【家入龍太氏のセミナーを記事化】2023年絶対に押さえておきたい5大ニュースを解説!(後編)

2023年12月21日に実施しました家入龍太氏によるオンラインセミナー「2023年の建設DXを振り返り。重要ポイントを30分で解説」について、公開いたします。
当日ご参加いただけなかったみなさまは、ぜひ本記事にて2023年を振り返っていただければと思います。
※本記事は後編になります。前半はこちらからお読みいただけます。

また本セミナーのアーカイブ動画は1月にメルマガ会員様限定で配信予定ですので、動画で振り返りをされたいかたは、ぜひ本年度中にメルマガのご登録をお願いいたします。

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第2章:5大トレンドで振り返る2023年の建設DX(2位~1位)

それから第2位、「BIMがデジタルツイン、メタバースに進化した、リアルな現場をデジタル化し、テレワークやプレハブ化」、AIにさまざまな生産性向上が図られるようになってきたということです。この記事はピックアップ数が一番多く28本ありました。

目立つニュースは、「県単位で、長崎県全体の点群データを無料で公開」した、それから「メタバースで世界未来都市建設」、これは愛知県は豊田市の事例ですね、それから「野原産業グループ4社が“BIMのため”に合併」したという記事です。これはBIMが幅広い設計だけでなくて調達などにも使われるようになったのが象徴かと思います。
それら以外にも多数の記事がございましたけれども、共通点は何かといいますと、BIMで実構造物をデジタルツイン化する、それから単なる完成予想図としてのBIMではなく、実物と1対1の対応した実物ありきのBIMになってきたということです。
単に3Dモデル化するだけでなく、(VRやメタバース空間の中でいろいろコミュニケーションが取れるのがメタバースといいますけれども)そういった分野に幅広く、一つの3Dモデル化する手段として使われてきました。
BIM代わりに3Dスキャン活用もという記事もありますね。

これまでは実物を表すのにデジタルツイン、BIMモデルでやるという考え方が主流でしたけれども、最近はマーターポートや点群データといったもので、実物ありきのものをそのまま3Dモデル化して効率的に管理するというような幅広さがBIMに出てきたのかなと思います。

杉孝と積木製作が足場作業をメタバース化!。VRゴーグルで遠隔地間の“声かけ共同作業”を実現

その一つの例ですけれども、「杉孝と積木製作が足場作業をメタバース化!。VRゴーグルで遠隔地間の“声かけ共同作業”を実現」、これは8月に掲載した記事です。

図⑱

これは現場の安全教育をやるのに、左側(図⑱)を見るとゴーグルを付けて室内で講習を行っています。
しかも1カ所でやるのではなくて、いろんな全国のこういった会社をつないで集合教育をやろうということです。このゴーグルを付けた人の目には、右側のようにこういった足場の板を下から上へ受け渡すような作業の一員として自分が参加できるということであります。それから、例えばこういった足場材を下から上に上げたり下ろしたりする時に、片方の人が「よしつかんだぞ」と、「じゃ、離すぞ」、そういう声かけが大事になってきます。タイミングがずれるとばーんと落ちてしまってけがになりますので、そういった声かけをVRゴーグルを通じて遠隔地間で声かけができるということです。
これは安全教育が効率化され、かつリアルにできるようになってきたと感じますね。BIMの発展が、こういったVRやメタバースにつながっているのかなと思います。

大成建設らがメタバース空間で設計承認へ!意匠、構造、設備のBIMモデルを活用し、360度死角なし

その次、「大成建設らがメタバース空間で設計承認へ!意匠、構造、設備のBIMモデルを活用し、360度死角なし」という、これは9月に掲載した記事です。

図⑲

これまでもBIMでCGのように表現したりウォークスルーで完成予想を分かりやすくするなどして承認を行っていますが、これをさらにリアルにしまして、写真画質のような、まさに現場に行ったままのリアリティです。

かつ1,200ミリと左側にありますが、寸法もBIMらしく出ていて、自分の大きさに比べて周りの壁などの高さがどういうふうに見えるか、そういった感覚も分かるようになっております。それで右側(図⑲)のように承認した日などもきっちり記録されるようになってきたということであります。

野原産業グループ4社が“BIMのため”に合併!

