野村不動産溜池山王ビル|清水建設が設計・施工、竣工前一棟貸しの国内最大級木造オフィスビル

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出典:PR TIMES,令和3年度 国土交通省サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)木質サステナブルオフィス『野村不動産溜池山王ビル』竣工,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000569.000025694.html,参照日2026.5.15

野村不動産溜池山王ビルは、2023年に竣工した木造と鉄骨のハイブリッド構造オフィスビルです。旧野村不動産溜池山王ビルの建て替え事業であり、オフィスビルとしての快適性と、社会的課題となっている木材利用の推進を実現しました。

この記事では、野村不動産溜池山王ビルの設計・構造の特徴に加えて、なぜ今木質高層ビルが増えているのか、その背景まで整理します。

「野村不動産溜池山王ビル」とは|事業概要

野村不動産溜池山王ビルは、野村不動産による高層木造オフィスビルです。ここからは、野村不動産溜池山王ビルの事業概要をご紹介します。

所在地・アクセス

野村不動産溜池山王ビルの所在地とアクセスは、以下の通りです。

  • 所在地:東京都港区赤坂一丁目130番12
  • アクセス:東京メトロ銀座線・南北線「溜池山王駅」8版出口から徒歩4分
    東京メトロ銀座線「虎ノ門駅」11番出口から徒歩6分
    東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ駅」から徒歩7分

野村不動産溜池山王ビルの所在地は、東京メトロ銀座線・南北線 溜池山王駅、虎ノ門ヒルズ駅、虎ノ門駅の中心付近です。

近隣には2023年開業の「虎ノ門ヒルズステーションタワー」をランドマークとする虎ノ門ヒルズがあるほか、高層オフィスビル「赤坂グリーンクロス」や「東京ワールドゲート赤坂」なども徒歩10分圏内と、オフィスビルとして非常に利便性の高いエリアに位置しています。

構造・規模・面積

野村不動産溜池山王ビルの構造・規模は、以下の通りです。

  • 構造: 鉄骨造、一部木造
  • 規模:地上9 階(高さ約41m)・地下1階
  • 敷地面積:690.67㎡
  • 建築面積:618.07㎡
  • 延床面積:5,594.97㎡

テナント・入居企業

野村不動産溜池山王ビルの入居企業は、日本管材センター本社です。

2023年の竣工前に一棟賃借契約が完了しており、竣工後から日本管材センターの本社ビルとして運用されています。

竣工日・オープン予定日

野村不動産溜池山王ビルの竣工日は、以下の通りです。

  • 竣工日:2023年10月31日
  • 開業日:2023年12月1日

ゼネコン|清水建設

野村不動産溜池山王ビルの設計・施工は、以下の通りです。

  • 設計:清水建設株式会社 一級建築士事務所
  • 施工:清水建設
  • 監修:野村不動産一級建築士事務所

野村不動産溜池山王ビルの設計・施工は、清水建設が担当しています。なお、ディベロッパーの野村不動産は、本ビルのほかにも、7階建てオフィスビル「H¹O 青山」(エイチワンオーあおやま)などの木造事例があります。

野村不動産溜池山王ビルの設計と構造

木質高層ビルは耐火性や耐震性の課題がありますが、野村不動産溜池山王ビルはどのようにしてこの課題をクリアしたのでしょうか。

ここからは、野村不動産溜池山王ビルの設計と構造の特徴を解説します。

木材の現しでウエルネスを促進する空間デザイン設計

出典:PR TIMES,令和3年度 国土交通省サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)木質サステナブルオフィス『野村不動産溜池山王ビル』竣工,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000569.000025694.html,参照日2026.5.15

野村不動産溜池山王ビルを訪れてまず目を引くのが、木質ファサードが格子状に組まれた外観デザインです。木材の温かみを前面に押し出しながら、木質部分はガラスで覆って劣化を防ぐことで、長期間にわたって美観を保つ設計となっています。

内装にも木材をふんだんに使用しています。エントランスやラウンジをはじめ、天井の仕上げ材にも木材を多用し、オフィスで働く人が木材のぬくもりを感じやすい空間デザインとなっています。オフィスフロアは開放感のある無柱空間とし、天井高約3.6m、21m×18mの広々とした執務スペースを実現しています。

