RCCMとは?資格の難易度・合格率・部門一覧まで完全解説【2025年最新版】

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Category:土木建築

著者:上野 海

RCCM(シビルコンサルティングマネージャ)は、建設コンサルタント業務に携わる技術者に対して与えられる資格であり、専門知識と実務経験を備えた「現場を動かすプロ」であることの証明です。

そこでこの記事では、RCCMの概要や、国家資格である技術士との違いを解説したのち、資格要件や合格率、取得するメリットについて詳しく紹介していきます。

RCCMとは?

RCCM(Registered Civil Engineering Consulting Manager)とは、建設コンサルタントとしての専門知識・実務能力を証明する資格のことです。

日本語でアールシーシーエム、またそのまま英語の読み方でシビルコンサルティングマネージャと言われることも多く、一般社団法人建設コンサルタンツ協会で認定されている民間資格となります。

(出典:建設コンサルタンツ協会「RCCM資格ホームページ」

なおRCCMは、技術提案書の作成、業務の進捗管理、技術的判断といった建設コンサルタント業務の実務経験をもつ人材が対象です。一定の専門性・経験値を有する技術者であるとを証明できるため、一定の経験年数を経た多くの技術者が資格取得に取り組んでいます。

また建設コンサルタントの仕事内容から知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。

またRCCMは土木設計の仕事で役立つ資格です。詳しくは以下の記事もチェックしてみてください。

RCCMと技術士の違い

RCCMとの比較に挙がりやすいのが、国家資格である「技術士」です。どちらも技術者の専門性を証明する資格ですが、次のように目的・認定団体・資格区分が異なります。

RCCM技術士(一次・二次)
認定機関一般社団法人 建設コンサルタンツ協会国土交通省(技術士法に基づく国家資格)・日本技術士会
資格の種類民間資格(登録制)国家資格(免許制)
評価の軸実務経験・マネジメント能力専門知識・技術的応用力・倫理性
試験内容部門別記述試験 + 業務経歴書基礎・適性(一次) + 論述・口頭試験(二次)
登録後の効力一部の業務で技術者要件として認められる国・自治体業務での設計・管理責任者に就任できる
社会的評価建設コンサルタント業界で重視される建設・製造・インフラ全体で高い評価がある

参考1:建設コンサルタンツ協会・RCCM資格制度事務局「資格制度概要」

参考2:日本技術士会「技術士試験 受験のすすめ」

簡単に言うと、RCCMは「建設コンサル向けの現場力証明」、技術士は「技術分野全体で通用する国家レベルの専門証明」です。

技術士の資格を取得できていない状態でも、RCCMの資格があれば業務受注要件を満たせる業務案件があるため「技術士の試験に何度も落ちている人が、業務受注のために取得しておく資格」という一面もあります。

RCCMが活躍する業界・職種一覧

RCCM資格は「建設コンサルタント業界」を中心に、官公庁発注のインフラ事業に関与するあらゆる業種で求められています。以下に、資格が役立つ業界・職種を整理しました。

  • 建設コンサルタント会社
  • 土木系設計事務所
  • 総合建設業(ゼネコン)
  • 地方自治体・官公庁の技術職(受注側・発注側)
  • インフラ維持管理会社(道路、河川、上下水道など)

RCCM資格は、企業の技術力・提案力の証明として活用されています。公共事業における入札・受注の競争力向上、企業ブランドの強化にも直結するため、多くの建設系企業が社内でRCCM取得を推進しています。

RCCMの資格要件と受験条件

RCCM試験は誰でも受けられるわけではなく、一定の学歴・実務経験年数など明確な受験条件が定められています。以下に一定の要件を整理しました。

最終学歴必要な実務経験年数(同一部門)
大学卒業7年以上
大学卒業(博士)5年以上(学校教育法の博士は2年以上)
高専・短大卒9年以上
高校卒業11年以上
中学卒業14年以上

出典:建設コンサルタンツ協会「資格制度概要(2025年)」

また「申込時点で該当業務に従事していること」「協会が定める業務分類に該当していること(11部門から選択)」「実務経験年数の算出には『業務従事証明書』が必要」といったルールにも注意が必要です。

