3Dプリンター用素材の種類|「木材」活用の建築も

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3Dプリンターの素材」についてピックアップします。製造業建設業で使用されている主な素材について、特徴をご紹介します。木材を素材として活用する取り組みも始まっており、さらなる開発が期待されています。

3Dプリンターのメリット

3Dプリンターとは、デジタルデータを元に立体的な物体を作り出す装置のことを指します。一般的に「積層造形」と呼ばれる方法を用いて、材料を一層ずつ積み重ねることで3次元の物体を形成する仕組みです。

従来の削り出しや鋳造といった製造方法とは異なり、無駄が少なく複雑な形状も簡単に作れるのが特徴です。そのため医療や工業、建築といった分野で広く活用されています。主なメリットとしては、下記の点が挙げられます。

  • コスト削減
  • 環境負荷の低減
  • 短時間で作成可能

3Dプリンターは従来の製造方法に比べて材料の無駄が少なく、低コストを削減できます。建築模型やアート作品を少量ずつ製作する際にも、コスト効率が高いのがメリットです。

また廃棄物が少なく、持続可能な生産プロセスの一環としても注目されています。そして短期間で作成できることから、建築業界では3Dプリンターによる完全自動施工も期待されています。

3Dプリンターで使える素材の種類①製造業

ここでは、3Dプリンターで使える主な素材の種類についてご紹介します。建設業でも、模型の作成等で3Dプリンターが活用されるケースが増えています。

ABS樹脂

ABS樹脂は、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンを結合した熱可塑性樹脂です。強度と耐久性に優れたプラスチック素材で、耐久性が求められる製品に適しています。耐久性と加工性のバランスが良く、試作品や実用品の造形に適しています。

ASA樹脂

ASA樹脂(アクリル・スチレン・アクリロニトリル)は、ABS樹脂に似た特性を持ちながら、さらに耐候性を向上させたプラスチック素材です。特に紫外線や天候に対する耐性が優れているため、屋外で使用される製品に適しています。寒冷地や高温下での使用においても、強度が維持できます。

PLA樹脂

PLA樹脂(ポリ乳酸)は生分解性プラスチックの一種で、主にトウモロコシやサトウキビなどの植物から作られています。熱に対する安定性が高いため3Dプリンター用のフィラメントとしてもよく使われ、造形がしやすいのが特徴です。

TPU

TPU(熱可塑性ポリウレタン)は、柔軟性と耐久性を兼ね備えた熱可塑性エラストマーの一種です。ゴムのような弾力性がありながら、熱を加えることで成形できるという特性を持っています。柔軟性、耐久性、耐薬品性、耐寒性に優れた素材で、特に衝撃吸収や伸縮性が求められる製品、過酷な環境でも性能が求められる工業用部品やスポーツ用品に最適です。

ナイロン樹脂

ナイロン樹脂は、優れた強度、耐摩耗性、耐熱性を持つ熱可塑性樹脂です。非常に広い用途で使用されており、産業から家庭用品まで幅広く活躍しています。

摩耗にも強いため、動くパーツや摺動部品に適しています。これにより、長期間にわたり耐久性が維持できます。エンジン周りの部品や、内装外装のクリップ、ファスナーなど、耐熱性や耐衝撃性が求められる自動車部品に多く使われています。

レジン (光硬化樹脂)

レジン(光硬化樹脂)は、紫外線(UV光)やレーザーなどの光を当てることで硬化する樹脂材料です。液状の状態から、光の照射により化学反応を起こし、固体の硬い物質に変わるという特性を持っています。アクセサリーやフィギュアといった造形に適しています。

金属

金属は3Dプリンターで非常に重要な素材であり、製造業や医療、航空宇宙などの多くの分野で活用されています。高い強度や耐久性を持っており、複雑な形状の製造が可能です。

特に製造業や航空宇宙、自動車、医療などの分野で注目されています。3Dプリンティング技術を使用することで、従来の製造方法では難しい複雑な形状や内部構造を持つ部品を容易に作成できるのが特徴です。

