東急歌舞伎町タワー |「映画館の上にホテル」を実現した清水建設の施工技術を解説

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トレンドワード:東急歌舞伎町タワー
東急歌舞伎町タワーは、歌舞伎町の新しいシンボルとして計画された、国内最大級のエンターテインメント複合施設です。オフィスフロアは一切なく、ホテル・ライブホール・映画館などのエンタメに特化した構成が特徴です。
この記事では、東急歌舞伎町タワーの事業概要と見どころをわかりやすく解説します。また、難工事となったさまざまな課題と、清水建設の取り組みもご紹介します。
「東急歌舞伎町タワー 」とは|事業概要

,参照日2026.6.18
歌舞伎町タワーは、「歌舞伎町一丁目地区開発計画(新宿TOKYUMILANO再開発計画」として、国家戦略特区プロジェクトに認定されている事業です。周辺の歌舞伎町シネシティ広場を中心とした街づくりや、西武新宿駅前通りの整備などもあわせて行われる一大プロジェクトとなっています。
ここからは、東急歌舞伎町タワーの事業概要をご紹介します。
所在地・アクセス・駐車場
東急歌舞伎町タワーの所在地・アクセス・駐車場等は、以下をご確認ください。
- 所在地:東京都新宿区歌舞伎町1-29-1
- 最寄り駅:西武新宿線 西武新宿駅
- アクセス:西武新宿駅から徒歩1分
- 都営大江戸線 新宿西口駅から徒歩6分
- JR各線・⼩⽥急線・京王線・東京メトロ 丸ノ内線 新宿駅から徒歩7分
東京メトロ 丸ノ内線 副都⼼線 ・都営新宿線 新宿三丁⽬駅から徒歩8分 - 駐車場:101台 30分 300円
構造・規模・面積

,参照日2026.6.18
東急歌舞伎町タワーの構造や規模は、以下をご確認ください。
- 構造:鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造
- 規模:地上48階、地下5階、塔屋1階
- 高さ:約225m
- 敷地面積:46,033.74㎡
- 建築面積:約3,600㎡
- 延床面積:約87,400㎡
- 用途:ホテル、劇場、ライブホール、映画館、店舗など
- 劇場:約900席
- 映画館:8スクリーン、総席数752席
- ライブホール:最大収容1,500名
フロア構成

,参照日2026.6.18
東急歌舞伎町タワーは、地上48階、高さ約225mの超高層複合ビルです。高層部の17階から47階はラグジュアリーホテル「BELLUSTAR TOKYO, A Pan Pacific Hotel」が配置され、東京の街を一望できるパノラマビューが楽しめます。
中層部の9階から10階は映画館「109シネマズプレミアム新宿」です。一部のシアターは映画だけでなくライブ映像なども楽しめる3面ワイドビューシアター「ScreenX」を備えています。また、音楽家の坂本龍一氏が映画館の音響を監修したことでも話題になりました。
低層部の6階から8階は劇場「THEATER MILANO-Za」です。レイアウト変更が可能な約900席の座席で、演劇・音楽などのエンターテインメントコンテンツが体験できます。
地下1階から地下4階はライブホールです。ライブホールは1,500名と新宿エリア最大級のキャパシティでありながら、これまでのホールよりもコンパクトなサイズ感となっているため、アーティストとの距離が近い音楽体験が可能となっています。
低層階の外側には、「屋外劇場的都市空間」が整備されています。広場に面して約200㎡の屋外ビジョンと、約150㎡の屋外ステージが設置され、隣接する「シネシティ広場」と一体となったにぎわい空間を創出します。
竣工日・オープン予定日
東急歌舞伎町タワーの着工日や開業日は、以下をご確認ください。
- 着工日:2019年8月1日
- 竣工日:2023年1月11日
- 開業日:2023年4月14日
開業から一か月後の2023年5月22日には、来館者数が100万人を突破するなど、順調な滑り出しとなっています。日本のエンタメ人気や交通アクセスの良い立地特性から、国内だけでなく、海外からのインバウンド需要も高まっています。
ゼネコン|清水建設
東急歌舞伎町タワーの設計・施工は、以下をご確認ください。
- 設計:久米設計・東急設計コンサルタント設計共同企業体
- 施工:清水建設
東急歌舞伎町タワーの見どころは何がある?
ここからは、歌舞伎町タワーの見どころやポイントをわかりやすくご紹介します。
「好きを極める」都市観光拠点

