大成建設、木床構造向け二重床を改良、重量床衝撃音低減と施工効率化に対応し展開へ

大成建設は2026年5月27日、2015年に開発した遮音高性能乾式二重床「T-Silent Floor」を木床構造向けに改良したと発表しました。今回の改良により、床の高さの増加を10cm程度に抑えながら天井の高さを確保しつつ、上階から下階に伝わる重量床衝撃音を大幅に抑えることが可能になりました。あわせて、部材の構成を見直すことで施工の手間を減らし、工期の短縮とコスト削減にも貢献するとしています。
木造建築の普及と、解決すべき「音の問題」
近年、環境への負荷を減らす取り組みや木造空間への関心の高まりから、CLT(直交集成板)を床構造に用いた中高層の木造建築が増えています。CLTはクロス・ラミネーテッド・ティンバーの略称で、木材を縦横に交互に積み重ねた建材です。耐震強度や断熱性に優れており、オフィスビル・ホテル・共同住宅など、さまざまな用途の建物に採用が広がっています。
しかし、木造の床構造にはひとつの大きな課題がありました。それは、コンクリート製の床(スラブ)と比べると、低い周波数帯域の「重量床衝撃音」を遮断する性能が低い点です。重量床衝撃音とは、子どもが飛び跳ねたり重いものを床に落としたりしたときに「ドスン」と階下に伝わるような音のことで、建物の構造そのものが大きく影響します。
一般的な乾式二重床では、この遮断性能を高めるために床下地材を厚くして床全体の重量を増やす方法がとられています。ところがその結果、床の高さが増えてしまい、天井の高さが十分に取れなくなるという別の問題が生じていました。
新技術の3つの特長
大成建設はこうした課題に対応するため、「T-Silent Floor」を木床構造向けに改良しました。従来の防振支持脚に代わり、新たに開発した「防振根太」と、工場であらかじめパネル化した凹型形状の面材を組み合わせた新しい床構造を採用しています。この技術の主な特長は以下の3点です。
■床高さを抑えて天井高を確保
防振根太と凹型面材を組み合わせた構造によって、二重床の仕上がり高さを従来の15cmから10cm程度まで低くすることができます。これにより、木造建築でも十分な天井の高さを保ち、開放感のある室内空間をつくることが可能になります。
■重量床衝撃音の遮断性能を大幅に向上
CLT二重床構造を使った実証試験では、遮断性能の評価で重要となる63Hz帯域(低い周波数)における床衝撃音レベルの低減量が、従来の2dBから改良型では8dBへと大幅に改善したことが確認されました。
■施工の効率化で現場作業時間を短縮
現場では防振根太を並べ、工場でパネル化した面材をビスで固定するシンプルな施工方法を採用しています。この手順によって現場作業の効率が上がり、従来と比べて施工時間を約3分の2に短縮できます。
木造建築市場への積極展開を目指す
大成建設は今後、木床構造向け「T-Silent Floor」を木造建築物の床衝撃音対策として積極的に提案していく方針です。木造オフィスビル・ホテル・共同住宅など幅広い用途への適用拡大を進め、遮断性能と施工効率の両立を実現する技術として普及を図るとしています。
木造建築のニーズが高まる中、音環境の改善は居住者や利用者の快適性に直結する重要な課題です。今回の技術改良は、木造建築市場の成長を後押しするだけでなく、より住みやすい建物づくりにも貢献するものとして注目されます。
出典情報
大成建設株式会社リリース,遮音高性能乾式二重床「T-Silent® Floor」を木床構造向けに改良 床高さを10cm程度に抑え天井高さを確保しながら、重量床衝撃音を大幅に低減,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2026/260527_11036.html