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SDGs|東京大学・住友不動産ら、建物改修による脱炭素効果の研究成果公表

掲載日:2022年06月29日

武蔵野大学工学部環境システム学科(東京都江東区)磯部 孝行講師、東京大学大学院新領域創成科学研究科(千葉県柏市)清家 剛教授、住友不動産株式会社(東京都新宿区) は、脱炭素・循環型社会の実現に向けて、既存戸建住宅の改修における環境評価手法(改修版)※1の確立を目的とした共同研究の第一フェーズを2021年12月より2022年3月まで実施してまいりました。今般、その研究成果がまとまりましたので、ご報告いたします。

本件の内容

本研究では、 BIM※2、3Dモデリングなどデジタル技術を活用して既存戸建住宅の改修前・改修中の既存部材の再活用量を把握するとともに、発注書等で改修時資材投入量を把握し、建物LCA評価※3を実施しました。住友不動産の改修現場で行われた調査の結果、全面改修工事により建物性能(耐震性・断熱性など)が大きく向上した再生戸建住宅において、同様の建物を建替えた場合に比べ、基礎・躯体等の再活用により資材投入量等が大幅に削減され、CO₂排出量が47%削減されることがわかりました。

住宅ストックのうち大きな割合を占める既存戸建住宅へのアプローチは、日本の脱炭素化には必要不可欠であり、有効な対策として基礎や構造材を再活用する戸建住宅の再生に注目が集まっております。今後も調査研究を進め、さらに脱炭素化を推進してまいります。

  • ※1 「環境評価手法(改修版)」:建物に関連する廃棄物発生量・資源投入量及びCO₂発生量等を定量的かつ一般的に把握するためのツールや手法のこと。定量化により、削減効果の見える化や建替え等との比較検討が可能となる。新築においては「建物のLCA指針」など、すでに一般化されているが、改修における同様の手法は現在確立されていない。
  • ※2 BIM:Building Information Modeling の略称。資材データ等を入力し、それらを組み合わせることで、3次元の建物デジタルモデルを構築する技術のこと。
  • ※3 LCA: Life Cycle Assessment の略称。製品等のライフサイクル全体における環境負荷を定量的に評価する手法のこと。

デジタル技術を活用した調査手法

研究では360°カメラによる建物の3Dモデリング化を経て収集したデータをもとに、構成資材をデータベース化したBIMを作成し、改修前・改修中の資材の動きを細かく把握しています。建て方や年代によって異なる資材構成や設備など、カメラで把握しきれない部分を正確に記録するため、細かい点は目視で補完し、精度を高めています。
上記の調査により、既存利用する部材量を確認することで、更地にして建替える場合と比較した廃棄物排出量、資材投入量等の削減を定量化し、それに伴うCO₂排出量を算定します。

共同研究に至った経緯

国が掲げる2050年カーボンニュートラルに向けた中間目標として、家庭部門は2030年までにCO₂排出量66%削減(2013年度比)が要請されており、早急な対応が求められています。新築戸建住宅における環境性能対応などが議論される一方、圧倒的に数の多い既存住宅(約5,000万戸)への省エネ化推進や脱炭素化に向けた有効な議論は進んでいません。
そこで既存住宅の脱炭素を推進する制度を構築する際にも基礎となる、改修における環境寄与の評価手法を構築するため、本学と東京大学大学院、住友不動産が協力し、2021年12月より研究を開始しました。

今後の研究の方向性

第1フェーズ(2022年3月終了)既存戸建住宅の改修によるCO₂削減効果の検証
第2フェーズ既存戸建住宅の改修による長寿命化効果の検証
第3フェーズ既存戸建住宅の改修によるZEH化※4、
LCCM化※5の検証  

 今回発表に用いた実地調査で得られたデータを整理し、改修データベースを構築することで、既存建物改修における廃棄物発生・新規資材投入の抑制とそれに伴う生産・運搬等に要するエネルギーの削減効果等を一般化していきます。今後、1棟ごとに詳細な調査を行わずとも、一定の精度でCO₂排出量削減を可視化(定量化)できるシステムの構築を目指します。

なお、改修時だけでなく長期的に見てCO₂削減効果が見込まれるか検証するため、第2フェーズでは既存戸建住宅の改修による長寿命化効果の検証を行い、第3フェーズでは既存戸建住宅の改修による省エネ・創エネ設備の導入効果を検証いたします。これらの研究を展開することで、建替えと全面改修において、新築から解体まで超長期にわたって検証する建物LCA評価による比較検討を可能とし、既存戸建住宅における環境評価手法(改修版)の確立を目指します。

既存戸建住宅における環境評価手法(改修版)の確立により、住宅ストックのうち多くを占める既存戸建住宅に対する効果的な脱炭素化のアプローチや、既存造戸建住宅を再活用する潮流のさらなる促進が期待されます。

  • ※4 ZEH: Zero Energy House の略称。 建物の省エネ化と創エネ活用により、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとする住宅のこと
  • ※5 LCCM: Lfie Cycle Carbon Minusの略称。 建設時、運用時、廃棄時において省CO₂に取り組み、加えて再エネの創出により、住宅建設時のCO₂排出量も含め、ライフサイクルを通じてのCO₂の収支をマイナスにする住宅のこと

共同研究者

■武蔵野大学 工学部環境システム学科 講師 磯部 孝行
2015年東京大学大学院新領域創成科学研究科 博士後期課程修了。2016年より武蔵野大学工学部環境システム学科に着任。建材のリサイクルと建物のライフサイクル(建設、運用、廃棄)に係る環境を捉え、環境評価システムなどを中心に研究に従事している。日本建築学会地球環境委員会LCA小委員会主査。 

■国立大学法人東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授 清家 剛 氏
1987年東京大学工学部建築学科卒業、建築学科助手を経て1999年より新領域創成科学研究科。建築生産と環境について考える立場から、改修・解体技術やリサイクル技術、環境評価システムなどについて研究している。
CASBEE-戸建の開発責任者で、健康チェックリスト、レジリエンス住宅チェックリストなども中心となって作成した。著書に「サステイナブルハウジング」(監修・共著)「ファサードをつくる」(共著)、「住環境再考―スマートから健康まで」(共著)など。

■住友不動産株式会社
住友不動産では、「よりよい社会資産を創造し、それを後世に残していく」を基本使命として掲げ、事業を通じた社会課題の解決に取り組んでおります。今後も、「環境・社会に配慮した性能」を兼ね備えた価値の高い社会
資産を創造し、より一層、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
<当社のESG、SDGsに関する取り組み>
https://www.sumitomord.co.jp/sustainability/

※本リリースに関する取り組みは、以下のSDGs目標に貢献しています。

目標3:すべての人に健康と福祉を
目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに
目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう
目標11:住み続けられるまちづくりを
目標12:つくる責任 つかう責任
目標13:気候変動に具体的な対策を
目標15:陸の豊かさも守ろう

本件に関するお客様からのお問合せ先

住友不動産株式会社 広報室 TEL:03-3346-1042
東京大学大学院新領域創成科学研究科 広報室 TEL:04-7136-5450
武蔵野大学 経営企画部 広報課 TEL:03-5530-7403

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