続いては、「野原産業グループ4社が“BIMのため”に合併!」という記事です。「BuildApp」で建設業界のアップデートを目指すという記事内容になっていまして、これは今年4月に書きました。

図⑳
図21

こちらはやはりBIMのプラットフォーム化というところが特徴かと思います。
左側(図20)のBuildAppのサービスマップを見ますと、設計から生産、流通、施工管理ということで、BIMを一つのプラットフォームにして全ての建設の仕事を回していく、マネジメントしていこうという考え方です。
このBuildAppのBIMワークスフローを円滑に回すためには、バラバラの会社よりも一体化したほうが効率的に運営できるのではないかなということだと私は理解しております。

その一つの成果としまして、「東亜建設がBIMとプレカットで内装工事の建設廃材を半減!野原HDの「BuildApp」を活用」したということで、左側(図21)をご覧ください。
内装材というものはやはり定尺がありますから、むやみやたらに切ると廃材がいっぱい出ます。だから定尺材はできるだけ大きく使って、残りのほうを少し調整するということをBIM上でやります。もうデジタルツインのようなものです。
右側のほうがデジタルツインどおりに施工していますが、これでかなり廃材が減っております。

VRで施工・維持管理!マーターポートで現場を3D計測し、デジタルツイン化

それから野原グループとなってから、「VRで施工・維持管理!マーターポートで現場を3D計測し、デジタルツイン化」ということで、これはつい先日、12月18日に掲載した記事です。左側(図㉒)がマーターポートという3Dスキャナーのような機械なのですが、非常に簡単に現場を3Dスキャンします。

図22

撮影したデータを上げると室内全部がつながった3Dモデルができます。右側の写真の左側はスケルトン状態になった現場をマーターポートでもって3Dモデル化したものです。その上に使用時のさまざまな家具や什器を置いて検討したり管理したりということができるようになってきました。

ですから、BIMモデルを作るのではなくて、現物ありきでマーターポートなどで測って、VR、メタバースといったものを作っていくということも行えるようになってきたということであります。

人間の「子分」として使えるロボット・AIが急増している、簡単、退屈な仕事はロボットで、雑用の処理はAIで

それではいよいよ第1位となりました。

第1位、「人間の「子分」として使えるロボット・AIが急増している、簡単、退屈な仕事はロボットで、雑用の処理はAIで」ということでありまして、これは全部で22本記事があります。
「ChatGPT先生が会議録音を議事録へ」と、こういったことが生成AI、ChatGPTといったものでぐっと身近になってきました。それからロボットにつきましても、人間の仕事を手伝ってくれるようなロボットが、建設RXコンソーシアムというのが大同団結で出来上がってきまして、これで一気に加速してやっているということであります。

ポイントですけれども、人間の「子分」として使えるロボット・AIが急増した。買って使えるロボット、AIが続々登場しているということで、ロボットが開発するものでなくて、もう買って使えるようになってきました。これまでは、人ができない仕事をロボットにやらせるという考え方でしたが、人ができる作業をロボット、AIに任せて手伝わせようという発想のロボット、AIが増えてきました。また、生成AIの登場でAIを身近に活用できるようになりました。
例えば、私もこの資料を作るのにChatGPTを使いました少しずつ子分として使うようになってきています。

では、このテーマに関するニュースからさらに注目ポイントを深掘りしたいと思います。

大成建設が建設RXコンソーシアムに参加し大手5社が集結

「大成建設が建設RXコンソーシアムに参加し大手5社が集結」したということで、スーパーゼネコン5社が全て今年、建設RXコンソーシアムという団体に集結しました。
これはどんな団体かというと、建設業界で使うロボットを人手不足で大変だとか省人化したいという共通の困り事、(これを協調領域と言っています)それの問題を解決するロボットを共同で開発して共同で使って、安くいいものを使おうという団体であります。

隠して計算したり競争したりしない、という覚悟の現れであります。

レンタルのニッケンと清水建設がロボット作業台シリーズを開発!

それから「レンタルのニッケンと清水建設がロボット作業台シリーズを開発!」ということで、左端(図㉔)のものが高さ1.95メーターです。真ん中の写真のこれは高さ4メーターぐらいまで上がるテーブルですが、リモコンで操作できます。

この2台を組み合わせて使うと右側のように1人で天井を貼る作業ができるということです。これまでは恐らく何人か必要だったと思いますが、1人でできるということは残りの人の作業が浮くわけですから大幅な短縮になります。

ChatGPTで計画、Midjourneyでデザイン、自動的にBIM化!“プロンプトアーキテクト”のスピード設計術とは

それからChatGPT、冒頭に私も世話になっていると申し上げましたが、これはいろんな使い道があります。
私が印象に残ったのは「ChatGPTで計画、Midjourneyでデザイン、自動的にBIM化!“プロンプトアーキテクト”のスピード設計術とは」ということで、今年6月に載せた記事です。

図25
図26
図27

ChatGPTにうまく質問する技術をプロンプトエンジニアリングと言っています。例えばこれでどういう効果があるかというと、右端(図㉕)に粗々なBIMモデルがありますが、こういうものを10分間で作れるということです。
それからその表を基にBIMモデルの部屋を全部集めてくれと言うと、専用サイトがあって3分ぐらいで出力されます。
最後6分で、集めたBIMモデルを所定の断面積で積み上げていって粗々なBIMモデルができます。これは6分ということでありますが、自動モデリング技術を使っております。こういうことがもうできるようになりました。10分で粗々なBIMモデルができるということで、これは非常に驚きました。

