PICK×natインタビュー|不動産電子取引でDX推進(前編)

2022年に宅建業法が改正され、電子契約が解禁となりました。その中で不動産電子取引サービス「PICKFORM」は、不動産取引をオンライン上で適法に行えるツールとして注目されています。本記事では、「PICKFORM」を提供している株式会社PICKの阿部氏と、AI測量アプリ「Scanat」で知られているnat株式会社の若狭氏による対談の様子をご紹介します。

建設DXを推進する企業同士だからこそ分かり合える業界の課題や今後の展望など、興味深い内容をぜひチェックしてみてください。

業務内容・経歴について

【若狭】

本日は、サービスの強みや今後の展望等も含めてお伺いできればと思います。まずは、会社での業務内容についてお聞きしたいです。

【阿部】

私は株式会社PICKで、執行役員CROとして勤務しています。主に営業、受注後のカスタマーサクセス、マーケティングの3つの業務を担当しています。

【若狭】

元々マーケティング領域から転職なさったとのことですが、きっかけは何だったのでしょうか?

【阿部】

私のキャリアは、実はPICKが4社目になります。建物が好きだったので、1社目ではハウスメーカーの現場監督をしていました。2社目でマーケティングリサーチ会社に入り、色々な会社様を支援する側に回っていましたが、いつか事業者側に回りたいという思いがありました。そしてITの技術を建設や不動産分野に活かせないかと考え、PICKに入社しました。

【若狭】

マーケティングのご経験は、やはり現在にも活かされていますか?

【阿部】

そうですね。意外と多くの会社様が実行できていない部分であり、ターゲットが明確化されていないとビジネスはうまく行かないものです。しっかりと言語化をして「この人たちを我々のサービスで幸せにするんだ」とか「課題解決をしていくんだ」というのを組織全体で共通認識を持つことが大切だと感じています。

サービス内容について

【若狭】

株式会社PICKで扱われているサービスについて、ご紹介頂けますでしょうか?

【阿部】

主力サービスは不動産建築DXプラットフォームの「PICKFORM」です。 主な機能は電子契約と案件管理で、不動産建築業界の方々向けに販売しています。電子契約は契約書の製本準備の手間やコストを削減でき、案件管理ではファイルの共有や管理ができます。

電子契約については2022年に宅建業法の改正があり、ようやく不動産取引も電子化できるようになったという背景がありました。従来までは製本の準備や収入印紙が必要で、手間やコストが掛かるのが難点でした。しかし電子契約はPDF形式のため製本は不要で、収入印紙も貼らなくて済むためコストカットにつながります。社内でも不動産業界出身者が多いため、経験を基に業務効率化できる部分はITの力でスタイリッシュにしたいという思いで開発を進めています。

案件管理の方は、実際に物件の管理をプラットフォーム上で行える機能です。物件の下にフォルダやファイルの格納ができるようになっているので、書類を電子化して取引先とも共有しやすくなっています。

【若狭】

具体的には、どのような課題をお持ちの方々が利用されているのでしょうか?

【阿部】

建設業界の課題として、最も大きいのは2024年問題による人材不足だと考えられます。また日本の不動産業の生産性の低さも、解決していかなければならないと思います。

具体的には営業担当者が契約書の準備に忙殺されるなど、非効率な業務プロセスが課題です。「売れば売るほど契約準備に忙殺される」といったジレンマを抱える現場が多く、顧客に対して十分な時間を確保できていないのが実情ではないでしょうか。

そういった課題を解決できるのが、SaaSやITサービスです。当社サービスではそうした準備作業を簡略化し、顧客と向き合う業務に注力できるようサポートしています。

【若狭】

最近は、業界全体でペーパーレス化の動きが進んでいますよね。競合も多い中で、PICKならではの強みや差別化のポイントはどういった点だとお考えですか?

【阿部】

当社の強みは、事業会社・不動産・建築といった業界出身者が多数在籍していることだと考えています。現場の課題をよく理解していることで、お客様からも「本当に現場で使えるサービスだ」と評価頂いています。我々自身が「こういうのがあったらいいな」という思いを原体験として持っており、こういったメンバーが集まっているのが強みになっています。

【若狭】

サービス自体は、内製化・外注等どのような体制で運営されているのですか?

【阿部】

開発は、全て自社で内製化しています。社内にエンジニアやデザイナーを多数抱えており、全てを自社で回している形です。

【若狭】

我々のnat株式会社でも、内製化することで社内連携やスピーディーな開発につながっていると日々感じています。やはり市場全体を見ても、内製化は強みになっていると感じられますか?

【阿部】

そうですね。お客様の声を素早く開発に反映できる点が強みになっています。社内にエンジニアがいるため、緊急度や温度感も伝わりやすいのが有難いと感じています。