東急建設など3社、打ち分け不要の耐震スリット「マガラーヌ」を8月発売、施工効率化を実現

20260731_耐震スリットマガラーヌ

東急建設株式会社は、株式会社JSP、株式会社クギンと共同で、新しい耐震スリット材「マガラーヌ」を開発しました。2026年8月から一般販売を開始します。この製品は、コンクリート打設時に必要だった打ち分け作業を不要にする点が特徴です。

地震大国である日本では、建物の安全性を高めるための技術開発が各社で進められており、今回の発表もそうした流れのひとつに位置づけられます。異なる立場の企業が連携して製品化にこぎつけた点も、今回の取り組みの注目すべき点だといえるでしょう。

耐震スリットが果たす役割とは

耐震スリットは、地震の揺れから建物を守るために鉄筋コンクリート造の建築物で広く採用されている部材です。柱や梁と壁の間にあえて隙間を設けることで、地震時に壁が柱にかかる負担を軽減し、建物全体の損傷を防ぐ役割を果たします。

ただし、一般的なスリット材にはひとつの弱点がありました。コンクリートの側圧が一気にかかると、変形やズレといった施工不良が起きやすいのです。

交互打設が現場に与えていた負担

このため、これまでは高さ1.0~1.5mほどの区間ごとに、柱と壁を左右交互に打ち重ねていく必要がありました。作業の手間がかかるだけでなく、打ち重ねた部分の品質にもばらつきが生じやすいという課題を抱えていたのです。

現場の職人にとっても、打設のタイミングを細かく管理しなければならず、工程全体の負担となっていました。こうした手間は、工期や人員配置にも少なからず影響を及ぼしていたといえます。

補強材と一体化させた新構造

今回開発された「マガラーヌ」は、従来の垂直スリット材とトラストデッキと呼ばれる補強材を一体化させた製品です。中間支持材で支えることで、スリット材そのものの耐力を高めるとともに、打設時にかかる圧力による変形を抑えます。この一体構造こそが、従来品との大きな違いといえるでしょう。

片側からの一度打設が可能に

この構造により、一般的な階高の柱や雑壁であれば、片側からコンクリートの側圧を一度に受ける打設が可能になりました。これまで必要だった交互打設の手間が省け、打設管理の効率が大きく向上します。

加えて、打ち重ね部分に起きやすかった不良やコンクリート表面の色むらも抑えられるため、建物の品質向上にもつながる技術といえます。工程の簡略化は工期短縮にも寄与するとみられ、施工者側にとっても扱いやすい製品に仕上がっているといえそうです。

販売体制と東急建設の方針

「マガラーヌ」は、株式会社JSPと株式会社クギンの取扱商品として市場に供給されます。東急建設は今後、この製品の現場への積極的な導入を進める方針です。

あわせて、建物の品質向上に資する新技術・新工法の開発と普及にも継続して取り組む考えを示しています。ゼネコンと専門メーカーが連携して製品化を進めた点も、今回の取り組みの特徴のひとつといえるでしょう。

取得済みの特許と商標

なお、同社は関連技術について複数の知的財産権を取得しています。

・2024年6月13日:特許第7504159号「構造スリット部材及び壁躯体の構築方法」を取得
・2025年1月6日:特許第7614286号「構造スリット部材及び壁躯体の構築方法」を取得
・2026年1月9日:登録商標第7004985号「マガラーヌ」を取得

こうした権利取得は、独自技術としての優位性を裏付けるものといえるでしょう。

開発から一般販売へ展開

同社は2025年3月にも、打ち分け不要な耐震スリット材の開発を発表しています。今回販売を開始する「マガラーヌ」は、同技術をさらに展開する製品として、一般販売に向けた取り組みが進められました。

今後、施工現場での採用実績が積み重なることで、耐震スリットの施工方法そのものが見直されていく可能性もありそうです。建設業界全体で品質確保と効率化の両立が求められるなか、こうした部材の普及は現場の働き方にも影響を与えていくかもしれません。

人手不足が課題となっている建設現場において、作業工程を簡略化できる技術は、今後さらに需要が高まっていくことも考えられます。

出典情報など

出典:東急建設株式会社,高耐力・高剛性な耐震スリット「マガラーヌ」の販売開始-垂直スリット両側への交互打設を不要とした耐震スリット材 -,https://www.tokyu-cnst.co.jp/topics/3015.html,リリース日:2026-07-30