4月から始まる建築確認申請の「BIM図面審査」を前にBIM状況を取り巻く現在地を俯瞰(第二回)|深堀り取材【毎月15日・月末更新】

前稿では、建築確認申請の「BIM図面審査」に用いられる確認申請用CDEの概要と共に、建設業界でDX推進に関わる担当者を対象に行われた「建設現場における情報共有・データ管理の実態」に関する調査結果について報告した。

データ管理・共有ツールに対する満⾜度」においては、クラウド型のオンラインストレージについて利用者の過半数以上が満足している結果となっており、「今後の情報管理のニーズ」においては、図面・3次元モデル・写真・点群・センサーデータなど多様なデータ形式を跨いだ情報のリアルタイムでの情報共有、一元管理への期待も寄せられていた。それら多様なデータ形式を跨いで、リアルタイムで情報共有する環境を実現するのがCDE(Common Data Environment:共通データ環境)である。一方で、CDE導入企業が約7割に及ぶ中、4割以上で「効果的な活用が進んでいない」現状が浮き彫りにもなった。

現状では、建設プロジェクトを横断的に接続するコミュニケーションツールとして電子メールが用いられているが、多くの課題も顕在化している。電子メールベースのコミュニケーションは手軽である反面、データ(各種文書)の管理や連携において多くの非効率を生み出す原因ともなっている。近年では、これらの課題を解決するために、クラウドベースの協働的なプラットフォームの導入が進んでいるが、それでも多くの課題は残されたままである。

CDEによるBIMコミュニケーション(図提供:Catenda Japan)

CDEの普及の一助とするべく代表的なCDEとして注目の「Catenda Hub」の概要を紹介

BIMなどのデジタルツールを援用して建設プロジェクトを横断的に接続するためには、データ(各種文書)は単に保存されるだけでなく、構造化され、追跡可能で、標準化されたルールに準拠していることが求められる。具体的には、データ(各種文書)管理の厳格さがかつてないほど重要になり、シームレスなデータ相互運用性と追跡可能な監査証跡(オーディットトレイル: audit trail) を確立しなければならない。

本稿では、CDEの更なる普及の一助とするべく代表的なCDEとして注目を集めているカテンダ社の「Catenda Hub」の概要を紹介する。

「Catenda Hub」によって建設業のBIMプロジェクトがどのように革新されるのかを見てみよう。

電子メールによる従来のBIMコミュニケーション(図提供:Catenda Japan)

建設業界に潜在する「情報の壁」をCDEを積極的に用いること突破し生産性を劇的に向上

建設業におけるデジタル援用を推進しようとすると、多くは共通の壁に阻まれる。

プロジェクトの資料が各担当者のパソコンや共有ドライブ、メールの添付ファイルなど に散逸し、最新の図面やデータを見つけるだけで時間を要してしまう。それらを探す時間が貴重な時間と生産性を奪っている。

設計変更や仕様変更があった場合 全ての関係者に確実かつタイムリーに情報が共有されていなければ、現場での手戻りや再発注が発生し、無駄なコストと時間がかさんでしまう。それら「手戻りの頻発」が建設プロジェクトにおける最大の非効率の一つとなっている。

現状では、多く異なる専門分野のチーム間で、情報共有の認識のズレや伝達ミスが頻繁に起こっている。そのためBIMモデルで3次元化しても、その情報がリアルタイムで共有されず、会議のたびに認識合わせが必要になるなど「コミュニケーションロス」が顕在化する。それらは、結果として、プロジェクトの意思決定の遅れの原因となり、全体的な進捗にも影響を及ぼす。

それら建設業界に深く潜在する「情報の壁」が原因となり、生産性の低下、コスト増、信頼の損失に繋がっている。CDEを積極的に用いることで、単なるBIM の援用に留まらず、「重要な情報をもったBIMモデル」としてプロジェクト全体で円滑に流通させることが求められる。それら建設業に潜在する「情報の壁」を取り除くためにCatenda Hub は、 OpenBIMに準拠した CDEプラットフォームとして機能し、建設プロジェクトにおける情報共有と業務効率化を支援する。

国際標準規格に完全準拠+生産性を劇的に向上させるCDE プラットフォーム「Catenda Hub」

Catenda Hub は、BIMの可能性を最大限に引き出し、プロジェクトの生産性を劇的に向上させるCDE プラットフォームで、国際標準規格へも完全準拠している。異なるさまざまなソフトウェア間でBIM データを円滑に交換し、協調作業を可能にするための共通言語であるIFC(Industry Foundation Classes )やBCF(BIM Collaboration Format)に完全に準拠している。これによってあらゆるBIM ソフトウェアからデータを取り込み、プロジェクトメンバー間でシームレスに共有・連携することが可能となる。そのため特定のベンダーに頼ることなく、プロジェクトに関わる誰もがオープンな環境で最新の情報を共有し、情報を交換できる。

openBIMを具現化するCDEプラットフォーム(図提供:Catenda Japan)

