国土交通省の住宅政策、2025年前半における安心居住と環境配慮型住宅の推進策

国土交通省は2025年1月から4月にかけて、住宅に関する多様な施策を次々と発表しています。今回は、最新の住宅政策の動向について、安全・安心な住まいの確保から環境配慮型住宅の推進まで、幅広くお伝えします。
目次
住宅セーフティネット強化へ新制度スタート
4月22日、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」が閣議決定されました。この改正により、今年10月1日から「居住サポート住宅の認定制度」が始まります。この制度は、高齢者や障がい者など住宅の確保に配慮が必要な方々への支援を強化するものです。
また、4月2日には「令和7年度 人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業」の募集が開始されました。これは誰もが安心して暮らせるためのモデル的な取組を行う事業者を支援する制度です。同時に、空き家等を改修してセーフティネット住宅とする事業者への支援や、サービス付き高齢者向け住宅整備事業の募集も始まりました。
省エネ住宅の普及と環境配慮の推進
住宅の省エネ化に関する取り組みも活発です。4月18日には「建築物の省エネ改修工事」の提案募集が開始され、既存建築物の省エネ化を推進する事業者を支援します。また、「省CO2先導プロジェクト2025」の提案募集も同時に始まりました。
4月17日には「断熱性の高い住宅の設計のポイント」に関するガイドが公開されました。このガイドは、省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計方法について詳しく解説しています。さらに、3月31日から「住宅省エネ2025キャンペーン」の交付申請の受付が順次開始され、省エネ性能の高い住宅の新築・リフォームを支援しています。
既存住宅市場の活性化と住宅ストックの有効活用
国は既存住宅の流通促進にも注力しています。4月9日には「既存住宅市場の整備・活性化懇談会」が開催され、既存住宅が選ばれる社会に向けた議論が行われました。同日には「ストック社会における住宅・住環境・市場のあり方」についても、社会資本整備審議会住宅宅地分科会で議論されています。
住宅ローンの状況も注目されており、3月31日には民間住宅ローンの令和5年度実績が公表されました。特に変動金利型の割合が継続的に増加していることが明らかになっています。
災害対策と安全確保
令和6年能登半島地震の被災者支援として、1月16日に公営住宅の補助率特例区域が追加されました。これにより、罹災者公営住宅の建設等に係る国庫補助率の引上げの対象が2市町追加告示されています。
また、3月12日には「暮らし維持のための安全・安心確保モデル事業」の募集が開始され、地域の住宅生産事業者等が災害発生に備えて実施するモデル的取組を支援する制度が始まりました。
マンション政策の見直し
3月4日には「マンションの管理・再生の円滑化等のための改正法案」が閣議決定されました。これは新築から再生までのライフサイクル全体を見通した取組を推進するものです。2月3日には「マンション政策小委員会」も開催され、今後のマンションの管理適正化及び再生円滑化のあり方について検討されています。
バリアフリー化の推進
2月25日には「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準に関するフォローアップ会議」が開催され、建築物のバリアフリー化に向けた更なる取組について議論されました。1月31日には建築物のバリアフリー基準の改正に係る説明会も開催されています。
住宅産業の国際展開と技術者の確保
2月21日には住宅産業の海外展開を支援するための新たなセミナーが開催されました。また、2月3日には「住宅分野における建設技能者の持続的確保懇談会」が開催され、建設技能者の確保に向けた議論が行われています。
このように、国土交通省は2025年度も住宅政策の多様な課題に取り組んでいます。住民の安全・安心な暮らしの確保から環境に配慮した住宅の普及まで、幅広い施策が展開されていることがわかります。
出典情報
国土交通省リリース,住宅関係報道発表資料,https://www.mlit.go.jp/report/press/jutaku_news.html