産学連携による次世代の建築人材育成を目的にデジタルツールの設計実務への影響を検証|深堀り取材【毎月15日・月末更新】

※安心計画(福岡市: 代表取締役社長:高田政和)では、九州産業大学建築都市工学部 住居・インテリア学科における「3D-CADと生成AIを導入した特別講義」の実施結果を公開した。

このプログラムは、産学連携による次世代の建築人材育成を目的とした試みで、講義を終えた学生へのアンケート結果に基づき、最新のデジタルツールが設計スキルの習得や実務意識の醸成にどのような効果をもたらしたのかの検証結果を報告している。合わせて、今後も、テクノロジーを活用した実践的な学習機会を継続的に提供することによって次世代の建築業界を牽引する人材の育成を支援していく。

「実務直結の体験」が大学と社会とのギャップを縮める教育モデルとして高い教育効果

今回の試みにおいては、学生が将来の進路をより具体的に描く「キャリア教育」としても高い効果を発揮した。企業が実際に現場で使用しているツールやワークフローを体験することによって、学生にとっても自身の適性や今後の課題を客観的に捉え直す機会となっている。このような「実務直結の体験」は、大学教育と社会とのギャップを縮める新たな教育モデルとして極めて高い教育効果を示している。

学生からも、「企業の方々と意見交換をしながら課題に取り組めたことは非常に有意義でした。実際に企業の現場で使用されているCADやAIを体験することで、設計の進め方や、設計後にどのように顧客へ提案・表現しているのかを具体的に理解することができ、大変勉強になりました」とのコメントが寄せられている。

3D-住宅CAD「Walk in home」+建築生成AI「タノモシカ」を導入した実践型プログラム

「3D-CADと生成AIを導入した特別講義」は、安心計画とLib Work(熊本県山鹿市: 代表取締役社長:瀬口力)、九州産業大学香川治美研究室との共創によって開発された教材を用い、実際の住宅設計で使用されている3D-住宅CAD「Walk in home」と、建築生成AI「タノモシカ」を大学教育に導入した実践型プログラム。学生は、3人1組のチームとなり、プランニングから3次元化、AIによる表現補助、最終プレゼンテーションまでを一貫して体験する。
◇実施期間:2025年12月4日(木)~12月25日(木)
◇授業形式:3人1組(14チーム)のグループワーク
◇内容:CAD操作習得/住宅設計/耐震・省エネ性能の検討/AI活用/発表

3次元可視化による「空間把握能力」の向上が見られたなど学生からのコメントも報告

学生からのアンケート結果を集約し、5つの教育効果として公表している。

「短期間で形にする成功体験」が設計への自信に繋がっている。直感的な操作が可能な3D-CADとAIを組み合わせることによって設計経験の有無に関わらず、短期間でアイデアを形にすることができた。それによって限られた時間内で発表までやり遂げることができ、「自分にもできる」という自信と設計に対する意欲の向上に繋がった。

3次元可視化による「空間把握能力」の向上が見られた。3次元モデリングによって天井高や動線、家具配置を体感的に理解しながら設計が進行できる。「図面上の数字ではなく、実際の暮らしを想像しながら考える力が養われた」など平面図中心の学習では得られにくい成果が得られた。

Walk in homeとAIで作成した室内パース(チーム西瓜)

構造・性能を意識した「実務的視点」の芽生えが見られた。意匠デザインだけでなく、耐震性や断熱性能を数値で確認しながら設計を進めた結果、多くの学生に「安全性とデザインを両立させる」という実務的な視点が芽生え、根拠ある設計の重要性を学ぶ機会となった。

Walk in homeの構造計算画面
Walk in homeの外皮計算画面

生成AI活用による「発想力・表現力の拡張」と気づきが得られた。AIを単なる自動化ツールではなく、アイデア、発想の補助や表現を洗練させる道具として活用し、その過程で、多くの学生が「設計意図を言語化する力の重要性」に気づくという教育的効果が見られた。学生からのコメントには、「AIは何をどう見せたいかを明確に指示することで力を発揮するツールだと分かった」「AIを使うことで、自分の設計意図を言語化する重要性に気づいた」「AIは考えを整理し、表現を洗練させるための道具だと理解できた」などがあった。

Walk in homeとAIで作成した室内パース(チーム肉寿司)
Walk in homeとAIで作成した外観パース(チームGentlemen’s)

チーム設計を通じた「協働スキル」の育成に繋がった。3人1組のグループワークによって役割分担、意見の共有、合意形成、時間管理など実務で求められる協働スキルを体験的に学ぶ機会を提供することができた。「設計は個人作業ではなく、対話と共有によって完成度が高まるものだと理解できた」との声も多く、重要な成果の一つとして挙げられる結果となった。学生からは、「今回の授業では、チームで一つの作品を制作し、発表まで行うプロセスを通して、計画設計における協働の重要性を実感しました。個人で行う設計とは異なり、コンセプトを共有し、役割分担をしながら進めることで、設計意図を言語化し、他者に分かりやすく伝える力が求められることを学びました」とのコメントも寄せられている。

3人1組のグループワークの様子
チーム発表の様子

※安⼼計画:1988年設立の建築業界に特化したプレゼンシステムの専門企業。2023年6月、事業基盤の強化とサービス拡充を目的に総合情報サービス企業である株式会社DTSのグループに参画した。DTSグループの最先端IT技術・開発リソースと長年培ってきた営業力・サポート力を掛け合わせることで生まれるシナジーを最大限に活かし、全国のビルダーへ革新的なソリューションを提供している。