BIM活用を推進するBIM FORUMという組織

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著者:藤井章弘

まず「BIM FORUM」という言葉自体、聞いたことがある方はどれだけいるでしょうか。LOD(Level of Development)という言葉であれば聞いたことがある方が多いかもしれませんが、そのLODの仕様を定義して世に公開した組織がBIM FORUMです。

BIM FORUMは、それ以外にも様々な活動を行っており、より良い業界にしていくための一つの基盤を築いています。本稿ではそのBIM FORUMをより詳しく知っていただくため、簡単にご紹介していきます。BIM FORUMのHP(https://bimforum.org/)に記載されている情報は全て英語で、主に海外における情報が発信されているため、そこで得た知識をそのまま日本国内で使用するのは難しいかもしれません。しかし世界で考えられていることや取り組まれていること、世界の標準等を知るには良い情報源です。

日本はBIMが遅れていると言われていますが、BIM FORUMでの情報をきっかけに課題解決のヒントや進むべき方向を探っていきましょう。

BIM FORUMとは

「BIM FORUM」は、建築業界の数名の専門家によってアメリカで生まれた非営利組織です。BIM FORUMのミッションは、建築業界の未来をより良くするために、テクノロジーとプロセスの実用的な実装を推進することです。BIMに関心を持つ専門家や企業が集まり、ミッション達成のために多岐にわたる活動が行われています。

定期的にそれらの情報がニュースやイベント等でも発信されており、HPからも継続的に活動が行われていることが伺えます。また実際にBIM FORUMの会員に加わることで、より深く関わり、繋がりを作ることもできます。興味のある方は、HPで確認してみてください。

BIM FORUMの取り組み

BIM FORUMの活動としてよく知られているのは、「LODを定義したこと」です。国や会社によってその詳細や運用方法は異なりますが、LODはBIMを用いたプロジェクトでは必須の概念であり、それが定義され公開されたことの意義は非常に大きいです。資料はHP内で公開されており、情報量も多く、定期的に更新されています。

またBEP(BIM実行計画)や、その他BIMに関する資料もいくつかまとめられています。もちろん全て英語なので、全て読むのはひと苦労かもしれません。ただ世界標準を知ることができるので、興味のある分野だけでも参考に目を通してみるのもおすすめです。それらのまとまった資料を公開する以外にも取り組んでいる項目があるため、以下にリストアップしました。

BIMの普及と啓蒙

BIMに関する理解を深め、建築業界全体にBIMの利点と価値を啓蒙しています。BIMがもたらす効果や可能性について、専門家や企業、学術機関などへ情報を提供し、BIMの普及を促進しています。

最新情報やベストプラクティスの共有

BIMに関連する最新情報やベストプラクティスを共有するプラットフォームを提供しています。成功したBIMプロジェクトの事例や実践的な手法を共有することで、業界全体で知識や技術力の向上を図り、BIMを効果的に導入、活用できるようサポートしています。

ネットワーキングとコラボレーション

BIMに関連する専門家や企業が交流し、ネットワーキングを行う機会を提供しています。またコラボレーションを促進し、異なるプロジェクトや組織間での知識やリソースの共有を支援しています。

BIMの標準化とガイドラインの策定

BIMの標準化やガイドラインの策定に関与し、業界全体での一貫性の確保や相互運用性の向上を目指し、BIMをより効果的に活用するための指針を提供しています。

セミナー等のイベントの開催

BIMの知識や技術力の向上を支援するために、セミナー等のイベントを開催しています。BIMの基礎から応用まで幅広いトピックについて学ぶことができ、BIMの理解を深める機会を提供しています。

まとめ

BIM FORUMは、世界的なBIMの普及や建築業界の発展を推進する重要な組織になっています。その活動は建築業界全体に広がっており、日本でも大きな影響力を持っています。

日本においては、世界標準を理解した上で、独自の文化や慣習等を考慮してBIMを活用していく必要があります。BIMを推進していく人には、マクロな視点とミクロな視点の両方が求められます。

世界はこうだからと真っ直ぐ進もうとせずに、向かう方角さえ正しければ、蛇行してでも確実にその方向に向かって進むのが日本におけるBIM活用の近道になると思います。そのためにも日本国内においてもBIMに関する情報共有を積極的に行い、蛇行するスピードをさらに上げていくことが必要です。