鹿島建設とタカムラ建設、CO2吸収コンクリート床版を建築構造部材として国内初適用を実現

20260714_CUCO-SUICOMハーフプレキャスト床版

鹿島建設株式会社とタカムラ建設株式会社は、コンクリートの製造過程で排出される二酸化炭素よりも吸収・固定する量が多い「カーボンネガティブコンクリート」を使った建築構造部材を開発しました。

今回の部材は、工場であらかじめ成形した床版を現場に敷き並べ、その上にコンクリートを打つ「ハーフプレキャスト床版」と呼ばれる工法に、CO2を吸収・固定する技術を組み合わせたものです。東京都港区で施工中のコマツ新本社新築工事の一部に、一般建築物の構造部材として国内で初めて採用されました。

両社は、鉄筋を含む部材でありながらCO2排出量を実質ゼロ以下に抑えられる点を強みとして、今後の建築物への普及を目指しています。

カーボンネガティブ床版を開発

両社は、NEDOのグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発」プロジェクトに参加しています。鹿島が持つ低炭素コンクリートの技術と、CO2を吸収・固定するコンクリート「CO2-SUICOM」の技術をかけ合わせ、一般的な異形鉄筋を使いながらカーボンネガティブを実現する「CUCO-SUICOMハーフプレキャスト床版」を完成させました。

セメントの半分以上を特殊な混和材と産業副産物に置き換えたうえで、高濃度のCO2を吹き込む養生を行い、固まる過程で大量のCO2を吸収・固定する仕組みです。薄い形状で施工性を高めつつ耐久性の課題も乗り越えています。

薄型形状で耐久性を確保

これまでCO2-SUICOMを鉄筋コンクリートに使う場合、鉄筋のさびに関わる耐久性が課題となり、小型のプレキャストブロックなどでの利用にとどまっていました。

今回のハーフプレキャスト床版は厚さが70ミリメートル程度と薄く、運搬や施工の効率が高いだけでなく、表面積が大きいためCO2を吸収・固定しやすい形状となっています。実験により、鉄筋の状態を保てる温湿度などの条件を細かく確認し、建物内部であれば通常の鉄筋コンクリートと同じ程度の耐久性を持つことを確かめました。

こうした検証を経て、第三者機関からの証明取得につながりました。従来は環境性能と耐久性を両立させることが難しいとされてきましたが、今回の取り組みによって両立の可能性が示された形です。

建設材料技術性能証明を取得

実験結果に加え、実際の規模でCUCO-SUICOMハーフプレキャスト床版を安定した品質で製造できることを示し、第三者認証機関から建設材料技術性能証明を取得しました。使用する低炭素コンクリートには、高炉スラグ微粉末を多く混ぜたECMセメントや、戻りコンクリートを再利用したスラッジ再生セメント「Cem R3」を採用しています。

そこにCO2と反応して硬化する混和材を練り込み、高濃度のCO2環境で養生することで、CO2を吸収・固定する仕組みを実現しています。続いて、実際の建築現場での効果を紹介します。

コマツ新社屋でCO2削減を実証

従来のハーフプレキャスト床版と比べると、低炭素コンクリートの採用によって1立方メートルあたり約245キログラムのCO2排出を減らし、さらに約88キログラムのCO2を吸収・固定できるといいます。

コマツ新本社新築計画では、約122平方メートルの床版に本技術を適用し、CO2削減量は約2,848キログラム、CO2固定量は約754キログラムという結果を得ました。工場生産による品質の安定と現場での省力化にもつながっています。

2050年に向けた今後の展開

両社は、普通異形鉄筋で補強したカーボンネガティブの建築構造部材を国内で初めて実用化したことを踏まえ、今後は多様な環境配慮型コンクリートをさまざまな構造物へ広げていく方針です。

2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて、建設分野からの貢献を強めていく考えを示しています。今回の技術が普及すれば、建築物の建設段階で発生するCO2の削減に加え、資材の運搬や施工にかかる負担の軽減にもつながると期待されます。

出典情報など

出典:鹿島建設株式会社,CUCO-SUICOMハーフプレキャスト床版を建築構造部材として国内初適用,https://www.kajima.co.jp/news/press/202607/6a1-j.htm,リリース日:2026-07-06