SORABITO「GENBAx点検」の開発秘話|デジタル技術で建設現場を変える(前編)

SORABITOは、建設・建機レンタル業界のDXに取り組む注目のスタートアップ企業です。本記事ではSORABITOの新サービス「GENBAx点検」に注目し、開発に関するインタビューをご紹介します。徹底して現場目線にこだわった開発秘話や機能の特徴など、ぜひチェックしてみてください。

GENBAx点検」とは

「GENBAx点検」とは、建設現場のあらゆる点検表をペーパーレス化するサービスです。建機・設備や足場・作業者の健康チェックを網羅し、点検作業から承認作業までをオンラインで一元管理できます。紙の点検表で感じていた管理者の作業負担を解消するサービスです。

2024年春に正式リリースを控えている中、安全点検業務を行う企業の課題をオンラインで解決できるサービスとして建設業界で注目が高まっています。

【GENBAx点検の資料請求・トライアル申込】
https://genbax.jp/inspection/construction/

Q1.「GENBAx点検」の開発に至った背景や動機とは?

建機レンタル会社向けの点検システム「i-Rental 点検」をリリース(2023年)した際に、建設会社様から数件お問い合わせを頂いたのが開発のきっかけでした。当時の私たちの理解としては、他のサービスで既にカバーされている領域なので、後発で入っても難しいのかなと正直思っていました。
しかし、ヒアリングを重ねた所「建機・設備や足場・作業者の健康チェック」を全て網羅しているサービスがその時点ではあまり無いことが分かりました。

また、建設会社で何らかのシステムを導入してはいるが、協力会社の方が使えている段階にまだ至っていないという現状が見えてきました。定着しづらい要因は、共通して「協力会社にシニアな人材が多いこと」がネックとしてあげられたりします。

一方で、レンタル会社向けにサービス提供しているi-Rental 点検は、60代後半のベテランにも使って頂いているという実績がありました。その知見を活かし開発や、導入支援を進めることで、建設現場のベテランの方にもしっかり現場で使ってもらえるサービスが作れるのではないかと考えました。

Q2.安全点検業務の課題やニーズとは?

安全点検に関わる業務としては、点検するという「作業」と、点検結果の承認をするという「承認」の大きくわけると2つの業務があります。承認に関わる業務には、点検表の回収、点検実績の確認、点検結果の承認、点検表の回覧があります。これらは、紙の点検表である限り、場所と時間に対する制約が存在します。
また、点検対象は建機だけでなく、設備・人と多岐にわたります。安全管理のためには蔑ろにできない重要な業務でありながら、紙の点検表での安全点検については、作業管理、承認を行う方にとって負荷が高い業務となっているのが現状です。

Q3.GENBAx点検のプロダクト開発で大切にしていることは?

●   協力会社の方が、紙の点検表と変わらずに業務できるサービスであること

●   「建機、設備・足場、作業者の健康チェック」の点検作業から承認までを一元管理できること

●   協力会社の方の作業状況を、元請がリアルタイムで把握できること

作業状況をリアルタイムで把握できること、点検表の回収を不要にすること、承認作業を効率化するためには、協力会社の方がシステムを通じて点検作業を完了させる必要があります。

DX推進者に評価されるプロダクトにするのは簡単ですが、実際に使うのは現場の協力会社の方です。だからこそ、人手不足で業務が増えている中で、安全点検業務のDXを推進するために重要視する点は「協力会社の方が使いやすい簡単なサービス」だと考えています。

上記のような開発思想をもって、ベテランユーザーが自然に使えるように「簡単ログインQR」を設計したり、誰もが読みやすいように「文字を大きく」したり、指が大きい作業員の方でも操作しやすいように「タップする枠を大きく」したり、外国人労働者でも分かりやすいように不具合登録は赤色表示するなどの「色分け表示」を行うなど、細かな配慮を行うようにしています。

他のサービスでは、Excelで作成し印刷された紙の点検表をそのまま電子化した製品も多いです。実際はスマホでExcel入力を行うのは煩雑ですし、管理者側の都合が優先されてしまっているのではないかと思います。
弊社サービスでは、作業管理者の業務効率化を達成するために、入力者である作業者を意識しユニバーサルデザインで使いやすい仕様にすることにこだわっています。

Q4.現場を大切にされている印象ですが、実際の声により開発された機能を教えてください 

現場の声は、とにかく意識しています。また、現場の業務を少しでも効率化できるように、複数の業務を同時に処理できるような工夫が出来ないかと日々思考錯誤するようにしています。様々な声をいただきますが、具体的に開発に至っているものとしては、「点検対象を登録する」際に複数の業務を一気通貫で効率化する機能がお話として分かりやすいかなと思います。

