生産設備等の「音響診断AI化支援コンサルティング」協業開始|日清紡マイクロデバイスら

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2022年2月15日
損害保険ジャパン株式会社
SOMPOリスクマネジメント株式会社
日清紡マイクロデバイス株式会社
株式会社アニモ

生産設備等の「音響診断AI化支援コンサルティング」に関する
日清紡マイクロデバイスとの協業開始

損害保険ジャパン株式会社(代表取締役社長:西澤 敬二、以下「損保ジャパン」)とSOMPOリスクマネジメント株式会社(代表取締役社長:桜井 淳一、以下「SOMPOリスク」)は、日清紡ホールディングス株式会社(代表取締役社長:村上 雅洋)傘下の日清紡マイクロデバイス株式会社(代表取締役社長:田路 悟、以下「日清紡マイクロデバイス」)と、最先端の音響センサを活用した「音響診断AI化支援コンサルティング」の利便性向上とAI導入企業の更なる安心・安全の提供を目指す協業を2022年2月から開始します。

1.背景・目的

企業のプラントや工場では、機械設備の状態点検に熟練技能者を確保し、視覚による目視確認とともに、聴覚による異音確認が行われていますが、聴覚点検では、収録や分析に習熟を要するため、熟練技能者でしか判断ができず、異音の見逃しによる設備機器の故障や品質異常は操業中断やリコール・PL事故など事業活動に大きな影響を及ぼします。また、聴覚点検を実施する熟練技能者のすぐれた感覚や経験の可視化・数値化が点検技術伝承のための課題となっています。
SOMPOリスクでは、このような課題への対応を支援するために生産ラインの設備から完成検査品の異常検知まで、プラントや工場内の「現場の耳のDX化」支援を幅広く行っている株式会社アニモ(代表取締役会長兼社長:服部 一郎、以下「アニモ」)と2021年4月から「音響診断AI化支援コンサルティング※1」を提供しています。
今回、日清紡マイクロデバイスが開発した最先端の音響センサを本コンサルティングに活用することで、今まで振動センサや非接触(対象機器から少し離れた位置での収録)による音響センサでの稼働監視が難しかった分野への活用用途が拡がり、利便性向上や分析結果の精緻化が図れると判断し、新たな協業を開始することにしました。

※1 音響診断AI化支援コンサルティング
  ニュースリリース:https://image.sompo-rc.co.jp/infos/20210412_2.pdf
  サービス案内:https://www.sompo-rc.co.jp/service-cate1s/view/6#cate2_98

2.協業の概要

日清紡マイクロデバイスでは、2021年2月に聴診器的に機器の音響を収録することが可能となる新型音響センサ「アコースティックセンサ※2」を開発しました。
このアコースティックセンサは、一般的なマイクロフォンと比較して、幅広い帯域の周波音を収録することが可能であるとともに、設置方法の工夫により、対象機器に直接設置して音響収録することで周辺の雑音を除去することが可能という特徴を有しています。
今回の協業では、アコースティックセンサの特徴を活かすため、機器故障の早期発見を目指す音響診断AI化コンサルティングと組み合わせたサービス展開を行うこととなりました。

※2 アコースティックセンサ
https://www.nisshinbo-microdevices.co.jp/ja/about/info/njr/2021/semi_20210205-acoustic-sensor.html

<協業イメージ図>

3.協業の効果

アコースティックセンサとの組み合わせにより、今まで音響収録が難しかった分野、例えば風力発電設備のナセル※3内の音響監視などの遠隔監視支援、広帯域を生かした低価格での故障予兆サービスなど、新たな活用用途が拡がることで、本サービスの更なる利便性向上、分析レポートの精緻化を図ることが期待できます。

※3 風力発電設備のタワー上部に取り付けられた機械室を指し、増速機や発電機等を収納している。

4.日清紡マイクロデバイスのアコースティックセンサ

(1)アコースティックセンサの概要
日清紡マイクロデバイスの保有するMEMSセンサ技術を応用し、可聴音から超音波まで検出可能なアコースティックセンサにより広帯域の音響信号を取得し、解析します。

(2)アコースティックセンサの性能比較試験
今回の協業を踏まえて、アニモにおいて振動センサや非接触で収音する音響センサ(指向性マイクロフォン)とアコースティックセンサの性能比較試験を実施した結果、他のセンサに比べてアコースティックセンサは、「広帯域での周波音の収録」や「周辺雑音の除去」の性能が高いことを確認しました(詳細は別紙参照)。
これらの性能特性を活かすことで、以下のような異常音の検知が可能となり、予防保全や故障予兆等への活用用途が拡がるものと考えられます。

