竹中工務店、社員の基本給を平均10%引き上げ、処遇改善で建設業界全体の魅力向上へ

竹中工務店(佐々木正人社長)は2025年4月から、社員の基本給を中心に平均10%の賃上げを行うことを発表しました。これは前年度と比べて3ポイント増となり、3年連続の基本給増額となります。

安定的な生活基盤確保を重視

同社では、社員の安定した生活基盤の提供を最も重要視しています。そのため、業績によって変動しやすい賞与ではなく、安定した収入となる基本給の引き上げを基本方針としています。今回の処遇改善は、社員一人ひとりの生活の安定と将来への安心感を高めることを目指しています。

賃上げの目的

この賃上げには、大きく3つの目的があります。

・安定的な生活基盤の確保

業績の変動に左右されにくい基本給を中心とした処遇向上により、社員の将来設計をしっかりと支援します。

・建設業界全体の発展への貢献

基本給を大幅に引き上げることで、建設業界全体の処遇向上と業界の魅力向上を先導する役割を果たします。

・社会的責任の遂行

継続的な賃上げによって経済の好循環に貢献するとともに、マルチステークホルダー方針に基づいて人的資本への還元を行います。

公平な賃上げの配分

今回の基本給増額では、未来を担う若手社員だけでなく、組織の中核として重要な役割を担う中堅管理職層にも重点を置いた配分設計となっています。これにより、社員全体により公平に賃上げの効果が行き渡るようにしています。

新卒者の初任給も引き上げ

同社の基本方針に基づき、2025年4月に入社予定の新卒採用者の初任給についても既に引き上げを発表しています。大学院卒は320,000円、大学卒は300,000円(どちらも前年比2万円増)となります。

今後の福利厚生充実計画

2025年度は、昨年度に実施した作業所勤務者向け手当の大幅増額に続き、さまざまな支援制度の拡充が予定されています。具体的には以下のような取り組みが計画されています。

・転勤時の負担軽減策

・キャリア継続支援施策

・住宅関連支援制度の刷新

・海外勤務者向け福利厚生制度の全面改定

竹中工務店では今後も、基本給を中心とした大幅な処遇向上と福利厚生の充実を両輪として進めていきます。これにより、従業員の多様なニーズに応えながら、業績向上につながる社員のエンゲージメント向上を目指していくとしています。

処遇改善のモデルケースに

社員の生活基盤を守りながら、建設業界全体の発展にも貢献する同社の取り組みは、他企業にも影響を与えることが期待されます。安定した基本給の大幅な引き上げという方針は、社員が安心して働ける環境づくりとともに、業界全体の魅力向上にもつながる重要な一歩と言えるでしょう。

このような積極的な処遇改善は、建設業界における人材確保の課題解決にも寄与すると考えられます。社員の生活の安定を第一に考える企業姿勢は、長期的な企業発展の基盤となり、社会的にも評価される取り組みです。

竹中工務店の今回の決定は、業界の先駆けとなる取り組みであり、今後の建設業界全体の処遇改善の流れを加速させる可能性を秘めています。

出典情報

株式会社竹中工務店リリース,基本給重視の方針に基づき、10%の賃上げを実施,https://www.takenaka.co.jp/news/2025/03/08/