BIMの導入で期待できるメリットとは?デメリットはあるのか?|㈱キャパ メディア連携企画
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BIMは、Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)の略称です。設計の初期段階からコンピュータ上に3次元モデルを作成し、形状情報(柱、壁など)に加えて、属性情報(寸法、素材、工程、個数)の情報を盛り込むことができるのが特徴です。また、3次元モデルから2次元の図面を出力することができます。便利な技術ですが、日本では普及が進んでいないのが現状です。
この記事ではBIMの導入状況とBIMを導入するメリット・デメリットについてご紹介します。
目次
BIMの導入状況
欧米では公共工事の発注者である国・自治体が積極的にBIMの導入を進めたため、十分に普及しているといえますが、日本ではBIMが普及しているとはいえません。
2021年に国土交通省が行った調査によると、総合設計事務所、専門設計事務所、総合建設業、専門工事業者のうち、BIMを導入していたのは43%で、3年以内にBIMを導入する予定がある企業・部署は5%ほどです。
分野別で見ると、総合設計事務所で最も高く、81%となっており、最も低い専門設計事務所では32%になっています。
建設業は中小企業が多いという特徴がありますが、数十人規模の企業・部署では導入がほとんど進んでいません。
どうしてBIMを導入しないのか
この調査ではBIMを導入していない企業に、導入しない理由についてのアンケート調査を行っており、多い理由に次のようなものがあります。
・発注者・業務上の関係者からBIM活用を求められていないため
・CAD等で現状問題なく業務を行うことができているため
・BIMを習熟するまで業務負担が大きいため
・BIMのソフト等の購入・維持に高額な費用がかかるため
・BIMを活用する人材がいないため、人材育成・雇用に費用がかかるため
BIMが普及しないのは、後に挙げる導入コストのデメリットだけでなく、BIMを導入する利点が認知されていないからという理由があるようです。
BIM導入のメリット
それではBIMを導入することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
BIMという技術がどういうものなのか説明しながら紹介していきます。
情報を統合し、業務を効率化する
BIMでは、設計の初期から3次元モデルで設計します。意匠上の表現のためのモデルだけではなく、構造設計や設備設計情報のほか、コストや仕上げなど、付随する情報を統合されたデータとして活用することができます。
これまで設計や施工の段階で様々なソフトウェアで分断されていた情報が統合され情報が共有されるので、業務が正確でスピーディになります。2次元の断面図や平面図などは3Dモデルから自動的に作成されるので、3Dモデルを修正するだけで簡単に図面を作り直すこともできます。
3Dモデルを使うことで合意形成や意思決定がスムーズになる
BIMでは、設計の初期から3次元モデルで設計します。意匠上の表現のためのモデルだけではなく、構造設計や設備設計情報のほか、コストや仕上げなど、付随する情報を統合されたデータとして活用することができます。*2
2次元の図面やパースでは実際にどんな建物がたつのか、その建物が立つことで周りの環境はどのようになるのかというのは人によって理解度に違いがあります。特に建設の世界に長年関わってきて図面と実際に建つ建物を何度も見てきている設計者や施工者と、建物を建てたいと思っている施主では理解度に差があるのは容易に想像できます。そのため、実際に完成してみないとわからない、というケースは少なくありません。
BIMでは3次元モデルを共有することができるので、だれでもその土地に建物が建ったイメージが容易に想像できます。さらに建物内のウォークスルー動画を作成することもできます。
建物内に置かれる家具の種類や配置、壁紙の色やテクスチャー、照明効果の変更も簡単に行えるので、内観の検討も関係者間でスムーズに行えます。
環境に配慮した建築の設計をサポートしてくれる
社会的にニーズが高まっている、環境に配慮し、サステナビリティを考慮した建築設計ができるようになります。*3
近年では、新築を建てる際は一定の環境基準を達成しなければ許可を得ることができず、今後この基準はますます厳しくなっていくでしょう。
BIMでは作成した3Dモデルに空調設備や照明の個数、品番、消費電力などの情報を組み込めるので、解析ソフトを組み合わせて風環境や日照、視線、反射光といった環境データを組み合わせることで環境シミュレーションを設計段階でスピーディーに行うことができます。
フロントローディングによってスケジュールの前倒しとコスト削減を実現する
フロントローディングとは、一般的に設計初期の段階に負荷をかけ(ローディング)、作業を前倒しで進めることをいいます。*4
可視化された3次元モデルで情報を活用したシミュレーションや検証を行います。そうしてフロントローディングを行い、事前に設計検討や問題点の改善を図ることにより、従来よりも早い段階で設計品質を高めることが可能です。
従来の方法では模型を作成し、設計検討、改良、確認を行っていました。BIMを導入すれば、この工程がバーチャル空間上の3次元モデルを使用したシミュレーション・検証に代わります。干渉チェックやコスト、工事期間などのシミュレーションを行えます。設計の現場で頻発する手戻りによるスケジュールの長期化や、無駄なコストの発生を事前に防ぐことが可能になります。
これまでの設計プロセスでは、仕事量のピークは実施設計段階に位置しています。設計図に不整合や未決定部分が存在していることで、想定外のコストや工期の遅れ、品質低下といった問題が生じる可能性があります。
BIMを導入してフロントローディングを実施すると、このピークが基本設計段階に前倒しされ、コストアップの要因となるあらゆる問題を排除することが期待されます。
建物のライフサイクルを管理することができる
BIMは設計・施工段階だけでなく、竣工後から解体に至るまでのライフサイクル全体にも活用することができます。3次元モデルに盛り込まれた設備の情報を見ながら、点検業務を行うことで施設の維持・管理などの効率化が期待できます。さらに保全・点検作業や修繕の情報をBIMに連携するシステムに記録することで、建物の資産価値を高める維持管理データの分析や、効率的な修繕対応につながっていきます。
建物に設置したセンサーなどと連携することで建物で行われるサービスを開発・かいぜんすることもできます。
BIM導入のデメリット
次にBIMを導入する際のデメリットについて解説します。
BIMツールの導入コストが高い
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