リスキリングでDX推進|何を学ぶ?おすすめスキルや建設業での事例
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「リスキリング」についてピックアップします。政府でもリスキリングに関する補助金や取り組みが進められており、学び直しの重要性が高まっています。本記事では「リスキリングで何を学ぶ?」といった疑問から、ゼネコンでの具体事例までご紹介していきます。
リスキリングとは|定義・意味を解説
リスキリング(Re-skilling)とは「学び直し」とも言われ、新しいスキルや知識を習得することを指します。技術の進化や市場の変化に伴い求められるスキルが変わる場合や、新しい職務や役割に就くために必要なスキルを学ぶ場合に用いられます。
個人がキャリアを継続的に発展させるための重要なプロセスであり、企業にとっても、労働力のスキルギャップを埋めるための戦略的手段となります。特に最近ではAIの進展により一部の仕事が廃れる一方で、新しい仕事が生まれています。これに対応するため、従業員が新しいスキルを学ぶ必要性が高まっているのです。
リスキリングのメリット
リスキリングには、個人や企業の両方に多くのメリットがあります。まず個人のメリットとしては、下記の点が挙げられます。
- キャリアの持続性
- 雇用機会の拡大
- 自己成長の機会
新しいスキルを習得することで技術や市場の変化に対応しやすくなり、雇用の安定性が向上します。またリスキリングによって異なる職種や業界への転職が可能となり、キャリアの選択肢が広がるのもメリットです。
一方で企業や組織にとっては、下記のメリットがあります。
- スキルギャップの解消
- 社員の定着率向上
- 生産性の向上やイノベーションの促進
リスキリングによって組織内で不足しているスキルを補完し、必要な人材を効率的に育成できます。また離職率の低下や、全体的な生産性の向上にもつながります。こういったメリットから、リスキリングは重要な戦略になっているのです。
リスキリングに関する国の取り組み・補助金
国でもリスキリングの重要性を認めており、各省庁で補助金等の取り組みを行っています。
経済産業省|リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
経済産業省では、「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」を行っています。これはリスキリングと労働移動の円滑化を一体的に進める観点から、一定の補助金を交付する制度です。
また在職者が自らのキャリアについて民間の専門家に相談できる「キャリア相談対応」、それを踏まえてリスキリング講座を受講できる「リスキリング提供」、それらを踏まえた「転職支援」があり、一体的に実施する体制が整備されています。
四次公募は2024年4月10日で終了していますが、今後五次公募も実施される予定です。概要・スケジュール等は、詳細が決まり次第ホームページにて公表されます。
厚生労働省|キャリア形成・リスキリング推進事業
厚生労働省では、「キャリア形成・リスキリング推進事業」を行っています。具体的には「個人・企業や団体・学校関係者」を対象に、ジョブカードを活用して様々なキャリア形成支援やリスキリング支援を無料で行う事業です。
特に企業向けには「人材開発支援助成金」を実施しており、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部などを助成しています。人材育成のための費用負担軽減につながるため、幅広い企業での活用がおすすめです。
リスキリングで何を学ぶ?年代別おすすめスキル
ここでは、年代別のおすすめリスキリングについてご紹介します。「リスキリングで何を学ぶ?」という疑問を持たれている方は、ぜひ参考にしてみてください。
30代におすすめのリスキリング
30代はキャリアの転機を迎えることが多く、リスキリングを行う絶好のタイミングです。新しい分野に挑戦することで、将来のキャリアパスも広がります。30代におすすめのリスキリングとしては、下記の項目が挙げられます。
- デジタルスキル
- AI・機械学習
近年テクノロジーの進化により、デジタルスキルの重要性が高まっています。特にPython、JavaScript、Rubyなどのプログラミング言語を学ぶことで、IT業界やデジタル分野でのキャリアチャンスが増えます。
