竹中工務店、大阪・関西万博の建築を川西市へ移設し、自然分解の観察段階に移行

竹中工務店(社長:丁野成人)は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の会期中に提供していた「森になる建築」を、兵庫県川西市にある竹中研修所内「清和台の森」へ移設し、2026年4月13日に作業が完了したと発表しました。
万博会場で46万人以上が訪問
「森になる建築」は、万博会場敷地内の「大地の広場」に設置され、会期(2025年4月13日~10月13日)中、来場者の休憩施設として幅広く活用されました。半年にわたる開催期間を通じて46万人以上が訪れており、多くの来場者に親しまれた施設のひとつです。
建物は2棟で構成されており、それぞれ直径4.65m、高さ2.95mの規模です。構造には酢酸セルロース造を採用し、外装には紙と植物の種子・苗、内装には酢酸セルロース表し、床には三和土が使われています。一見すると小ぶりな建物ですが、素材や製法にこだわった、独自の設計思想が詰まった建築物となっています。
最先端技術と手づくりの技を融合
この建築の最大の特徴は、最先端の3Dプリント技術と職人の手仕事を組み合わせた点にあります。
構造体には生分解性樹脂を採用しており、使い終わった後も廃棄物として処分するのではなく、自然の中で時間をかけて分解されていくことを想定して設計されています。建物としての役割を終えた後も、土に還ることで環境への負荷を最小限に抑えるという考え方が、この建築の根底にあります。
外装に使われた「シーズペーパー」は、植物の種をすきこんだ和紙で、一般市民が参加したワークショップで制作されました。さらに、伝統工芸の職人や福祉施設の方々が手がけた和紙も組み合わされており、専門家だけでなく幅広い立場の人々の力によって完成した建築物となっています。
・構造体:生分解性樹脂(酢酸セルロース)を使用
・外装:種入り和紙「シーズペーパー」(市民ワークショップで制作)
・和紙の一部:伝統工芸職人・福祉施設の方々が制作に参加
「清和台の森」で森になるフェーズへ
万博会場での役割を終えた後、2026年3月上旬に竹中研修所内「清和台の森」への移送が始まりました。建物の運搬だけでなく、周辺の森林環境の整備も合わせて進められ、4月13日に移設が正式に完了しています。
「清和台の森」は、竹中工務店が「ものづくり」と「森づくり」の伝承の場として大切にしてきた場所です。今後はこの森の自然環境のなかで建築物の分解が徐々に進む様子を継続的に観察していく予定となっており、建物としての使命を終えた後も、研究・記録の対象として活用されていきます。万博という大舞台での役割を終え、静かな森のなかで文字どおり「森になる」フェーズを迎えることになります。
建築概要
建築地:万博会場「大地の広場」→竹中研修所内「清和台の森」(移設)
設計施工:竹中工務店
工事期間:2024年8月~2025年3月(製作)/2026年3月~4月(移設)
大きさ:直径4.65m、高さ2.95m
棟数:2棟
構造:酢酸セルロース造
外装:紙、植物の種子・苗
内装:酢酸セルロース表し
床:三和土
竹中工務店は今後も、環境との調和と社会との共創を目指した建築技術の研究・開発に取り組んでいくとしています。
出典情報
株式会社竹中工務店リリース,大阪・関西万博に提供した「森になる建築」の移設が完了 竹中研修所内「清和台の森」にて「森になる」フェーズを迎えます,https://www.takenaka.co.jp/news/2026/04/04/