建物全体で木の使用量を最大化し、約470㎥の木材を使用することで、建設時のCO2排出量を大幅に削減しました。標準的なビルと比較して50%以上の一次エネルギー消費量削減を達成し、ZEB Ready 認証を取得しています。

「シミズ ハイウッド」で高い耐火性と耐震性を実現

出典:PR TIMES,令和3年度 国土交通省サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)木質サステナブルオフィス『野村不動産溜池山王ビル』竣工,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000569.000025694.html,参照日2026.5.15

野村不動産溜池山王ビルは、鉄骨造と木質構造のハイブリッド構造です。木質高層ビルとしての安全性と施工性を確保するため、清水建設の木造ハイブリッド技術「シミズ ハイウッド」を採用しました。

シミズ ハイウッドは、中高層建築に対応可能な木質構造材です。柱や梁は、芯材と化粧材の間に耐火材を巻き付けた燃え止まり型の木質構造部材となっており、木質でありながら高い耐震性と耐火性を確保しています。

野村不動産溜池山王ビルでは、CFT柱の鉄骨架構に、シミズ ハイウッドのスリム耐火ウッド梁、スリム耐火ウッド柱などを組み合わせ、地上9階の高さで高い耐震性を確保した木質高層ビルを実現しています。

さらに、可変性の高い間仕切り対応システムや床吹き出し空調を採用し、入居するテナントのさまざまなニーズに対応する計画です。

なぜ今、木質高層ビルが増えているのか

今回取り上げた野村不動産溜池山王ビルをはじめ、近年は木を使った高層ビルが増えています。なぜ今、木質高層ビルが増えているのでしょうか。

木質内装はワーカーの生産性向上やウェルネスに寄与することで注目されていますが、木材が選ばれている理由はそれだけではありません。

新たな日本の森林問題「育ちすぎた森」

木質高層ビルが増えている要因の一つとして、日本の森林問題があります。日本は国土の3分の2が森林であり、世界でも有数の森林大国です。

2002年には国産材の供給量が過去最低を記録したこともありましたが、2021年には木材自給率が約41%まで増加し、回復しています。そして今、育ちすぎた森林をどう循環させていくかが社会的な課題となっています。

建設業界での森林を守る取り組み

建設業界では、日本の森林を守る取り組みが急速に広がっています。野村不動産では、2022年に地産地消で森を循環させる「森を、つなぐ」東京プロジェクトを開始しました。さらに東京都と「建築物木材利用促進協定」を締結し、木材の使用による森の循環を推進しています。

建築物の木造化は、国交省の推進するプロジェクトとしても採択されています。野村不動産溜池山王ビルは、令和3年度の優良木造建築物等整備推進事業採択事例として報告されました。また、林野庁の高層木造ビル事例集にも取り上げられ、木造化の参考事例として紹介されています。

清水建設の木造ビル事例

大手ゼネコンの中でも、清水建設は特に木質建築に力を入れています。ここで、清水建設の木造ビル事例をご紹介します。

2024年には、木質高層ビルとして、地上16階の「名古屋シミズ富国生命ビル」が竣工されています。2025年に竣工した東京都中央区「第一生命京橋キノテラス」は、地上12階、高さ約56mで、竣工時点で日本一の高さの木質ハイブリッド構造オフィスビルとなっています

野村不動産溜池山王ビルは2023年の竣工時、国内最大級の木造ビル事例として話題になりましたが、このようにわずか2年ほどで規模が更新されています。

まとめ

野村不動産溜池山王ビルは、ワーカーの知的生産性を向上させるウエルネスオフィスとして計画された木質ハイブリッド構造オフィスビルであり、木質高層ビルとしては国内最大級の規模になります。竣工前に一棟借りの賃借契約が完了するなど、入居企業から高い評価を受けたことでも話題になりました。

木材を最大限に活用した高層木造ビルは、日本の育ちすぎた森林問題や脱炭素も含んだ社会的なプロジェクトとして、今後も同様に増加する見込みです。オフィスビルとしての機能性と、木質高層ビルとしての社会貢献度を両立させた先進的な事例として、参考にしたい事例の一つです。