3Dプリンターで使える素材の種類②建築用

ここでは、建築分野で使われる3Dプリンターの素材についてご紹介します。

コンクリート

コンクリートは3Dプリンターで使用される重要な建材であり、建設業界で革新的な技術として開発が進められています。コスト削減や迅速な施工、デザインの自由度、環境への配慮など多くのメリットがあり、住宅からインフラ整備まで幅広い用途に対応可能です。

従来の型枠を使わず必要な材料のみを使用して建設できるため、資材の無駄が少ないのがメリットです。また作業の自動化により、人件費の削減も期待できます。

木材

最近では、木材を活用した3Dプリンター技術も開発されています。具体的には木材の粉末や繊維を含むフィラメントが使われ、木の風合いを活かした製品が作れます。

木材を使用することで、他の素材よりも軽量で環境にも優しいのが特徴です。。軽さが求められるプロジェクトに適しており、将来的には建築分野での応用が期待されています。

建設業での3Dプリンター活用事例

ここでは、建設業で3Dプリンターが活用されている事例についてご紹介します。

Polyuse(ポリウス)|建設業向け3Dプリンター開発

出典:PR TIMES,国産建設用3Dプリンタを開発するPolyuse、建設用3Dプリンタ『Polyuse One(ポリウス ワン)』先行受注販売の予約受付を開始。9月の建設DX展[大阪]にて展示決定!,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000049711.html,参照日2024.9.24

Polyuse(ポリウス)は、国産建設用3Dプリンターの開発を行っています。アップデートを行なった「Polyuse One」を、2025年4月より量産製造することが決定しています。主な仕様は、下記の通りです。

3Dプリンタサイズ(全幅/奥行/高さ)展開時:3980×3590×2650mm 
折りたたみ時:4300mm×1220mm×1310mm
造形サイズ(全幅/奥行/高さ)3000x2500x1900mm
3Dプリンタ重量560kg
3Dプリンタ据付・解体時間5分(展開時間・折り畳み時間共に)
電源三相 200V 30A / 単相 100V 15A
可搬性キャスター移動可能なため柔軟に現場対応が可能

蓄積してきた多種多様な関連データを活用し、建設用3Dプリンタ技術による建設DXを全国で共創していくことを目指します。

三菱地所設計|木質3Dプリント

出典:PR TIMES,木質3Dプリントを用いて資源を循環させる生産システム『Regenerative Wood』を構築,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000131799.html,参照日2024.9.24

三菱地所設計は、木質3Dプリントを用いた生産システム「Regenerative Wood(リジェネラティブ・ウッド)」を構築しました。製材加工時に生じる木粉を素材に用いることで廃棄物を再生可能な素材とする、資源循環の試みです。

三菱地所設計は、三菱地所グループ各社とともに、育林/伐採から製材、企画、設計、運用までをつなぐ一連の木材利用ネットワークを構築しています。この取り組みを通してネットワークを強化し、より一層の木材利用を推進する予定です。

ExtraBold|3Dプリンター製の樹脂窓枠

出典:PR TIMES,株式会社ExtraBold -セレンディクス社に協力し「3Dプリンター製の樹脂製の窓」を世界初実装,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000057483.html,参照日2024.9.24

3D付加製造機のスタートアップであるExtraBoldは、特別設計の樹脂製の窓枠を製造しました。これは3Dプリンター住宅メーカーのセレンディクスの要請で実現したもので、販売モデルに3Dプリンター製の窓を使用したのは世界初の取り組みです。

ペレット式大型樹脂3Dプリンター「EXF-12」を用いて製作し、デザインの自由度と製造コストの削減を実現しました。

まとめ

3Dプリンター技術が登場してから、様々な分野での活用が広がっています。現在は製造業での活躍が目立ちますが、今後は住宅や建築業でのさらなる広がりが期待されます。