鉄筋工事へのデジタル援用の新たな挑戦|深堀り取材【毎月更新】
建築BIM加速化事業にともない、BIMやDX化への注目および実施速度が本格化しています。第19回は、建設業における鉄筋工事へのデジタル援用の新たな挑戦について解説します。
目次
ゼネコン21社も参画した鉄筋工事へのデジタル援用の新たな挑戦
前稿においては、鉄筋を3次元モデル化することで鉄筋の定着条件や干渉した際の回避条件を見える化し、工事の品質向上と生産性の改善に結びつけようとする試みについて報告した。本稿では、鉄筋工事でのデジタル援用を更に進展するべく、ゼネコン21社※から構成される配筋検査システム協議会も参画している次なる挑戦について報告する。
ゼネコン21社から構成される配筋検査システム協議会は、継続的に現場の声を反映させ、配筋検査システムをより良く進化させる活動を行っている。
※配筋検査システム協議会ゼネコン21社:青木あすなろ建設、淺沼組、安藤・間、奥村組、北野建設、熊谷組、五洋建設、佐藤工業、大末建設、髙松建設、鉄建建設、東急建設、戸田建設、飛島建設、西松建設、日本国土開発、長谷工コーポレーション、ピーエス三菱、松村組、村本建設、矢作建設工業。
検査品質の向上と効率化を支援する配筋検査専用アプリ「CONSAIT Pro配筋検査」提供開始
プライム ライフ テクノロジーズ(東京都港区)では、建設DXサービス「CONSAIT(コンサイト)※」の第一弾として配筋検査品質の向上と効率化を支援する配筋検査専用アプリ「CONSAIT Pro(プロ)配筋検査」を2024年4月からレンタルサービスの形式で提供する。あわせて、共同開発してきた配筋検査システム協議会ゼネコン21社向けには申し込みを受けてAIカメラ「CONSAIT Eye(アイ)」も提供する。
※CONSAIT(コンサイト): CONSAITは、プライム ライフ テクノロジーズの登録商標。CONSAITは、「CONSAIT Basic」(基盤・記録アプリ)「CONSAIT Pro配筋検査」(専用アプリ)「CONSAIT Eye」(専用デバイス)の3つのサービスで構成。
1測定箇所当たりの事前準備・検査・写真記録・帳票化全ての合計時間の約半減化を実現
建設DXサービス「CONSAIT(コンサイト)」は、パナソニックの技術を活用して開発した「CONSAIT Eye」が配筋を立体検知し、鉄筋径、本数、ピッチを計測、登録した設計データと自動照合し、帳票フォーマットを自動作成する。検査前の「検査用データ加工」「帳票作成」は、「CONSAIT Pro配筋検査」で効率化される。
AI & ICT技術により検査や記録の正確性や検査品質の向上が可能となり、同時に、1測定箇所当たりの事前準備・検査・写真記録・帳票化全ての合計時間を約半減化(実証実験による試算)するなど、煩雑な配筋検査の作業効率化、作業時間の大幅短縮を実現している。
「CONSAIT Basic」(基盤・記録アプリ)
時々刻々と変化する建設現場の記録業務を効率化するアプリ。使用頻度の高い機能(電子小黒板の簡単作成・写真撮影・是正管理・図面管理・報告書作成)に用途を絞り、シンプルに使いやすいので、全ての工種に対応し、直感的な操作で使用できる。アプリ開発・システム開発はパナソニックコネクトが担当している。
「CONSAIT Pro配筋検査」(専用アプリ)
検査前の「検査用データ加工」や「検査項目の設定」、「帳票作成」といった配筋検査業務を効率化するアプリ。アプリ開発はパナソニック、エレクトリックワークス、パナソニックコネクト、システム開発はパナソニックコネクトが担当している。
「CONSAIT Eye」(専用デバイス)
鉄筋を認識可能なAIと正確な計測を可能とする3眼カメラを搭載した専用デバイス。撮影した画像を基に配筋を立体検知し、鉄筋径、本数、ピッチを計測、登録した設計データと自動照合して帳票フォーマットを自動作成する。
AIカメラの導入が進む「土木現場」だけではなく、より正確性が求められ導入が難しいとされる「建築現場」を対象としたAI専用カメラ導入によって配筋検査業務を大幅に効率化できる。合わせて土木現場向け対応も順次導入を予定している。
誰でも持ちやすく使いやすいなど操作感に優れており、検査箇所の「全数記録対応」を容易化するソフト機能を有する。データのアップロード・ダウンロード時はWi-Fi環境が必要だが、現場の「遠隔臨場」にも対応可であるなどオフライン環境でも計測可能。AIカメラ技術の開発はパナソニック、エレクトリックワークス、パーソルAVCテクノロジー、システム開発はパナソニックコネクトが担当している。