マンションの新しい付帯サービス。オンライン診療について解説
住宅を提供する際の付帯サービスとして、オンライン診療を導入するケースが増加しつつあります。住宅に限らず、様々な商品やサービスの購入に関して、顧客のニーズは多様化している状況です。そのため、特定のマンションの住人を対象としたオンライン診療の提供も顧客ニーズに対応する方法の1つだといえます。
本記事では、オンライン診療の現状と事例についてみていきましょう。
目次
「トレンドワード:オンライン診療」
オンライン診療とは、インターネット技術を活用した診察を意味する言葉です。オンライン診療の特徴をまとめると次のようになります。
- PCやスマホ、タブレットで診察を受けられる
- 処方箋の受け取りも近くの薬局やドラッグストアで問題なくなる
- 遠隔地や移動手段が限られる場合でも診察できる
- 風邪やインフルエンザ、新型コロナウィルス感染症、神経症などの相談が対面でなくてもできる
- 空き時間を有効的に活用できる
- 様々なサービスからオンライン診療を実施できる
また、医療機関においては、オンライン診療の活用の相談が増えたことから、次のような対応を実施しています。日本の場合、各医療機関がガイドラインを参照して、自社で医療従事者や医療サービス利用者に対して準備を行うことが多い点も知っておきましょう。
- Web会議システムやツールの使い方について研修を行う
- 皮膚病などであれば、オンライン診療では不鮮明で見づらい映像となることもあるため、事前にスマホのメインカメラで撮影した画像での撮影を指示する(プライバシーも含めた診療の案内)
- 操作マニュアルの作成
住宅業界においては、オンライン診療をマンション入居者への付帯サービスとするケースが増加している状況です。
オンライン診療が注目される理由
オンライン診療が注目される理由は、次のような変化があったためです。
- ライフスタイルの多様化
- 非接触のサービスに対するニーズの高まり
- 過疎地域における医療機関不足の深刻化
対面診療のデメリットは待ち時間が必ず発生することです。予約していなければ、待合室で数時間待つものの、診療時間は5分程度というケースも少なくありません。
対して、オンライン診療は自分で日時を指定するため、待ち時間をほぼゼロにすることが可能です。感染症のリスクを軽減できる点も含めて、オンライン診療を実施している医療機関であればどこでも利用できます。
日本国内におけるオンライン診療の普及状況
「令和4年の情報通信白書」によると日本のオンライン診療の普及率は、15%です。オンライン診療で十分な治療ができるケースもあるものの、普及率が低い理由は次のようなポイントが考えられます。
- ITリテラシーが低いケースが多い(環境整備のコストが発生する、医師側にもITリテラシーが必要)
- 医療従事者の報酬が対面よりも低い
- 対面で受け取れる薬がオンライン診療では受け取れないケースがある
オンライン診療は、実際の利用者からは「時間の都合がつきやすい」「待ち時間がほぼない」といった評価を受けています。しかし、医療機関の報酬や診察が難しい病気もあるため、今後どのように改訂されていくのかにも注目しておきましょう。
世界におけるオンライン診療の普及状況
世界におけるオンライン診療市場は、2023年の段階で933億ドル以上となっており、2030年には2,800億ドルを超えるとされています。また、オンライン診療の普及率は、次のように日本と比較して高い国が多い状況です。
- フランス50%
- 米国60%
- イギリス70%
海外も新型コロナウイルスによって、オンライン診療を実施する医療機関が増加したのは、日本と同様です。ただし、日本と海外では、公的機関によるオンライン診療システムの導入や医療機関向けのセミナーの実施などの取り組みが実施されている点に大きな違いがあります。
住宅業界におけるオンライン診療付帯サービスの事例
住宅業界では、オンライン診療をマンションの居住者の付帯サービスとして、活用するケースが現れ始めました。このサービスは、地域の医療機関とマンションを提供する事業者が提携し、マンションの住人を対象としたオンライン診療を提供するというものです。
健康増進とライフスタイルに合わせた医療サービスの提供によって、居住者の住みやすさを医療面からサポートすることが可能です。
住宅業界でオンライン診療サービスは今後広がるか?
ここでは、住宅業界におけるオンライン診療サービスが広がるかどうかについてみていきましょう。
利用者の増加によって普及率が高くなる可能性はある
日本の人口は、今後も少子高齢化が進む傾向にあります。そのうえで、住宅の住みやすさは、多くの人々が求めるニーズの1つです。
とくに健康に関しては、地域の医療機関と連携しつつ、地域コミュニティを活用するという方針を政府が打ち出している状況にあります。そのため、地域の医療機関を利用する機会として、オンライン診療を活用するケースは増加すると想定されるでしょう。
また、過疎地域に関しては医療機関がそもそもないというケースも想定されます。今後、日本の人口が減り続けることから、新たな医療機関が過疎地域に創設される確率は低いと判断されます。そのため、オンライン診療を活用する人々は増加するといえます。
ただし、日本は意思も含めてITリテラシーが低いケースが多い状況です。そのため、政府や地方自治体、医療機関も含めて、オンライン診療を実施するためのマニュアルやガイドブックの作成も必要です。
住宅業界においては、マンションで提供される割合が増加すれば、戸建て住宅にも展開されると予想されます。「仕組みを知っていても利用しない」「対面以外の方法に不安がある」という場合でも根強く案内していくことで、利用者の増加を見込めるでしょう。
まとめ
住宅業界では、オンライン診療がサービスの1つとして提供されるケースが増加しています。マンションの住人にとっては、かかりつけ医となる医療機関が増加するため、暮らしやすさの向上につながるといえるでしょう。
医療報酬や人々のニーズがどのように変化するかは未定です。しかし、対面診療とオンライン診療ではメリット・デメリットがそれぞれ異なるため、住宅業界としても今後の同行に注目しておきましょう。