GENBAx点検では、作業員がモバイル端末から点検表を探しやすいように「検索する」ではなく、「QRで点検表を呼び出す」という体験を提供してますが、このQRは、GENBAx点検に点検対象物の情報を登録すると、自動生成されます。このQRは対象物にぶら下げたりできるように、当然ながら印刷が可能です。

この「点検対象を登録する」という業務を、ただのマスタ登録機能として提供してしまうと、全体効率化のためにひとつの業務を追加することになってしまいます。そのため、GENBAx点検では、ただのマスタ登録機能ではなく、QRの自動生成に加えて、協力会社より持ち込まれる機械の受付に関する業務も効率化できるようにしています。

建設現場にある機械については、レンタル品の機械と、協力会社が持ち込む機械の2種類があります。機械を実際に現場に持ち込む際には、協力会社は使用届を出し、元請は受理書を発行します。GENBAx点検では、点検表を呼び出すQRの印刷フォーマットを二つ用意することにしました。図にあるような「持込機械届済証」と、そうではないものです。

つまり、現場担当者は、GENBAx点検で点検対象の情報を登録するだけで、機械に関する点検表が紐づき、点検表を呼び出すQRが自動生成され、必要に応じて持込機械届済証まで作成できるようになるのです。

また、ヒアリングにより、持込機械の登録には、機材情報の他に機械の写真や持込時の書類を併せて管理する必要があることを把握しました。これにより、点検するための機械情報の登録画面では、機械のテキスト情報の他、写真や関連ファイル、QR情報など複数の情報を一元管理できるように開発しています。

現場の方から出てくる課題の一つ一つは「点」でしかないのですが、整理すると一連の作業が「線」で表すことができます。GENBAx点検では、現場の皆さんが口にされる課題をそのまま開発するのではなく、本質的な課題が何かを捉え複数の課題を同時に解消できるように取り組んでいます。

Q5.GENBAx点検のメリットや効果とは?安全点検業務の効率化において重要なことは?

 1番のメリットは、紙の回収業務の削減と、確認・承認業務のリアルタイム化だと考えています。点検作業から承認作業までを一元管理できるシステムだからこそ、実現できるものと考えています。

よくあるケースですが、たとえば協力会社の方が一カ月管理用の点検表で点検作業を行う場合、月1回ですが点検表を回収する業務が生じます(日単位の点検表であれば、毎営業日ごとに発生)。点検表回収後は、作業承認、上長及び他部門への社内回覧、各担当者で承認作業が行われます。この運用では、点検表を回収するまで、毎日点検が実施されているか状況が分からないので、月末慌ただしく点検未実施日を確認してその帳尻合わせを行ったり、大量の回覧物とともに承認したりする作業が必要となり、関係者それぞれに残業が必要になるかもしれません。
しかし、GENBAx点検を利用することで、点検表の回収をせず、点検実施状況がリアルタイムで照会でき、承認機能によりいつでもどこでも承認作業を進めることができます。また、点検実施時の「不具合情報」も見える化されるので、安全対策を先回りして検討するなどDXを推進しながら、現場の安全向上に取り組むことができるのではないでしょうか。

実際の現場では、協力会社の方が承認作業を行うケースもありますが、弊社サービスでは協力会社であっても、特別な権限範囲の中で承認者アカウントとしてユーザー登録を行うことができます。点検作業から承認までをシームレスに繋げられることで、初めてゼネコン側もリアルタイムに点検状況の把握が可能になります。こういった機能をメリットに感じて頂けると思います。

前述のメリットについては、点検結果が登録されているからこそ享受できるメリットです。だからこそ、GENBAx点検では、協力会社の方に使っていただけることを意識しています。
たとえば、一般的なシステムであればID・PASSを入力してログインしますが、これが思いのほか高いハードルとなります。そこで、弊社サービスでは、QRを読み取ってSNSアカウントやSMSなどでログインする「簡単ログイン機能」の提供を行っています。
また、この機能により、実は、点検管理者もラクになっています。ログインからアカウント登録が可能となるので、管理者側でアカウント発行作業が不要となります。関係者の出入りの多い建設現場において、アカウント発行工数は、なかなかの手間なので、そういった課題を解消している点も評価いただけると思います。 

「GENBAx点検」サービス詳細

GENBAx点検の詳しいサービスは、こちらの動画をご覧ください。