竹中工務店、鉄骨梁の耐火被覆技術で3時間耐火の大臣認定取得を発表、木あらわし空間の実現へ

2026年4月14日、株式会社竹中工務店は、木材を使って鉄骨梁の耐火性能を高める技術「KiPLUS® TAIKA for BEAM」において、国内で初めて3時間耐火の「国土交通大臣認定 耐火構造部材」を取得したと発表しました。この技術は、センクシア株式会社・日本インシュレーション株式会社との3社による共同開発です。
目次
耐火性能とは何か──建築基準法が求める基準
建物を建てるうえで、火災に対する安全性の確保は欠かせない要件のひとつです。建築基準法では、柱や梁などの主要構造部に対して、建物の階数に応じた耐火性能が義務付けられています。具体的には、次のとおりです。
・最上層から数えて15〜19層の部分:2時間半の耐火性能が必要
・最上層から数えて20層以上の部分:3時間の耐火性能が必要
鉄骨はそのままでは高温に弱いため、耐火被覆と呼ばれる保護材を鉄骨梁に施す必要があります。従来は、無機系の材料を用いるのが一般的でした。
2023年の開発から今回の認定へ
竹中工務店は2023年に「KiPLUS TAIKA for BEAM」の2時間耐火版を開発し、大臣認定を取得。その後、高層建物への導入実績を重ねてきました。そして今回、3時間耐火版の開発と認定取得に成功したことで、建築基準法上の階数制限がなくなり、従来は不可能であった15階以上の建物において、耐火性能を確保しつつ木あらわしの空間を実現できるようになりました。
木材を「耐火被覆材」として使う仕組み
この技術の最大の特徴は、木材が耐火被覆材の役割を果たす点にあります。木材は火に弱いというイメージがありますが、実際には一定の厚みがあれば、表面が炭化しながらゆっくりと燃えるため、内部への熱の侵入を長時間にわたって抑える性質があります。この性質を活用し、鉄骨梁への熱侵入を抑制する仕組みです。
使用できる木材の種類も幅広く、以下のような点が利点として挙げられます。
・市場に流通している一般的な木材を使用できる
・構造材としては強度が不十分な木材も利用可能
・原木を無駄なく活用でき、資源の有効利用につながる
3時間耐火版の断面構成と特長
「KiPLUS TAIKA for BEAM」3時間耐火版は、鉄骨梁の周囲にケイカル板(けい酸質原料等を主原料とした耐火性に優れる板材)と被覆木材を取り付けた構造になっています。被覆木材にはスギ・ヒノキ・カラマツの3種類が適用可能で、いずれも国産木材です。国産材の積極的な活用は、国内林業の活性化にもつながります。
また、超高層建物では長い梁が多く使われますが、木造の梁にするとサイズが大きくなり、天井高が低くなる場合があります。鉄骨梁を採用することでサイズを抑えられる一方、従来の耐火被覆技術では設備配管用の貫通孔の大きさに制約がありました。今回の3時間耐火版では、一般的な鉄骨造と同等の大きさの貫通孔を設けることができるため、建築・設備計画への制約が大幅に軽減されています。
耐火試験はどのように行われるか
国土交通大臣認定を取得するには、性能評価機関による試験への合格が必要です。耐火試験では、試験体に荷重をかけた状態で3時間加熱し、終了後、耐火試験炉内で放冷します。試験中、炉内の温度は最高約1,110℃に達します。
加熱終了後は、加熱時間の3倍以上の時間をかけて炉内で冷却し、梁のたわみ量やたわみ速度が基準値以下であることが合格の条件です。今回の取得は、この厳しい試験をクリアしたことを意味します。
木造建築の普及と脱炭素への取り組み
竹中工務店はこれまでも、「KiPLUS」シリーズや「燃エンウッド®」といった中高層木造・耐火木造技術の開発・普及に取り組んできました。今回の3時間耐火認定取得により、より多くの建物で木材を生かした設計が選択肢に加わることになります。
木造・木質建築の普及は、建物の長寿命化や炭素固定の観点からも、脱炭素社会の実現に向けた取り組みとして注目されています。同社は今後も、国産木材の活用と木造建築の技術開発を通じて、環境負荷の低減に貢献していく方針です。
出典情報
株式会社竹中工務店リリース,「KiPLUS® TAIKA for BEAM」で日本初の3時間耐火の認定取得~建物の耐火性能を確保しつつ、豊かな木あらわしの空間を構築~,https://www.takenaka.co.jp/news/2026/04/05/