「Catenda Hub」が対象とする各種データ+課題(トピック)の管理と解決+情報管理機能

Catenda Hub は、Webブラウザを通じてコメントの追加、IFC形式の3次元モデルや2次元図面の閲覧・操作・コメントの追加、課題管理などを可能にすることによって建設プロジェクトのための共通データ環境を構築する。
パワフルなBIMビューワーは、Webブラウザベースで機能する。3次元モデル表示、2次元/3次元ビューの切り替え、モデルの分解とフィルタリングなどによってあらゆるBIMモデルを容易に表示し、共有することが可能だ。

対象とするデータの種類

IFCモデル、2次元図面(PDF ・DWG・ DXF・DWF・DGN)。点群データ(e 57・las)、GML(gml・gmlzip・city . json)、画像データ(png・gif・bmp・wmf・emf・jpg・tiff)、MS Office(doc・xls・ppt・pub・docx・xlsx・pptx)、Open Office(odt・ods)。

(図提供:Catenda Japan)

課題(トピック)の管理

BCFに基づいた課題(トピック)の管理と解決を実現する。

課題(トピック)管理機能の内容

課題の作成、課題の追跡と状態管理、BIMモデルとの統合、コメントとファイルの追加、 優先度の設定、レポート作成と分析、担当者の割り当て、通知機能。

(図提供:Catenda Japan)

情報管理機能

IS19650準拠を前提とし、ドキュメントのバージョン管理と変更履歴、セキュリティとアクセス管理などの情報管理を行う。

情報管理機能の内容

バージョンの管理(履歴管理・バージョン間の比較)、変更履歴の管理、バージョンの復元、コラボレーション通知機能、承認ワークフロー、アクセス権限の管理、セキュリティ対策(データの暗号化・承認とログイン管理)、ユーザー管理/グループ管理、データ共有。

(図提供:Catenda Japan)

プラグイン対応

IFCやBCFなどのオープンなBIM標準規格(連携エコシステム)を搭載し、データ連携をスムーズに行い 各種アプリケーションとのダイレクトな連携を実現する。

多様なプラグイン対応

Revitプラグイン、ArchiCADプラグイン、Navisworksプラグイン、Solibriプラグイン、 Teklaプラグイン、 Rebroプラグイン、PowerBI Connector、SharePoint Applicatio。

(図提供:Catenda Japan)

Catenda Hubは、プロジェクト単位の契約で使用できる。プロジェクト関係者は全員でプロジェクトに参加し、目指すべきチームワークを実現できる。その際には、参加者の人数制限は設けていない。

(図提供:Catenda Japan)

Solibri Liveコネクタを利用したCatenda Hubとの連携

Solibri Liveコネクタを利用したCatenda Hubとの連携
Catenda HubとRevitを用いたデザインコーディネーション
Catenda HubとArchiCADを用いたデザインコーディネーション

2024年問題+確認申請のデジタル化など特有なニーズ対応で「Catenda Hub」投入(図提供:Catenda Japan)

カテンダ社がCatenda Hubを市場に積極的に投入するに際して、建設業界の現状をどのように捉えているのか読み解いてみる。

建設業界は、時間外労働規制による「2024年問題」と建築確認申請のデジタル化という極めて重要な転換期を迎えている。

建築確認申請のデジタル化は、建設業界にとって大きな起爆剤となるが、そこではデータが単に「保存」されるだけでなく、構造化され、追跡可能で、規制に準拠していることが求められる。

同時に、深刻な労働力不足により、現場での管理業務時間を削減するツールが必須となっている。カテンダ社の製品ロードマップは、これら特定の市場ニーズに応えるために設計されている。

カテンダ社では、それら劇的な環境変化に対応するべく、建設業界を直接、支援するため、従来の共通データ環境(CDE)を超え、AIファーストで生産性重視のエコシステムへとプラットフォームを急速に進化させている。

確認申請のデジタル化に伴い文書管理機能を強化+特に承認ワークフローの構築に注力

建築確認申請のデジタル化に伴い、文書管理の厳格さがかつてないほど重要になっている。建築確認申請のデジタル化においては、シームレスなデータ相互運用性と追跡可能な監査証跡(オーディットトレイル: audit trail)が求められている。

カテンダ社では、Catenda Hub の中核となる文書管理機能を強化し、特に高度で連携された承認ワークフローの構築に注力する。これによって建築確認申請時に公的な承認を得るために提出するデジタル文書は、社内のレビュープロセスがすでに完結していることを保証する。合わせて、公的な承認の根拠となる「デジタルの証跡」を監査証跡として残すことによってISO 19650への準拠も容易なものにしていく。

