国土交通省、5月の建設出来高は4兆7,998億円、民間・公共とも前年を上回る

国土交通省は、令和8年(2026年)7月17日、建設総合統計の5月分を取りまとめて公表しました。今回の発表では、全国の建設工事出来高総計が4兆7,998億円となり、前年同月と比べて5.1%増加したことが示されました。
着工ベースで把握される工事費額を、実際の工事進捗にあわせて月ごとの出来高へと展開し直すことで、その時々の建設活動の実態に近い数字を示そうとする点に、この統計の特徴があります。全体の内訳は民間工事と公共工事に分かれており、それぞれの動きにも特徴が見られます。
目次
民間工事は4.9%増の3兆1,302億円
民間工事の出来高総計は3兆1,302億円で、前年同月比4.9%の増加となりました。このうち建築は2兆3,551億円、土木は7,751億円という結果です。
建築分野をさらに細かく見ると、居住用と非居住用でそれぞれ異なる伸びを示しています。以下に主な項目をまとめます。
- 建築:2兆3,551億円(前年同月比2.7%増)
- 居住用:1兆3,896億円(同2.8%増)
- 非居住用:9,655億円(同2.6%増)
- 土木:7,751億円(同12.1%増)
民間工事は土木の伸びが目立つ
民間分野で目を引くのは土木の伸び率です。建築が2〜3%台の緩やかな増加にとどまるのに対し、土木は12.1%増と2桁の伸びを記録しました。民間による造成や設備投資など、建築以外の工事需要が勢いを増していることがうかがえます。
一方で居住用・非居住用とも建築は3%に満たない伸びにとどまり、住宅や店舗・オフィスの建設需要は比較的落ち着いた動きを見せています。
公共工事は5.5%増の1兆6,696億円
公共工事の出来高総計は1兆6,696億円で、前年同月比5.5%の増加を記録しました。公共分野は土木の割合が大きいことが特徴で、建築部分は全体の一部にとどまります。詳しい内訳は次のとおりです。
- 建築:4,823億円(前年同月比6.0%増)
- 居住用:570億円(同18.0%増)
- 非居住用:4,253億円(同4.6%増)
- 土木:1兆1,873億円(同5.2%増)
公共工事では居住用の伸びが目立つ
公共建築のうち居住用は18.0%という高い伸び率を示しており、公営住宅などの整備が進んでいる可能性がうかがえます。公共工事全体の大部分を占める土木は1兆1,873億円で、道路や河川、上下水道といったインフラ整備が着実に積み上がっている状況を反映しています。
公共工事は予算の執行時期によって月ごとの変動が生じやすい分野ですが、今回はいずれの項目もプラスの伸びとなっており、インフラ投資が全体として着実に進んでいる様子がうかがえる内容となっています。
全体に占める公共工事の存在感
出来高総計4兆7,998億円のうち、民間工事が占める割合は約65%、公共工事は約35%となっています。金額ベースでは民間工事が全体を大きく上回っている一方、伸び率で見ると公共工事の5.5%増が民間工事の4.9%増を上回りました。
出来高は受注してからすぐに反映される数字ではなく、工事の進み具合にあわせて積み上がっていくものであるため、公共投資の伸びが民間を上回ったという結果は、道路や河川などのインフラ整備が着実に工程を消化している表れとも読み取れます。
民間・公共のいずれもプラス成長を維持しながら、両者の力関係がわずかに入れ替わりつつある点が、今回の5月分データの見どころといえそうです。全国的な建設需要が底堅く推移していることも、あわせて読み取れる結果となりました。
今後の建設動向を把握する指標
建設総合統計は、国内の建設活動全体の勢いを把握するうえで欠かせない指標のひとつです。民間・公共とも前年を上回る出来高となった今回の結果は、建設業界にとって今後の動向を占ううえでも注目される数字といえそうです。
民間の土木需要と公共の居住用建築が、それぞれ2桁近い伸びを見せている点は特に興味深く、人手不足や資材価格の上昇といった課題が続くなかでも、工事の進捗は着実に積み上がっているといえるでしょう。今後公表される月次データや、今後行われる改定にも、引き続き注目が集まりそうです。
出典情報など
出典:国土交通省,建設総合統計(令和8年5月分),https://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_001381.html,リリース日:2026-07-17