竹中工務店とNEC通信システム、玉掛合図無線システムを開発し建設現場向けに商用展開開始

日本電気通信システム株式会社(以下、NEC通信システム)と株式会社竹中工務店は、免許不要のプライベートLTE方式「sXGP」を使った「玉掛(たまがけ)合図無線システム」を共同で開発し、建設現場での長期実証に成功したと発表しました。株式会社アクティオとの協業のもと、2026年5月から大規模新築工事現場向けのレンタル事業として商用展開を開始しています。

玉掛作業とは なぜ即時の連絡が必要なのか

建設現場では、タワークレーンを使って鉄骨や資材を吊り上げて移動させる場面が日常的に発生します。このとき、地上で吊り荷の位置を確認しながらワイヤロープの掛け外しを担当する作業員(玉掛作業者)と、高所のクレーンオペレータが、リアルタイムで連絡を取り合うことが安全確保の前提となっています。

これまで、この連絡手段にはトランシーバなどの特定小電力無線機(特小無線)が広く使われてきました。ところが、都市部では複数の大規模工事が近くで同時進行するケースが増えており、特小無線が使える周波数のチャネル数が限られているため、混信を防ぐための周波数調整が難しくなっていました。調整がうまくいかない場合には、作業を一時中断せざるを得ない事態も頻繁に起きていました。

sXGPに着目した共同研究 2024年にスタート

こうした現場の課題を受け、NEC通信システムと竹中工務店は2024年から、sXGPを活用した新しい無線通信システムの共同研究開発に着手しました。sXGPは、無線免許が不要でありながら周波数効率に優れ、複数のプロジェクトを同時に運用できる安定した通信品質を備えているプライベートLTE方式です。

両社はそれぞれの強みを持ち寄りました。

NEC通信システムは、通信事業者向けの技術ノウハウを活かしてsXGPネットワークを構築し、専用ネットワークに最適化したグループ通話システムの開発と低遅延化に取り組みました。

竹中工務店は、現場作業員が使いやすいユーザーインターフェースの設計や、基地局の最適な設置方法の検討、具体的なユースケースの整理を担当しました。また、竹中工務店が開発に携わるタワークレーン遠隔操作システム「TawaRemo®」との連携の可能性も検討しました。

実証実験は、2025年に滋賀県守山市や東京都港区の建設工事現場で繰り返し実施され、改善を重ねてきました。さらに2025年12月から2026年2月にかけては、関西地域の大規模建設工事において長期実証を行い、実用化に向けた課題解決に取り組みました。

システムの四つの特長

今回開発されたシステムは、スマートフォンと屋外型sXGPアクセスポイントを組み合わせて、半径50〜500メートル程度の無線通信エリアを構築します。外部ネットワークには接続せず、現場内だけで完結するグループ通話を実現します。主な特長は以下の四点です。

・低遅延通信:玉掛作業では一瞬の合図の遅れが事故につながる可能性があります。独自のネットワーク設定によって遅延を最小化し、音声の発声から聞き取りまでの時間を0.2秒程度に抑えています。これは従来の特小無線と比べても遜色のない応答性です。

・シンプルな操作性:スマートフォンの画面をワンタップするだけで通話でき、従来の特小無線と同様の操作感を実現しています。遅延の少ない無線ヘッドセットとの組み合わせにより、作業中の利便性も高まっています。

・混信課題の解消:sXGPを活用することで周波数不足が解消されるため、複数のプロジェクト間での周波数調整が不要になります。これにより、都市部での混信課題を解決します。

・すぐに使える初期設定済みの構成:レンタル品はあらかじめセットアップが済んでいるため、アクセスポイントを設置してスマートフォンを接続するだけで、すぐに使い始めることができます。

他システムとの共存も確認済み

2025年12月から2026年2月にかけての長期実証では、本システムとTawaRemoをそれぞれ独立した通信システムとして同じ現場内で同時運用しました。その結果、双方に支障をきたすことなく、良好な音声通信環境を維持できることが確認されています。すでに現場で稼働している他の通信システムとも共存できることが実証された点は、現場導入のうえで大きな安心材料といえます。

アクティオとの協業でレンタル事業へ

NEC通信システムと竹中工務店は、建機レンタル事業を手がける株式会社アクティオと協業し、2026年5月から大規模新築工事現場向けのレンタルサービスを開始しました。三社は今後も共同研究を通じてシステムの改善を続けるとともに、建設業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に貢献していく方針です。

出典情報

株式会社竹中工務店リリース,建設工事クレーン吊り荷作業向け「玉掛合図無線システム」を開発~免許不要のプライベート LTE(sXGP)で混信課題を解決、現場実証を経て 2026 年 5 月より商用展開~,https://www.takenaka.co.jp/news/2026/05/05/pdf/20260526_Release_tamagake.pdf