けて取り組みを進めるとしています。今後はこの木造仮設事務所を、他の建設現場にも広げていく計画です。林業や地域経済との結びつきも意識しながら、木の循環を活かした新しい現場づくりが各地で進んでいくことが期待されます。

出典情報

株式会社竹中工務店リリース,神奈川県産の木材を使用したハイブリッド木造仮設事務所を開発し、GREEN×EXPO 2027の作業所で初適用,https://www.takenaka.co.jp/news/2026/06/02/