奥村組とはどんな会社?会社概要やDXへの取り組みを徹底解説

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著者:鈴原 千景

奥村組は、ゼネコンの1社であり、免震工事に強みがある企業として知られています。日本各地に拠点があり、売上規模も数千億円に達しています。

本記事では、奥村組の会社概要や特徴、DX(BIM)の取組みについて詳しくみていきましょう。

奥村組の会社概要

奥村組の会社概要は以下になります。中堅ゼネコンと呼ばれるゼネコンの中でも従業員数が多く、売上高も3,000億円に近い立ち位置の企業だといえるでしょう。とくに、耐震・耐震補強工事に強みを持ち、免震工法や免震オイルダンパーなどの技術を保有しています。

本社所在地大阪市阿倍野区松崎町2-2-2
代表取締役社長奥村 太加典
従業員数2,344人
売上高2,881億円
経常利益148億円

※有価証券報告書から

より詳しくさまざまなゼネコンの情報を知りたい方は以下の記事から。

奥村組の特徴

ここでは、奥村組の特徴について詳しくみていきましょう。施工方法や企業の特徴として、奥村組が「免震に強い」といわれる理由や人材育成の方針を知ることで、より深くどのような企業か知ることにつながります。

歴史

奥村組は土木建築請負工事を行う企業として、1907年に創業しました。奥村組が発足したのは1921年で、それまでは創業者の奥村太平の個人事業だったといえるでしょう。

その後、電線建設工事を経て、1938年には株式会社に移行しています。1955年には、通天閣の施工、1965年には泥水式シールド工法「OCMS工法」の開発を行っています。また、1986年には実用免震ビルを完成させており、免震に強い企業として知られることになりました。

近年では、免震に対する更なる研究成果の発表に加え、地域の木材を活用した大型木造建築物(学校)などの建設にも注力しています。

人材育成の方針

奥村組の人材育成に関しては、人を「財産」として考え、徹底的に研修を行っているといえるでしょう。たとえば、建築分野であれば年次集合研修や若手勉強会、年次別施工図研修が5年まであります。土木分野も要件は似ていますが、安全品質環境部主催研修を5年目まで実施している状況です。

また、健康経営の推進による従業員の保健指導強化や業務の見直し・効率化にも注力しています。具体的な指針としては人間ドック受診率、労働時間数や休日の取得数管理などがあり、取組みに対する目標値まで設定されている点も特徴です。

サステナビリティ・環境配慮の方針

奥村組はサスティナビリティの一環として、クロスイノベ-ションセンターを設立し、次のような観点から技術やビジネスを創出する動きに注力しています。

  • 持続可能な経済成長
  • 持続可能な自然環境
  • 強靭で快適な社会基盤
  • 自分らしい生き方

たとえば、環境保全の観点から、エネルギー効率や自然エネルギー活用といった事業開発を行っています。2023年に設立したクロスイノベーションセンターは、社内外との交流による社会課題の解決も目的です。そのため、すでに500社・2,000人以上が利用している状況です。

環境配慮に関しては、奥村組として施工段階におけるCO2の排出抑制やオフィスにおけるCO2の排出抑制などの目標値を設定しています。SDGsの目標に合わせ、働き方改革の推進や作業効率化、不動産ストックの有効活用などの実施にも注力しています。

奥村組の平均年収

奥村組の四半期報告書によると、平均年収は946万円となっています。役職によってはさらに高額となるため、入社後のキャリアプランを策定しやすい点もメリットです。

また、役職だけでなく、スキルや経験を評価するため、スキルや専門性を高めながら収入を高めたいという意向にも適していると予想されます。平均年齢が42歳、平均勤続年数は16年程度である点から、経験を積んだ従業員が多い点も働きやすさを表しているといえるでしょう。

ゼネコン26社の平均年収をより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

奥村組の代表的な建築物

奥村組の代表的な建築物は以下になります。建築物は学舎やビル、土木構造物に関しては、トンネルや擁壁、運河・沿岸部の災害復旧工事などが多く見受けられます。

  • 摂南大学寝屋川キャンパス3号館
  • 流山市立おおぐろの森中学校
  • 三隅・益田道路岡見トンネル
  • 新名神高速道路東畦野トンネル
  • 一関遊水地大林排水施設躯体

奥村組のDX(BIM)への取り組み

奥村組はBIMにも注力しており、自社の技術研究所内で維持管理BIMモデルの構築を行い、施設運営上の蓄積や検証を行っています。この取組みでは、長期修繕計画システムと施設台帳管理システムを構築し、専門家ではない担当者に対して、BIMモデルの有用性を示すというものです。

結果としては、シミュレーション結果をグラフと連動させることで、発生するコストがわかりやすくなり、VRAR・MRを組み合わせた合意形成は可能ということになりました。ただし、BIMは適宜修正しながらカスタマイズする必要があるといった課題も把握しやすい検証でした。

詳しくはこちらの記事から。

また、2030年までの目標で、高度作業の自動化やデジタルツインメタバースによる新しい建設プロセスの想像もロードマップとして掲げています。たとえば、奥村組独自の技術として、従来の3次元モデルに工程データとコスト情報を付与した5次元シミュレーションなども開発しています。