土木施工管理技士とは。取得難易度から建築施工管理技士との違いまで解説

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著者:鈴原 千景

土木施工管理は、トンネルや道路、河川といったインフラに関わる工事を専門とする職種です。企業によって工事規模の違いや対象としている分野は異なるものの、まとめて土木工事として扱われます。

また、資格としては1級・2級に分かれていることに加え、手掛けられる工事規模や年収に違いがあります。加えて、土木工事を行うための必須資格であるため、資格取得の推進や資格手当を充実させている企業も多い状況です。

本記事では、土木施工施工管理技士の概要や取得難易度について、みていきましょう。

土木施工管理技士とは

土木施工管理技士とは、 土木工事の施工計画や施工管理、品質管理を行う職種を意味する言葉です。1級・2級といった区分に分かれ、以下のような工事の品質や安全管理を行いながら、竣工を目指します。

  • ダム
  • トンネル
  • 道路
  • 擁壁
  • 住宅地の造成

土木施工管理の書類作成や補佐は、資格がなくても従事可能です。しかし、責任者となることができないため、業務へのモチベーションや年収に影響があります。加えて、資格がなければ、ある程度の金額以上の工事は請け負えなくなってしまいます。

そのため、土木施工管理を行っている場合やこれから土木施工管理を目指す場合には、基本的な資格の1つとして扱われているのが現状です。 

建築施工管理技士との違い

建築施工管理技士の場合は、業務対象が建築物になります。たとえば、以下のような建築物は、建築施工管理技士によって品質や工程管理が行われたうえで竣工を迎えているといえるでしょう。

  • 高層ビル
  • 戸建住宅
  • アパートやマンションといった集合住宅
  • 公共の建築物(市役所や消防署、学校など)
  • 倉庫や工場

また、建築施工管理技士の場合は建物のデザインも考慮する必要があります。 建築士が設計を行い、その設計基準や建築基準法を守りながら施工しなければなりません。たとえば、建築物のコンクリート打設の精度まで言及されるケースも多いといえるでしょう。

1級と2級の違い

土木施工管理技士における1級と2級の違いは、以下になります。

項目1級2級
工事規模制限なし。2025年1月になっても変化なし。4,500万円(建築一式7,000万円)未満。ただし、専任の監理技術者を要しない場合。
2025年1月には、5,000万円(建築一式8,000万円)未満となる点に注意。
業務上の立場監理監督者になれる(全体統括)主任技術者が可能(工程の一部分の監督)
待遇年収アップやキャリアチェンジ、管理職も目指せるステップアップのための資格。資格手当が出ることが多い

土木施工管理技士試験の難易度

土木管理技士試験の難易度は、専門的な学習を行えば合格する確立は高い国家資格だといえます。たとえば、2023年の土木施工管理技士の合格率は以下のとおりです。

  • 2級の合格率―1次試験は52.5%、2次試験は62.5%
  • 1級の合格率―1次試験は49.5%、2次試験は33.2%

どちらも実際に施工管理技士として、従事している人々が試験に望んだ結果です。1次試験は筆記であるため、過去問の対策だけでも対応できるものの、計画的な学習が必要といえます。また、2次試験においては、実務経験を問われる問題となるため、スクールやe-ラーニングで傾向と対策を学ぶケースも少なくありません。

そのため、合格者などにも対策を聞きつつ、計画的な学習を行うことを心がけましょう。

土木施工管理技士の仕事内容

土木施工管理技士の仕事内容は、以下のとおりです。

施工計画の検討や準備

発注者からの設計図や仕様書などをふまえて、施工方法や施工手順を明確に決定します。BIMデジタルツインなどを活用する場合は、この段階が最も時間を割くことになるでしょう。たとえば、コストや環境面、法令の確認を行い、場合によっては設計変更なども必要です。

工程管理・品質管理・安全管理

工程管理では、納期どおりに進むように、進捗を確認するだけでなく、材料の手配や図面の修正などを行います。遠隔から指示を出す方法も確立しつつあるものの、監督者として現場に出ていく必要があるケースも少なくありません。

また、使用する材料の品質を管理しつつ、点検や検査などにも対応します。安全管理は担当業務が完了するまで続く業務です。たとえば、ヘルメットの有無や安全帯の使用、夏場であれば服装も含めた熱中症対策ができているかなどもチェックします。

発注者や関連事業者とのコミュニケーション対応

設計担当者への問い合わせや現場判断での発注者への相談、下請け業者への指示は竣工まで継続して発生します。また、報告書の作成や工事記録の提出もあるため、自社だけでなく、多くの人々に対して常にコミュニケーションを取りながら、工事を前に進めなければなりません。 

土木施工管理技士の平均年収

土木施工管理技士の平均年収は、約470万円です。企業規模や役職、業務内容などによって大きく変化します。日本の平均年収が460万円であることを考えると平均年収よりは高いといえるでしょう。

また、あくまでも平均年収であるため、個人単位でみていくと土木施工管理技士で1,000万円以上の年収帯となっているケースも少なくありません。そのため、土木施工管理技士として、どのようなキャリアプランを築くかによって、生涯年収が変わる点は知っておきましょう。 

土木施工管理技士に向いている人

土木施工管理技士に向いてる人の傾向は以下のとおりです。 

  • 自己管理能力と責任感がある
  • コミュニケーション能力がある
  • 計画性も含めた想像力がある

施工管理技士を行う場合、常に人と接したうえで新しい施工方法や業界ニュースにアンテナを張っておく必要があります。スキルだけでなく、知識も磨く意欲が求められるでしょう。

また、数か月、半年先の状況の変化をある程度イメージしながら、工程を作っていかなければなりません。そのため、論理的な思考と柔軟性のある対応も大切です。

まとめ

土木施工管理技士は、道路や橋梁、水路の敷設などといったインフラ構築を行う職種です。業務内容としては、計画立案から品質・安全・工程管理まで多岐にわたります。

年収は経験・スキル・保有資格によって左右されるものの、社会的需要の高さから仕事のニーズは高いといえます。今後も需要が高い職種の1つであるため、長期的な視点を持って業務を遂行していきましょう。