左端(図㉖)がChatGPTでその諸室一覧表を作らせた時の絵です。400人の生徒が学ぶ学校の施設を作ってくれます。
1行、1.5行に満たないぐらいの指示で、ChatGPTがきちんと作ってくれるのです。その右側が一覧表に基づいて、専用のサイトから家具付きの部屋のBIMモデル一式を集めてきたということであります。
あとはこれを積み上げるだけです。左側(図㉗)が積み上げている例です。
右がもう少しデザインを良くしたいということで、Midjourneyで「これこれしかじか」のデザインの外観を作ってくれと指示します。Midjourneyは2次元ですからCGのようなものを作れるので、一応右側のような絵は作ってくれます。

右側のように似せて人間が調整していけばそれなりに設計ができてしまうということであります。やはり生成AIはすごく使いやすくなったと私は思います。

以上、5大トレンドで振り返る2023年の建設DXのまとめということで、

第1位は「人間の「子分」として使えるロボット・AIが急増した」
第2位、「BIMがデジタルツイン、メタバースに進化し始めた」
第3位、「建設用3Dプリンターが「本気」を出し始めた」
第4位、「設計、施工、維持管理の遠隔化、自動化が進む」
第5位、「ドローンが運搬機、センサーとして驚きの進化を遂げた」

という順位をつけさせて頂きました。

第3章 2024年問題を解決する考え方とは

最後に、「2024年問題を解決する考え方とは」というテーマで締めくくりたいと思いますが、簡単に申し上げますと「早く帰る」ための働き方改革、ITとか建設DXを活用していきましょう。

2024年問題は残業規制が建設業ではいよいよ厳格化されます。

改正前は半年間は上限なしで残業できたのですが、来年の4月からは一定の基準が決められて、これをオーバーすると労働基準法違反ということで、悪い場合は経営者が逮捕されますという結構シビアな問題です。
この2024年問題を解決する簡単な図式を作ってみましたけれども、現状は残業の習慣化、さまざまなムダ、手作業の非効率が多いということで、上のほうの横グラフ(図㉘)は最初の左側が出勤、途中には定時がありまして、2024年の上限が表現してあります。

今は上限をオーバーしているというイメージです。この1日の仕事の中で生産時間とムダな時間が交互にあります。これは模式化していますけれども、実際はもっと細かくあると思います。

どうやって2024年をクリアするかというと、このブルーの生産の時間を少し圧縮して減らして赤のムダな時間は思い切り減らしましょうということで、それを積み上げると、定時はオーバーするかもしれないけれども2024年問題の上限はクリアするだろうということで、理想は「早く帰る」を定着する、さまざまなムダ削減、IT・機械化による時間短縮ということで、これでクリアしていきましょうということであります。

最初はやはり、この早く帰ることは偉いことだと経営陣の皆様に言っていただいて、そういう文化を180度変えるというところをまずやっていくこと。その後、2024年問題解決のためのDX戦術として、まずは昼間シフトです。これは元々残業時間でやっていた書類作成などを昼間にやりましょう。例えばクラウド施工管理システムでの写真整理、日報作成、こういったものが効果があるだろうということです。

それからムダ削減、これはさまざまあります。移動、手待ち、作業、手戻り、さまざまなムダを削減するということで、オンライン会議、遠隔臨場、遠隔操作、この辺は移動のムダをなくします。

それから超人化、これはIT機器を人間に装着して作業時間を早めようということです。例えばAR、ホロレンズのようなもので出来形管理をスピーディーにしたり、電動キックボードで移動を早くするというところです。だから工程表を細かくしていくと電動キックボードなどがあるとすごく短縮されるのではないかと思います。

それからロボット・AI化です。ロボット・AIを子分のように仕事させるということで、例えば墨出しロボや鉄筋結束ロボやChatGPTで議事録作成するといったように、ロボット・AIを使うことで労働力を単純に削減できます。

最後は相互協力です。これは他人の効率化のために自分が協力する、お互いにそれをやり合うということです。わかりやすいのは現場のデジタルツイン配信です。現場監督が現場に行かないようにするために、この現場を360度カメラやマーターポートで撮影して、それをクラウドにアップしてもらうとありがたいですよね。職員さん自身のメリットはあまり無いように思えるかもしれませんが、他の人が助かるために一肌脱いでデジタルツインを作ってアップしてやろうじゃないかと、いうようなことをお互いに行うことで、効率化が図れるのではないかと思います。

登壇者のご紹介:建設ITワールド 家入 龍太氏

【運営会社】
株式会社 建設ITワールド 
代表取締役 家入 龍太
https://ken-it.world/

【活動内容】
BIM/CIMやi-Construction、ロボット・AIなどの導入により、コロナ禍対策と生産性向上の両立、地球環境保全、国際化、さらには建設DXの実現といった建設業が抱える経営課題を解決するための情報を「一歩先の視点」で発信し続ける建設ITジャーナリスト。

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