竹中工務店など3社共同開発、建設現場の資機材自動搬送ロボットが始動
竹中工務店(社長:佐々木正人)、鹿島建設(社長:天野裕正)、アクティオ(社長:小沼直人)の3社は、建設現場の作業効率を大きく向上させる資機材自動搬送ロボットを共同開発したことを発表しました。
画期的な自動搬送システムの特徴
ロボットシステムの最大の特徴は、工事用エレベータで運ばれてきた資機材を、自動で荷下ろしし、目的地まで運べることです。建物の3次元データ(BIM)から作成された地図を基に、ロボットが自律的に移動経路を判断し、資材を正確に配送します。2024年7月には大阪市内の建設現場で実施された実証実験で、その実用性が確認されています。
建設現場の効率化を実現
建設工事において、必要な資機材を適切なタイミングで必要な場所に届けることは、工程管理の要となります。これまで建設作業員が行っていた資材搬送作業を自動化することで、作業員はより専門的なスキルを要する本来の建設作業に専念できるようになります。
24時間稼働可能な搬送システム
本ロボットの導入により、作業員の休憩時間や夜間など、人手の少ない時間帯でも資材搬送を継続できるようになります。これにより、建設現場全体の作業効率が大幅に向上することが期待されています。
■高性能な技術仕様
外形寸法:長さ2,386mm×幅988mm×高さ920mm
最大可搬重量:2,000kg
本体質量:660kg
搬送対象:パレット、台車、ボード材
搭載センサーと安全機能
ロボットには最新のセンサー技術が搭載されています。本体上部には2D LiDARとバーコードリーダーを装備し、以下の機能を実現しています。
・2D LiDARによる270度の範囲監視と自己位置把握
・バーコードリーダーによる搬送物の正確な認識
・予期せぬ障害物の検知時における自動停止機能
・必要に応じた人による遠隔操作機能
統合管理システムによる効率的な運用
本システムは、以下の3つの要素を統合することで、効率的な資材搬送を実現しています。
・自動搬送ロボット本体
・竹中工務店開発の「建設ロボットプラットフォーム(RPF)」
・鹿島建設開発の「自動搬送管理システム(JHSアプリ)」
これらのシステムが連携することで、搬送予約から経路生成、運行管理まで、一貫した自動化を実現しています。
今後の展開
開発各社は2025年4月までの実用化を目指し、国内の建設現場での試験運用を重ねていく予定です。さらに、建設RXコンソーシアムの「資材の自動搬送システム分科会」を通じて、適用現場の拡大に向けた改良開発を進めていきます。
実用化後は、アクティオが本ロボットのレンタルサービスを提供する予定です。この革新的なシステムの導入により、建設業界全体の生産性向上と、より魅力的な労働環境の実現が期待されています。
技術用語解説
■BIM(Building Information Modeling)とは
コンピュータ上で作成された3次元の建物モデルに、仕上げ、コスト、管理情報などの属性データを追加したものです。この技術は、設計から施工、維持管理まで、建設プロジェクトのあらゆる段階で活用されています。
■建設RXコンソーシアムについて
2021年9月に設立された民間団体で、建設業界が直面する労働力不足や生産性・安全性の向上などの課題解決を目指しています。ロボットやIoT技術を活用した建設現場の革新的な変革(ロボティクストランスフォーメーション)を推進しています。
このロボットシステムの開発は、建設業界のデジタル化と自動化の大きな一歩となり、今後の建設現場の在り方を大きく変えていく可能性を秘めています。
出典情報
株式会社竹中工務店リリース,資機材自動搬送ロボットを開発,https://www.takenaka.co.jp/news/2024/12/02/