2×4(ツーバイフォー)はやめた方がいい?木材活用でSDGs促進
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「2×4(ツーバイフォー)」についてピックアップします。SDGsの観点から木造建築の存在感が高まる中、建築手法の一つである2×4にも注目が集まっています。本記事では2×4の概要やメリットの他、課題や国の取り組みについてもご紹介します。
2×4(ツーバイフォー)工法とは|在来工法との違い
2×4(ツーバイフォー)工法は木造建築工法の一つで「木造枠組壁工法」とも呼ばれます。2インチ×4インチの角材を基準として壁や床を構築することが、名前の由来です。パネルを組み合わせた構造のため、シンプルな箱型の建物になります。
2×4は、元々西部開拓時代のアメリカで誕生した工法です。技術を持たない職人でも簡単に建てられるようにするため、サイズが規格化されたという経緯があります。現在でも、北米での住宅のほとんどは2×4工法で建築されています。
一方で日本では「木造軸組工法(在来工法)」が主流で、約8割を占めています。こちらは柱や梁といった「線」が構成要素であり、比較的自由な間取りが可能です。狭小地や変形地でも建築可能で、改築やリフォームもしやすいという特徴があります。
2×4と在来工法にはどちらにも利点があるため、どちらが適しているかは条件によって異なります。ハウスメーカーによって対応している工法の種類が違うので、新築住宅計画の第一歩として選ぶ必要があるでしょう。
2×4(ツーバイフォー)の課題・デメリット
住宅計画を考え始めると、「2×4(ツーバイフォー)はやめた方がいい」という意見が気になるかもしれません。このように言われる理由としては、下記が挙げられます。
- 間取りの制約がある
- 結露が生じやすい場合がある
- 日本では建築棟数が少ない
2×4工法は「面」を構築する方法であり、壁や床全体で荷重を支えるのが特徴です。そのため、在来工法のように「後から部屋の位置を変える」といった工事は難しくなります。大きな開口部を作ると強度が弱くなってしまうため、開放的な間取りも避けるのがおすすめです。
また木材は結露しやすく、湿度が高い環境では特に問題が生じる可能性があります。結露が生じると建物内部に水ダメージを引き起こし、カビや腐食のリスクを増加させる可能性があります。そのため、適切な結露対策、通気設計や断熱材の使用が重要です。
こういった理由から、日本では在来工法に比べて2×4の普及度は低く、建築棟数が少ない傾向があります。対応している住宅メーカーの数も少ないため、新築時だけでなくメンテナンス時にも業者を探すのが難しくなってしまうかもしれません。
2×4(ツーバイフォー)のメリット
2×4工法にはデメリットがあるものの、メリットもあります。最近では技術開発が進められ、課題を解消している製品も多いです。
- 施工性が良い
- 高断熱・高気密
- 耐火性能に優れる
2×4工法は、規格化された角材を使用します。そのため現場での作業が比較的少なく、職人の腕に頼らずに施工することが可能です。プロセスがシステム化されていることで、工期短縮やコスト削減に繋がります。
また「面」で構成されていることで、高い断熱性と気密性が実現します。高断熱・高気密の建物はエネルギーコストを削減し、快適性がアップします。これは耐火性能の高さにも通じるポイントで、在来工法に比べて火災保険料も安くなるというメリットがあります。
木材活用の動き|SDGsに貢献
日本で古くから根付いてきた木造建築ですが、最近SDGsの観点から再注目されています。ここでは、具体的な木造建築活用の動きについてご紹介します。
国交省、木材活用を推進
国土交通省では「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」に基づき、公共建築物における木材の利用の促進に取り組んでいます。
2020年度の木造公共建築物は132棟で、低層の公共建築物の木造化率は96%を達成しています。木材の利用は「炭素の固定」などSDGsにも貢献するため、今後も積極的な利用が求められています。
ツーバイフォー建築における国産木材活用協議会
枠組壁工法では、従来まで輸入材を用いるのが一般的でした。しかし世界的な木材価格の高騰「ウッドショック」を受け、輸入材に頼ることの課題が浮き彫りになりました。
こういった背景から、2022年に「ツーバイフォー建築における国産木材活用協議会」が発足しました。主な目的は、国産材の活用を推進し、持続可能な木材供給網を構築することです。この取り組みを通じてCO2の排出を抑制し、カーボンニュートラルを実現することも目指します。主な事業内容は、下記の通りです。
- ツーバイフォー工法建築物に活用する国産木材に関する需給動向調査及び調査結果の公表・提言
- 国産木材活用推進のための情報収集、普及啓発活動
- 国産木材供給のサプライチェーンの整備、支援、提言
- 国産木材の製品規格の標準化
- 国産木材に関する法令・規格の調査、研究及び提言
- 国産木材を利用した建築物における炭素貯蔵量・炭素排出量・炭素吸収量等の算定結果の公表
- その他協議会の目的を達成するために必要な事業
会員構成は協和木材、三井ホーム、三菱地所住宅加工センターといった製材事業者の他、地域の建設事業者等となっています。
まとめ|2×4(ツーバイフォー)で環境に優しい住まい
2×4建築にはメリットが多く、国産木材活用の取り組みとしても評価が高いです。SDGsの観点からも、炭素を固定できる木造建築物のニーズは高まっています。まだまだ日本では2×4の普及が進んでいないのが現状ですが、今後の活用が期待されます。