大成建設がT-ジェット工法を改良、アスベスト除去で2カ所同時施工と効率2倍を実現

大成建設は2026年5月28日、アスベスト含有吹付材をウォータージェットで除去する独自工法「T-ジェット工法」について、装置性能の大幅な向上と、現場ごとの最適運用を含むパッケージ体制の整備を発表しました。

今回の改良では、微細ミストの噴射量上限を毎分6リットルに設定し、さらに1台の装置から2方向への分岐作業を可能にしました。これにより、使用する水の量を抑えながら2カ所での同時施工が実現し、従来と比べて施工効率がおよそ2倍に向上しています。

アスベスト除去はなぜ難しいのか

アスベストを含む建物の改修・解体工事では、環境省および厚生労働省が定めるマニュアルに従い、飛散防止と作業員の曝露防止を徹底したうえで除去作業を行わなければなりません。

鉄骨の耐火被覆として広く用いられてきたアスベスト含有吹付材は、特に飛散リスクが高い素材です。そのため、現場では隔離養生や閉鎖空間の確保を行い、防護服と防塵マスクを着用した作業員が手作業で除去するのが一般的です。

しかし、外壁パネルと柱の隙間や隅角部など、人の手が届きにくい場所も多く、除去作業には多大な手間と体力が求められてきました。

T-ジェット工法とは

大成建設が2020年に開発した「T-ジェット工法」は、狭い空間でも超高圧水を噴射できる独自形状のロータリー式ハンドガンと、小水量型の超高圧水発生装置(ポンプユニット)を組み合わせた工法です。

入り組んだ複雑な箇所でも安全かつ効率よくアスベスト含有吹付材を除去でき、飛散性が最も高いとされる「レベル1」のアスベスト除去にも対応しています。

新しいT-ジェット工法の主な特長

今回の機能向上によって整備された新しい「T-ジェット工法」の特長は、以下のとおりです。

■排水量の大幅削減で後処理の負担を軽減

毎分1.5~6.0リットルという小水量での微細ミスト生成により、アスベスト繊維を含む排水量を大幅に抑えることができます。噴射量と圧力を現場に応じて自在に調整できるため、排水処理の手間・時間・コストをまとめて削減できます。また、吹付材を適切に湿潤させることでこぼれ水の発生を防ぎ、ミスト効果によって粉じんの飛散も抑制します。

■3分割設計のポンプユニットで高い機動性を確保

ポンプユニットは制御装置・高圧ポンプ・分配器の3パーツで構成されており、それぞれが小型設計です。既設・仮設エレベーターへの積載にも対応しており、現場の条件に応じて柔軟かつ効率的に展開できます。

■2カ所同時作業で施工効率が倍増

高圧ポンプに連結した分配器を使うことで、1台のポンプユニットから高圧ホースを2方向に分岐できます。それぞれに異なるノズルを取り付けることも可能で、最大160メートル離れた2カ所(最大3L/分×2)での同時除去作業に対応しています。

■ノズル類のラインナップ拡充で汎用性が向上

ノズルヘッドやハンドガンのラインナップを増やしたことで、除去対象の素材や形状に合わせた最適な機器選定ができるようになりました。各種ノズルヘッドはいずれも1~6穴式を備えており、圧力調整との組み合わせで幅広い現場条件に柔軟に対応します。

■現場ノウハウをパッケージで提供

アスベスト除去には、現場に応じた工法の運用知識に加え、事前調査や作業員への特別教育、除去手順に関する専門的な知見が欠かせません。大成建設はこれまでに蓄積した「T-ジェット工法」の運用ノウハウを含め、装置(ハード)と知識・体制(ソフト)を一括して提供できる体制を整えており、多様なニーズへの対応を可能にしています。

今後の展開

大成建設は今後、機能を高めた「T-ジェット工法」の現場への積極的な導入を進め、施工条件に応じた最適な運用を推し進めていく方針です。アスベスト除去における安全性の向上と作業員の負担軽減に向けた取り組みを継続するとしています。

出典情報

大成建設株式会社リリース,アスベストを安全・効率的に除去できる「T-ジェット工法」の機能が向上 汎用性の高い小水量型に改良し、従来比2倍の施工効率を実現,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2026/260528_11014.html