大和ハウス工業共同開発、国産間伐材を用いた木質カーテンウォールで日本初の60分耐火認定取得

大和ハウス工業株式会社、株式会社フジタ、株式会社芳賀沼製作の3社は共同で、間伐材を利用した外壁「カンタイパネル」を開発しました。この製品は、カーテンウォール形式の木質外壁として日本で初めて60分の耐火大臣認定を取得しています。
「カンタイパネル」という名称は、「間(カン)」伐材を主とした国産木材を用いた「耐(タイ)」火「パネル」を意味しています。カーテンウォールとは、建物の荷重を負担しない非耐力壁のことで、デザイン性の高い外壁を実現しやすい工法です。
都市部の中高層建築にも適用可能な木質外壁
林野庁の「木材需給表」によると、2023年の国内での木材供給量は2002年と比較して1.2倍に増加しており、建築物への木材利用が進んでいます。特に環境意識の高まりを背景に、オフィスビルなど都市部の中高層建築物でも、企業のブランドイメージ向上を目的とした木質化が注目されています。
このような市場ニーズに応えるため、3社は都市部の厳しい耐火基準をクリアする、カーテンウォール形式の間伐材耐火外壁「カンタイパネル」を共同開発しました。この製品は、フジタの自社施設「フジタ技術センター付属棟」で検証したうえで、顧客への提案を開始する計画です。
日本初となる60分耐火認定を取得した木質カーテンウォール
「カンタイパネル」の最大の特徴は、火災時の延焼リスクが高い都市部でも使用できるよう、カーテンウォール形式の木質外壁として日本で初めて60分耐火認定を取得したことです。
この耐火性能は、木の芯材を強化石こうボードで覆うことで実現しています。火災発生時には、この構造が芯材を保護します。さらに、強化石こうボードをL字形鉄板で覆い、外壁パネルの連結部には耐火目地材と耐火ガスケットを使用することで、建物内外から壁体内に炎が侵入することを防止する仕組みになっています。
意匠性と施工性を両立したカーテンウォール形式
「カンタイパネル」は、意匠性と施工性を同時に実現するためにカーテンウォール形式を採用しています。カーテンウォールは構造躯体によって支えられるため、建物の荷重を負担する耐力壁と比較して、構造上の制約が少なく、外装面材を後から貼ることができるなど、デザイン面での自由度が高いことが特長です。
また、あらかじめ工場で製造された部材を現場で取り付けるため、部材の加工を現場で行う従来の外壁と比べると、工期の短縮が可能になります。
間伐材の利用拡大に貢献するタテログ構法
「カンタイパネル」のもう一つの特徴は、間伐材の利用拡大に貢献するタテログ構法を採用していることです。林野庁の「森林・林業白書」によると、人工林のうち6割以上が樹齢50年を超えており、伐採期を迎えています。
森林保全や森林資源の持続的利用のためには間伐が必要ですが、樹種によって強度が不安定であることなどが理由で、建築部材としての採用が進まず、間伐が十分に行われていない現状があります。
そこで「カンタイパネル」では、スギなどの強度が低い樹種の間伐材も使用できるよう、ビスで製材を固定しパネル化するタテログ構法を採用しました。これにより、カーテンウォールの強度を高め、樹種を問わず間伐材を芯材に採用することが可能になりました。
製品概要
「カンタイパネル」は2025年3月28日に開発され、ホテル・物流施設・住居などへの利用が想定されています。重量は正面から見た面積あたり135kg/㎡で、60分耐火の性能を有しています。
構成部材は、間伐材・強化石こうボード・L字形鉄板・耐火目地材・耐火ガスケット・取付金物・透湿防水シートからなります。
フジタ技術センター付属棟では、2025年9月末の竣工に向けて、この「カンタイパネル」が使用される予定です。
3社は今後も、環境に配慮した木材の利用により、脱炭素化や森林資源の循環利用に貢献し、カーボンニュートラルの実現はもとより、自然環境と調和した社会づくりを目指していきます。
出典情報
大和ハウス工業株式会社リリース,■木質カーテンウォールで、日本初の60分耐火大臣認定を取得 間伐材耐火外壁「カンタイパネル」を開発,https://www.daiwahouse.co.jp/about/release/house/20250327173744.html