竹中工務店、特殊形状のPC部材製造可能にする楽枠工法を開発、日本橋本町三井ビル屋上で導入

竹中工務店(社長:丁野成人)は、特殊な形状を持つプレキャストコンクリート(PC)部材の製造に対応した新しい型枠工法「楽枠工法」を開発したと発表しました。この工法の導入によって、施工性と安全性を高めながら、計画的な部材供給が実現します。現在、東京都中央区で建設が進む「日本橋本町三井ビルディング &forest」の屋上パラペット(建物屋上の外周に設置された手すり状の壁)に、実際に採用されています。
楽枠工法の仕組み
本工法の基本的な構造は、高強度に改良した木製型枠と鋼製のベッド型枠を、マグネットで固定するというシンプルな仕組みです。
従来のコンクリート型枠作業では、「フォームタイ」「鋼製パイプ」「セパレーター」など複数の専用金具や補強材が必要で、組み立てには熟練した型枠工の技術が不可欠でした。しかし楽枠工法では、高強度化した木製型枠がこれらの金具類を不要にし、組み立て作業を大幅に省力化することを可能にしています。
楽枠工法3つの特長
楽枠工法が持つ主な特長は、以下の3点です。
■計画的な工事進行を実現
型枠組みの簡素化によって、これまで現場施工が前提だった特殊形状の部材をPC工場内で製造することができるようになります。工場製造になることで、天候や現場状況に関わらず安定した製造スケジュールを組むことができ、部材の安定供給につながります。
■施工性・安全性の向上
鋼製ベッド型枠への木製型枠のワンタッチ固定が可能になり、作業効率が上がります。また木製型枠は重量が軽いため、技能者への身体的な負担が減り、作業現場の安全性向上にも貢献します。
■建築デザインの自由度を確保
複雑な形状や意匠性の高いデザインへの対応が可能になることで、設計段階での制約が軽減されます。プレキャストのメリットである省人化と品質安定化も同時に実現できます。
なぜ今、この工法が必要なのか
建設業界では近年、熟練技能者の高齢化と人材不足が深刻な問題となっています。こうした状況を受けて国土交通省が推進する「i-Construction2.0」では、工場などでの事前製造(オフサイト施工)を積極的に進めることが重要な施策のひとつとして掲げられています。
一方で、特殊な形状を持つコンクリート部材については、型枠の種類が多い割に製造数が少ないという現実的な課題がありました。そのため、従来は現場での打設施工が当たり前とされており、プレキャスト化への移行が難しい状況が続いていました。楽枠工法はこうした課題に対応するために開発されたものです。
今後の展開
現時点での適用対象は外壁・屋上パラペット・バルコニーなど、比較的厚みが薄い部材に限られています。しかし今後は、柱や梁といった構造部材への展開も検討しており、さらなる生産性向上をめざすとしています。
「日本橋本町三井ビルディング &forest」建築概要
建築主:三井不動産株式会社
建物用途:事務所、研究所、店舗
延床面積:28,000m2
階数:地下1階、地上18階
構造:木造+鉄骨造
設計・施工:株式会社竹中工務店
竣工(予定):2027年1月
出典情報
株式会社竹中工務店リリース,特殊形状のプレキャストコンクリート部材製造を実現する「楽枠工法」を開発 施工性・安全性の向上と計画的な工事進行を両立,https://www.takenaka.co.jp/news/2026/05/02/