 ①振動センサでは検知が難しかった“超音波帯域の異常音検知
 (例)
 ・軸受ベアリングに生じる初期劣化状態(ベアリング等のはく離等)の検知
 ・軸受ベアリングのショックパルス※4の検知
 ・ファン・ポンプの回転ブレードの異常検知
 ・ポンプのキャビテーション※5の検知 など

※4 ボールがベアリングのレース面に接触しながら通過するときに発生する衝撃波。潤滑不足によって油膜が薄くなったり、傷が発生していたりすると衝撃波が発生する。
※5 部分的な圧力差により飽和蒸気が発生・破裂する状態。羽根車等の損傷につながる。

 ②非接触で収音する音響センサでは検知が難しかった“騒音環境下における異常音の検知”
 (例)
 ・周囲の機器による稼働音が大きい場所に設置された設備機器の異常検知
 (風力発電設備のナセル内の機器や複数機器が並列設置された環境下での対象機器など)

5.今後の展開

損保ジャパンとSOMPOリスクは、日清紡マイクロデバイスおよびアニモと連携して「音響診断AI化コンサルティング」の導入企業を拡大しつつ、AI導入時の検討課題となるリスクを保険転嫁することにより、社会・産業インフラにおけるDX推進と社会実装に向けて取り組んでいきます。

【参考①】日清紡マイクロデバイス株式会社(URL:https://www.nisshinbo-microdevices.co.jp/)
2022年1月に日清紡グループ傘下の新日本無線株式会社とリコー電子デバイス株式会社が統合し、アナログソリューションプロバイダーとして日清紡マイクロデバイスが誕生しました。
アコースティックセンサを開発した前身の新日本無線は1959年に創業し、アナログ技術を強みとした電子デバイスとマイクロ波製品を通じてアナログソリューションを提供し、つながる社会の発展に貢献してきました。

本社所在地:〒103-8456東京都中央区日本橋横山町3-10
代表   :代表取締役社長 田路 悟
事業内容 :車載機器・産業機器・民生機器に向けたオペアンプ、電源ICを始めとしたアナログ技術をコアとし、エナジーマネジメントとシグナルプロセッシングを中心としたアナログ
ソリューションを提供するアナログ半導体デバイスの製造販売、およびレーダや衛星通信
分野に貢献しているマイクロ波製品の製造販売。

【参考②】株式会社アニモ(URL: https://www.animo.co.jp
富士通株式会社のベンチャー第一号企業として1994年8月に創業しました。社名のanimoはポルトガル語で「元気」という意味。創業以来「声」「音」にこだわり、自社開発の最先端音声技術を駆使し、お客様のニーズに最適なソフトウェア、サービスおよびソリューションを提供しています。

本社所在地:〒231-0015 神奈川県横浜市中区尾上町2-27 大洋建設関内ビル 4F
代表   :代表取締役会長兼社長 服部 一郎
事業内容 :◆社会・産業インフラ分野において、DX化を支援する音声・音響プロダクトの開発/販売
◆コンタクトセンターにおける、業務効率化・自動化を支援する音声プロダクトの開発/販売
◆音声・音響テクノロジーを核にしたクラウドサービスの開発/販売
◆医療福祉・ヘルスケア分野における、音声・音響サービスの開発/販売

以上

【別紙】アコースティックセンサの性能試験結果

1.対象機器:排気装置のモーター
2.測定環境:プーリーベルトによる騒音下における測定
3.比較センサ:
  (1)アコースティックセンサ(AS):サンプリング周波数 250kHz
  (2)振動(加速度)センサ:サンプリング周波数 48kHz
  (3)音響センサ:サンプリング周波数 96kHz

4.測定状況:写真参照

5.測定結果
(1)スペクトル比較(周波数:0~125kHz)
 ・振動および音響センサでは検知できない超音波帯域のピーク音(波形)をアコースティックセンサだけが捉えており、測定可能な周波数帯域が広いことを確認。

(2)スペクトル比較(周波数:0~20kHz)
 ・振動センサ(赤)とアコースティックセンサ(青)の周波数特性(波形)は類似しており、広帯域のアコースティックセンサは振動センサの上位互換センサとして利用可能。

(3)スペクトログラム比較(0~10KHz)
 ・アコースティックセンサと振動センサは、同じ定常音(下グラフの☆印周波数付近:約1.2kHz, 2.5kHz, 5kHz, 6kHz)を収録していることを確認。
 ・6kHz超では、アコーススティックセンサが他に比べて明瞭に収録していることを確認。

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