新宿区はこれまで、「歌舞伎町ルネッサンス」として、地元や事業者が一体となり、誰もが安心して楽しめるエンタメシティ歌舞伎町の実現を進めてきました。東急歌舞伎町タワーは、大型複合施設でありながら、オフィスフロアがない特徴的な構成です。具体的には、劇場、ライブホール、映画館といったエンタメ施設と、ホテルに特化した都市観光拠点となっています。
設計コンセプトは「好きを極める」で、音楽や演劇などさまざまなコンテンツへの「好き」を中心に集う場所をつくり、社会交歓の場となるよう設計されています。
外観は歌舞伎町のシンボル「噴水」をイメージ

歌舞伎町はかつて、沼地が広がる湿地帯でした。街づくりが始まった際、憩いの場として広場が整備され、その中心に設けられたのが「噴水」です。
東急歌舞伎町タワーの外観は、歌舞伎町の原点ともいえる噴水がもとになっています。空に向かって勢いよく吹き上がる水のイメージを、低層部から上層部へ向かって広がる曲線的なデザインで表現しています。
外装は、50種類以上のアルミユニットカーテンウォールで形成されています。カーテンウォールは少しずつ角度の違う設計となっているため、5000枚のユニットに対してひとつひとつ図面が作られる一品一葉の仕様となっています。
「噴水」デザインは内装にも
外装の噴水の表現は、室内にもつながっています。ビルのガラスをよく見ると、水しぶきが上がった直後のような淡いグラデーションになっていることがわかります。これらはすべて、三角形や丸形などの細かな模様が、ガラス外側にセラミック印刷で描かれたものです。
三角形の模様は、室内から見ると遠くの山並みのようにも見え、室内から見ても遠方から見てもそれぞれに違った印象となるようデザインされています。また、低層部の外装には立体の水紋が施されており、ビル全体を眺めた際には、さまざまな噴水の表現が楽しめるようになっています。
東急歌舞伎町タワーの難工事ポイントと清水建設の工法
歌舞伎町タワーは、新宿駅東口徒歩1分にある超高層複合施設です。立地が繁華街の袋小路であることから、施工にはさまざまな制約がありました。
ここからは、東急歌舞伎町タワーの工事における課題と、清水建設の取り組みをご紹介します。
狭小地の資材置き場を確保する
狭小地に超高層ビルを建設する場合、資材を置くスペースが確保できない課題があります。そこで、清水建設は地上と地下の工事を並行して進める「二段打ち工法」を採用しました。
二段打ち工法では、一階の床を先に施工してそこに資材を置くことができます。こうして、資材置き場を確保しながら上下階を同時に進めることで、狭小地のデメリットを回避した効率的な工事計画が可能となりました。
無柱空間に高層ホテルを積み重ねる

東急歌舞伎町タワーは、低層部に店舗、中層部に劇場・映画館、高層部にホテルを配置した特殊な構成です。劇場や映画館には広い無柱空間が必要ですが、その上には高さ約120mのホテルが配置されています。そのため、「無柱空間を確保しながら高層ホテルを支える」という難しい構造が求められました。
このような複雑な構造を実現させるため、ホテルと下部の架構切り替え部分に、約6mの巨大なメガトラスが採用されました。さらに、高層部のホテル、中層部の大空間は、低層部で高強度鋼によるラーメン架構が支える構造となっています。
キャパ1,500名のホールの振動を防ぐ

東急歌舞伎町タワーには、1,500名のキャパシティがあるライブホールがあります。これだけの人数が縦ノリすると、大きな振動により周辺地域に影響を及ぼす「人工的振動」が発生する可能性があります。そこで、清水建設の防振特許技術である「ダイナミック・ライブ・フロア」が採用されました。
清水建設のダイナミック・ライブ・フロアは、振動を低減するのではなく、遮断するための技術です。フロアを浮き床構造とし、空いた床下に防振ユニットを敷くことで、振動を相殺し、1/10程度にすることが可能です。
また、浮き床にすることにより、分厚いコンクリートや防振のための空間を特別に設けることが不要となったため、スペースの有効活用にもつながっています。
まとめ
東急歌舞伎町タワーの工事は、狭小地での超高層ビル建設や複雑な構造といった課題を解決した事例です。さらに、エンタメに特化した再開発計画としても、参考になる事例といえるでしょう。
開業一か月で100万人の来館者を集めるなど、都市部の観光拠点としても大きな成果を上げています。今までの歌舞伎町の「怖い」イメージを刷新する、新しい歌舞伎町のシンボルとして、これからの運用が期待されています。