竹中工務店、遠隔クレーン操作システムCRANETで70km離れた現場を制御可能に
竹中工務店は、タダノ、アルモとの共同プロジェクトにより、画期的な移動式クレーンの遠隔操作システム「CRANET(クラネット)」を開発しました。この革新的なシステムにより、建設現場の働き方が大きく変わろうとしています。
■開発に携わった3社
竹中工務店(社長:佐々木正人)
株式会社タダノ(社長:氏家俊明)
株式会社アルモ(社長:河田宣人)
目次
実証実験で証明された高い操作性
実証実験では、高松市に設置された専用の操作室(コックピット)から、およそ70キロメートル離れた徳島市の建設現場に配置された移動式クレーンを遠隔で操作。建設資材の移動や積み降ろしなどの作業をスムーズに行えることが確認されました。
建設業界が直面する課題への対応
近年、建設業界では深刻な問題に直面しています。時間外労働の上限規制が厳しくなり、熟練した技能工も減少傾向にあるなか、働き方改革は待ったなしの課題となっています。
従来のクレーン作業では、オペレーターは毎朝、会社に出勤してから建設現場まで移動し、狭い運転席で一日中過ごさなければなりませんでした。この状況を改善するため、以下の課題解決が求められていました。
・移動時間の短縮
・身体的負担の軽減
・作業環境の改善
「CRANET」がもたらす革新的な解決策
「CRANET」は、これらの課題を解決する画期的なシステムです。オフィスに設置された専用の操作室から、遠く離れた建設現場のクレーンを操作できます。これにより
・オペレーターは建設現場に行く必要がなく、通勤時間を大幅に短縮
・快適な環境で作業が可能となり、身体的負担を軽減
・複数の操作室を設置することで、ベテランオペレーター1名が多くの若手を同時に指導可能
最新技術を駆使したシステムの特徴
技術面では、以下のような特徴を備えています。
■完全無線システムの採用
・光ファイバーなどの有線回線を使用せず、完全無線化を実現
・クレーンの移動に対応した高速で安定した通信環境を確保
・最新のCAN(Controller Area Network)規格に対応
■実践的な操作環境の再現
・実際のクレーン運転席を忠実に再現した操作室
・複数のカメラ映像をリアルタイムでモニター表示
・クレーンの動作状況や異常信号を常時確認可能
今後の展開と期待される効果
開発チームは、2024年12月までの試験期間を設け、各種の実証実験を重ねていく計画です。その後、2025年度中の本格運用開始を目指しています。将来的には
・システムの普及促進
・他の建設機械への技術応用
・建設業界全体の生産性向上
などを通じて、業界の魅力向上に貢献することが期待されています。
タワークレーン遠隔操作システムとの違い
竹中工務店では、すでにタワークレーン向けの遠隔操作システム「TawaRemo®」を開発し、多くのプロジェクトで活用しています。「CRANET」との主な違いは以下になります。
■通信システムの違い
・TawaRemo®:固定式のため一部光ファイバーなどの有線回線を使用可能
・CRANET:移動式のため完全無線システムを採用
■操作方式の違い
・TawaRemo®:モニター映像のみで操作
・CRANET:運転席からの目視感覚を重視した操作システム
この新システムの導入により、建設現場の働き方改革が大きく前進することが期待されています。技術の継承や若手育成にも効果を発揮し、建設業界全体の発展に貢献するものと考えられています。
出典情報
出典:株式会社竹中工務店リリース情報,移動式クレーンの遠隔操作システム「CRANET」を開発-遠方設置のコックピットから移動式クレーンの操作を実現-,https://www.takenaka.co.jp/news/2024/09/02/