RCCMの試験内容と部門一覧

RCCMの試験は「筆記試験」「業務経歴書審査」の2段階で実施され、自身の専門分野(11部門)から1つを選択して受験します。

  1. 道路
  2. 鉄道
  3. 河川、砂防及び海岸・海洋
  4. 港湾及び空港
  5. 上下水道
  6. 農業土木
  7. 森林土木
  8. 造園
  9. 都市・地方計画
  10. 土質及び基礎
  11. 鋼構造及びコンクリート

部門は自身の業務経験に合うものを選ぶ必要があり、経歴と一致しないと書類審査で失格となる場合もあります。

過去問の入手先と使い方

RCCMの合格を目指すなら、過去問の活用は必須です。以下に入手方法を整理しました。

  • 建設コンサルタンツ協会の公式サイト
    (一部の年度についてはPDFで問題例を公開中)
  • 参考書・問題集の市販本
  • 受験対策スクールの教材
  • 過去問配信サイト(SUKIYAKI塾)

過去問を入手したら、最初は「問題を読むだけ」で出題傾向を確認し、次に自分の業務経歴と一致する問題に注目、その後に記述構成(結論→根拠→実務例)を真似して書く練習を続けることによって、傾向や対策が身についていきます。

RCCMの難易度と合格率

RCCMは「中堅〜ベテラン向けの実務者試験」であるため、合格率は例年25〜40%前後とやや難関です。

出典:建設コンサルタンツ協会「RCCM資格試験の状況」

業務経験を積み、実践力を磨いてきた技術者であり、しっかりと準備をすれば、十分に合格可能な現実的な難易度です。これまで培ってきた知識・スキルが活きるため、ぜひ前述した過去問による学習をスタートしましょう。

合格までに必要な勉強時間と対策法

RCCM試験に合格するには、おおよそ150〜250時間の学習時間が必要だと言われています。実務経験、そして記述対策を中心にした戦略的な学習が欠かせません。

なお、上記の勉強時間はあくまで経験を積んだ技術者の場合です。経験が浅い人や確実な合格を目指している方は300時間(1年程度の対策なら1日1時間)の勉強を目安にするとよいでしょう。

RCCMを取得するメリット(年収・キャリアアップ)

以下にRCCM資格を取得するメリットをまとめました。

  • 年収アップ
  • プロジェクトリーダーへの登用(管理職へキャリアップ)
  • 国家資格(技術士)へのステップアップ

まず建設企業の多くはRCCMの資格手当を設けているため、年収アップの材料として役立ちます。また管理者としての資格に役立つため、プロジェクトリーダーに抜擢されるなど、自身のキャリアを積みたい人に最適な資格だと言えます。

RCCMについてよくある質問【FAQ】

RCCMと技術士の両方を取得するべき?

RCCMと技術士は評価軸が異なるため、両方を取得すれば、高い専門性と信頼性を得られます。特にRCCMは実務に強く、技術士は国家資格として社会的評価が高いです。官公庁案件や昇進を視野に入れるなら、ダブル取得が有利です。

RCCMは国家資格なの?

RCCMは国家資格ではなく、一般社団法人 建設コンサルタンツ協会が認定する民間資格です。ただし、国や自治体の公共事業では、技術者登録の条件として求められることがあり、国家資格並みに評価される場面も少なくありません。

実務経験が足りない場合は受験できる?

実務経験年数が基準に満たない場合、基本的には受験できません。たとえば大学卒なら7年以上の実務経験が必要です。ただし、経験年数の算定に関する判断基準には例外もあるため、協会の要項をよく確認することをおすすめします。

合格後の登録・更新手続きの方法は?

RCCM合格後は、建設コンサルタンツ協会への登録が必要です。有効期間は5年間で、更新時には「継続教育(CPD)実績の報告」「業務従事状況の確認」といった手続きが求められます。

まとめ

RCCMは、建設コンサルタント分野での実務力・専門性を証明できる重要な資格であり、キャリアアップ・年収向上・社会的信頼の獲得につながる実践型の資格でもあります。

業務経験を積んできた技術力を社会に証明するために役立つ資格ですので、年収アップ・キャリアアップのためにも、取得を検討してみてください。