ISO 19650準拠+情報管理の標準化+ CDE投入+ライフサイクルの管理+リスク最小化実現

シームレスなデータ相互運用性と追跡可能な監査証跡(オーディットトレイル: audit trail)が求められている現況下、ISO 19650の重要性への理解が深まっている。

ISO 19650は、建設業界における情報管理の国際標準で、BIMを通じて建物資産のライフサイクル全体に渡る情報の運用を効率化するために設計されており、BIMを使用した情報管理の概念と原則が規定されている。それら国際標準の重要性は以下のように列記できる。

情報管理の標準化を追求する。ISO 19650は、情報の交換、記録、バージョン管理、組織化などに関するルールを定めており、プロジェクト関係者が一貫した情報管理プロセスを利用することでプロジェクトの効率が向上し、エラーや誤解を減少させることが可能になる。

CDEと高い親和性を持っている。ISO 19650は、CDEの概念を裏打ちしており、全てのプロジェクト関連情報を一元管理するためのプラットフォームを提供する。これによって関係者は、常に最新の情報にアクセスでき、透明性が向上し、意思決定が迅速かつ正確に行えるようになる。

ライフサイクル全体の管理を実現する。ISO 19650が定義する国際標準では、設計、施工、運用、維持管理、最終的には解体に至るまで建物資産のライフサイクル全体を通じて情報を管理するための枠組みを提供する。これによってプロジェクトの各段階で必要な情報が適切に管理され、プロジェクトの成功に寄与する。

リスクの最小化に貢献する。ISO 19650は、情報の整合性を確保するためのプロトコルを確立し、データの正確性と一貫性を保証する。これによってプロジェクトにおけるリスクやエラー、紛争を最小限に抑えることができ、特に、複数の関係者が関与する場合、信頼できる情報に基づいた効果的な協働を可能にする。

競争力の向上に寄与する。ISO 19650に準拠することで、企業・組織は国際的な情報管理基準に従っていることを示すことができ、入札時などでの競争優位性を高めることができる。ISO 19650の認証を取得することで他社との差別化が図れるため、企業・組織の信頼性や市場での地位を向上させることが期待できる。これらの背景からISO 19650は建設業界における情報管理の効率化とプロジェクトの成功に不可欠な国際標準であるといえる。

ISO 19650の概観図(出典:JACIC研究開発部: ISO 19650-1「Figure 11 — Overview and illustration of the information management process」およびISO 19650-1本文中の記載等をもとに加工して作成)

情報伝達のギャップ解消のため創る=設計BIM+建てる=施工BIM+管理する=BIM-FMまで統合

建設業界が労働人口の減少を補うため生産性向上の強い圧力にさらされる中、カテンダ社では、「オフィスの BIM」と「現場の現実」のギャップが依然として存在していると現状を捉えている。それらのギャップを解消するためには、創る=設計BIMと建てる=施工BIMとをシームレスにかつ連続的に繋ぎ、その後の管理する=BIM-FMにまで統合する必要がある。そのためカテンダ社では、

Catenda Site アプリを大幅に改善し、さまざまなニーズに十分対応できるレベルに拡張する計画である。

Catenda Siteアプリは、現場での作業効率を向上させるべく、プロジェクト管理をサポートするために設計された直感的でモバイルフレンドリーなソリューションである。オフライン作業も効率的にサポートするなど、現場作業者が迅速にかつ正確に作業を進められるようにする多機能なプラットフォームとして機能する。Catenda Siteアプリを採用することによって、課題管理、品質管理チェック、2次元/3次元調整を現場で直接行えるようになり、データの二重入力を排除し、現場における管理業務時間を削減できる。

◇Catenda Site アプリの機能概要
リアルタイムの課題管理と作業報告、現場でのBIMモデルの利用、最新情報の現場での確認、現場のコミュニケーション強化、柔軟なプロジェクト管理、オフライン対応。

Catenda Siteアプリ(図提供:Catenda Japan)

Catenda HubをAIファーストのプラットフォームへ移行し過去の各種データを予測資産へと拡張

カテンダ社では、今後、より具体的な投資対効果をもたらす「スマートコンストラクションソリューション」を追求していく。そのためCatenda HubをAIファーストのプラットフォームへと移行させ、日常業務を自動化、予測的リスク分析などの複雑な業務を解明することを目指している。構造化されたオープンスタンダードデータ(OpenBIM)をAIに学習させることで、過去のプロジェクトデータを予測資産に変え、遅延が発生する前に回避できるよう支援していく。