またAIや機械学習の分野は将来のテクノロジー産業の中核を担うと考えられるため、非常に重要です。データサイエンスやAI技術を学ぶことで、テクノロジー分野での高い競争力が得られます。
40代におすすめのリスキリング
40代はキャリアの中盤に差し掛かり、これまでの経験を活かしながら新しい分野での挑戦や専門性の深化を図るタイミングです。リスキリングによって今後のキャリアの安定や成長を目指すためには、以下の分野でのリスキリングがおすすめです。
- デジタルスキルの深化
- リーダーシップとソフトスキルの向上
40代では、これまでのキャリアで得た業務経験をデジタル技術で強化することが重要です。デジタル化によって業務がより効率的になり、革新的なアプローチの導入も可能になります。
そして40代は管理職やリーダーシップの役割を担う年代に入るため、経営やマネジメントに関するスキルも求められます。プロジェクト管理スキルは多くの分野で必要とされ、キャリアの幅を広げます。特にPMP(Project Management Professional)は国際的に認知されたプロジェクトマネジメント資格で、キャリアアップに有利です。
50代におすすめのリスキリング
50代は、キャリアの後半に差し掛かり、定年や再雇用を見据えてスキルを強化する重要な時期です。再雇用やセカンドキャリアを視野に入れたリスキリングを行うことで、キャリアの選択肢が広がり長期的な雇用確保につなげられます。
- デジタルスキルの習得
- コンサルティング・アドバイザリースキル
現代の仕事環境では、デジタル技術が必要不可欠です。50代でも基本的なデジタルスキルを習得しておくことで、再雇用や新しい職場環境での適応力が高まります。特にZoomなどのビデオ会議ツールやSlackなどのチャットツールの使用に慣れておくことで、リモート環境でもスムーズに業務を行えます。
そして50代になると、これまでの豊富な職務経験を基に、コンサルタントやアドバイザーとしての役割が求められることが多くなります。培った知識やスキルを生かしてアドバイスや指導を行うコンサルタントの仕事は、再雇用後でも比較的自由度が高く、継続的な仕事が可能です。「中小企業診断士」といった経営やビジネスアドバイザーとしての資格を取得することで、活躍する道も広がります。
建設業のリスキリング・研修事例
ここでは、建設業やゼネコンが実際に行っているリスキリングの事例についてご紹介します。最近ではDX人材の必要性が高まっていることから、各企業で独自の研修を行う事例が増えているのです。
大林組|VR技能者教育
大林組では、VR技術を活用した玉掛け作業のトレーニングコンテンツを用いて技能者の教育を行っています。主な特長は、下記のとおりです。
- 建設業界初のマルチプレイ(メタバース)を活用した玉掛け共同作業を実現
- 5人同時に、クレーンオペレーターを含めた異なる役割の体験が可能
- 決まったシナリオではなく、物理シミュレーションを駆使した自由な玉掛け作業により、実際に近い体験が可能
- すべての行動を保存し、行動履歴を再現する、振り返り確認が可能
この訓練をきっかけにリスキリングを推進することで、建設産業の担い手不足の解決につなげていく予定です。
清水建設|シミズ・デジタル・アカデミー
清水建設では、2024年4月から「シミズ・デジタル・アカデミー」を開講しています。これは従業員のデジタルリテラシーの底上げと、DXコア人財の育成を柱とするデジタル人財育成プログラムです。
新入社員を対象にした試行を始めており、2024年度は希望者27名がDXに関する1年間の研修プログラムに取り組んでいます。またデジタル教育の一環として、デジタルを活用した施工管理を学ぶ新たな研修ゾーン「NOVARE DLZ(Digital Learning Zone)」も開設されています。
鹿島建設|デジタル人材育成
鹿島建設では、社員のレベルに合わせた様々なデジタル人材育成メニューの構築を進めています。メニューは「基礎(知る)」「初級(使う)」「上級(使いこなす)」「高度(リードする)」の4つに分類され、基本的なデジタル技術・活用法から専門的な課題解決のリードまで体系的に学べるのが特徴です。
まとめ
最近ではDX化やAIの進化により、リスキリングの重要性が高まっています。各種補助金が活用できる場合も多いため、ぜひ実施してみてはいかがでしょうか?