配筋検査とは?検査項目やおすすめのアプリ3選を解説

配筋は、鉄筋コンクリート造や擁壁などで使用される材料の1つです。竣工の段階では、見えなくなるものの、施工図や寸法が明確に決まっているため、必ず検査を実施する必要があります。

本記事では、配筋検査の概要からおすすめのアプリ3つについてみていきましょう。

配筋検査とは

配筋検査とは、建物の基礎や構造物に含まれる配筋の数や寸法などの配置状況を確認するための検査です。実施者は、設計管理者や第三者機関が主だといえます。

実施理由は、大きく分けて以下の3つだといえます。

  • 鉄筋の本数と寸法によって構造計算の内容が異なってくる
  • 太さと長さが仕様と違う場合は耐久性にも問題が出てくる
  • 配筋の建築基準法に適合しなければならない(図面と異なることが問題となるだけでなく、接合部の処理、かぶり厚さなども仕様がある)

つまり、配筋検査には構造体に必要な配筋に対して適切な処置を実施しているかをチェックする役割があります。

配筋検査のタイミング

配筋検査のタイミングは次のとおりです。

  • 基礎工事の配筋配置後:建築工事の場合、施工後全く見えなくなる部分であり、ほぼ修復が不可能。また、不具合があれば、建物の耐震性や耐久性の欠如に加え、傾きなども発生するため
  • 柱や梁の配筋完了後:建物の骨組みとなる部分に鉄筋を使用している場合、コンクリート打設によって見えなくなる。また、水平・垂直荷重に直接影響があるため、適切な配置が必須。 定着長さなども設計と異なる場合、強度不足となるため
  • スラブ(床)の配筋後:鉄筋コンクリート造では床部分となり、コンクリートに隠れてみえなくなる。そのうえで、たわみやひび割れの発生原因となり、配管や配線にも影響がある

配筋検査のタイミングはほぼ決まっています。どのタイミングでも安全性の確保や構造体としての強度確保を基準として、検査を実施する点は知っておきましょう。

配筋検査の検査項目

ここでは、配筋検査の検索項目について詳しくみていきましょう。 鉄筋の配置やかぶり厚さなどは、手順さえわかれば知識がなくとも対応できるものの、接合部や防湿シートなどは専門的な知識が必要です。

鉄筋の配置

鉄筋の配置は、施工図や設計図で予め決められています。スケールを用いて間隔を図るだけでなく、配置のズレが後に大きな影響を及ぼす可能性があるため、念入りにチェックするケースがほとんどです。 

また、鉄筋の配置は基本的に均一であり、縦でも横でも決められた間隔で配置されている必要があります。

鉄筋のかぶり厚さ

鉄筋の外側からコンクリートの表面までの距離を意味し、腐食防止や耐火の役割があります。建築物によって大きく基準が異なるものの、一般的には以下のような基準がある点も知っておきましょう。

  • 床:20mm
  • 柱:30mm
  • 立ち上がり部分:40mm
  • 基礎:60mm

鉄筋の波打ち

鉄筋は、水平の状態で配置されていないことを意味します。途中で切断されていたり、加工が不十分だった場合になりやすい事象です。

波打ちが発生した場合は、鉄筋が十分な能力を発揮できず、かぶり厚にも悪影響があります。鉄筋の波打ちに関しては、目でわかるものもあれば、機器を用いてミリ単位までチェックするケースもあります。

たとえば、水平精度が悪く、あらゆる箇所が波状の形状になっているという場合にはコンクリートのひび割れや強度低下などを招く可能性があるといえるでしょう。

鉄筋定着の長さ

鉄筋の定着長さもチェック項目の1つです。仮に定着長さが 規定よりも短いと言った場合には、接合部分の破断やひび割れにつながります。検査時には、設計図との照合や寸法の測定などが実施されます。

また、鉄筋の定着については、設計段階で規定されているケースがほとんどです。仮に、長さが不足した場合には、設計変更による補強なども実施する必要があります。

鉄筋の径(太さ)

鉄筋の径は、建物ごとに基準が異なるものの、施工図に合っているかどうかを確認します。仮に、施工図に合っていない場合には、建物の強度不足や耐震性不足につながります。

ただ、ほとんどの場合は施工前に決められていることに加え、配筋を実施する前に確認すれば間違えることはないといえるでしょう。

防湿シート

基礎工事の段階で使用する防湿シートも配筋検査の対象です。とくに破れについては、補修しなければ是正事項となってしまうため、施工時にも注意が必要です。また、指定された厚さのシートを用意しなければ、施工不良に該当してしまいます。

ホールダウン金物の位置・本数・固定状況

柱の位置と基礎を固定するためのホールダウンも配筋検査の対象です。位置や本数、ボルトの緩みまでチェックされます。

アンカーボルトの位置・本数・固定状況

建築物の基礎と柱や梁を固定するためのアンカーボルトも配筋検査の対象です。設計図に施工箇所が指定されていることに加え、必要本数とナット・プレートの状態もチェックされます。仮に、適切な配置や処理ではなかった場合は、基礎の損使用や建築物の耐震性が低下します。

配筋検査における3つの注意点

配筋検査においては以下3つの注意点を意識しましょう。

  • 必要な図面と写真を用意しておく:配置図、基礎伏図、平面図や構造仕様書などを用意し、写真をまとめておく
  • 配筋の位置や固定状況の確認:スペーサー、ホールダウンの位置なども含めて事前に確認する
  • チェックリスト作成:項目の省略はないものの、どの順番で検査を実施するのか予め決めておく。スムーズな検査実施のため。ただし、検査担当者がどこを確認してもよい状態にしておく

チェックされるポイントが予め決まっている場合であっても、事前に検査場所を決め、スムーズな検査実施ができるようにしておくことが大切です。

おすすめの配筋検査アプリ3選

ここでは、おすすめの配筋検査アプリを3つ紹介していきます。

SPIDERPLUS

SPIDERPLUSはスパイダープラス株式会社が提供している配筋検査(施工管理)アプリです。AIによる配筋構造図の切り出しや検査箇所の登録、検査状況の確認もSPIDERPLUSのみで完了できます。また、手作業であれば、大規模になるほど管理しにくくなるものの、SPIDERPLUS上で検査済みかどうかも判別できるため、作業効率の向上を目指せます。

加えて、検査項目をリスト化できるため、工事ごとに変化があっても対応可能である点もメリットの1つです。

SiteBox 配筋検査

SiteBox 配筋検査は、株式会社建設システム(KENTEM)が提供する配筋検査(施工管理)アプリです。物理的なマーカー設置・改修の手間が要らず、電子上の黒板の配置や各レイヤごとの編集が可能な点がメリットです。

配筋検査支援システム

株式会社日本オープンシステムズが提供する配筋検査支援システムも配筋検査に推奨できるアプリです。部位ごとの検査状況の管理や写真撮影後の追記と配筋図の挿入も可能です。検査に必要な図面も参照できるため、紙の必要図面を用意する必要がなくなります。

まとめ

配筋検査は、鉄筋コンクリート造や構造物の安全性や耐久性を確保するために必ず実施される検査の1つです。設計図や建築基準法に基づいて、鉄筋の配置やかぶり厚さ、定着長さなどを細かくチェックし、施工不良を未然に防ぎます。

適切な配筋検査を実施することで、建物の耐震性や耐久性を高め、施工後のトラブルを防ぐことが可能です。正確な検査とスムーズな管理を実現し、高品質な建築物を提供しましょう。