鳥取県 米子から建設業のBIM活用モデルケースを発信

BIM事例

応用技術株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:船橋俊郎、以下「応用技術」)は、美保テクノス株式会社(本社:鳥取県米子市、代表取締役社長:野津健市、以下「美保テクノス」)と、2022年2月に締結したBIM(※1)活用で協業する旨のMOU(基本合意書)に関する中間発表会を行いました。

中間発表会では、米子市市長 伊木隆司氏にもご出席いただき、両社における2023年3月までの「検証フェーズ」における成果報告を行いました。

中間発表会にて (左から美保テクノス 野津社長、米子市 伊木市長、応用技術 船橋社長)中間発表会にて (左から美保テクノス 野津社長、米子市 伊木市長、応用技術 船橋社長)

MOU締結の背景(背景・目的など)

昨今、建設業界では生産性向上のためにBIMの導入・運用が進んでいます。業界全体での導入・運用は着実に進んでいる一方で、地域建設業者のBIM活用は導入コスト等がハードルになり遅れが出始めています。

そのような中、美保テクノスは、FULL-BIM(※2)という概念を提唱し、BIMの普及を地方から推進しています。

2022年2月に締結したMOUは、シンプルで導入しやすいBIMの最適な活用方法(ルール、ツール、プロセス、ナレッジ)をパッケージ化し、全ての建設業に携わる方々へと展開していくことを目的としました。

BIMデータの活用や各種ツール開発において知見を持つ応用技術と、設計・施工一貫プロジェクトを通じて多くの建設ノウハウを持つ美保テクノスは、本MOUで低コストかつ現場に適応できるBIMの活用方法について、実現場での試行と効果の検証を実施することに合意しました。

2022年2月〜2023年3月までを「検証フェーズ」として、対象物件の選定と実行計画を策定し、具体的な検証を行ってきました。

MOU(基本合意書)イメージ図MOU(基本合意書)イメージ図

※1:BIM(ビム)とは、Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)の略称。BIMは、計画、調査、設計段階から 3D モデルを導入し、その後の施工、維持管理においても 3D モデルを連携させることで、事業全体にわたり関係者間の情報共有を容易にするだけでなく、一連の建設生産・管理システムの効率化・高度化を図ることを目的としたワークフローを指す。

(出典/ オートデスクBIM design 「BIMとは」より https://bim-design.com/about/ )

※2:FULL-BIMとは、2018年から美保テクノスが取り組んだBIMを幹としたPDCAサイクルの循環を示す造語で、建物のライフサイクル全体でのBIM活用を目指すもの。正確にモデリングされたBIMモデルの情報を後工程へと展開、循環させることで、設計施工の品質向上に加え、生産性向上を目的としたBIM運用の仕組み。

今回の中間発表内容

1.  美保テクノス 発表内容要約


本年は主に「検証フェーズ」として、「誰もが活用できるBIM」を開発するにあたり、二つのプロジェクト 「鳥取県西部総合事務所新棟・米子市役所糀町庁舎整備等事業」及び「美保テクノス株式会社本社屋新築工事」にて、設計・施工・維持管理の全工程をBIMで運用する「Full-BIM」に挑戦しました。

美保テクノス社新社屋イメージ美保テクノス社新社屋イメージ

BIM活用は、お客様の要求事項の可視化、建物の空調能力、消費電力の最適化、クラウド活用による情報共有の最適化等、工事に関わるステークホルダー全員にメリットがあることを実感しています。 

しかしながら、施工者側にBIMをうまく活用するための下地が無く、「Full-BIM」の運用にはまだまだ多くの課題があることを、改めて検証することが出来ました。 

それらの課題を解決するために美保テクノスの取り組みとして2023年2月にBIMの国際規格「ISO-19650(※3)」の認証を取得し、BIM運用プロセスの標準化を図っています。

また以下資料にある3つのBIM運用における課題(【①施工時の設計仕様の積み残しが発生してしまう課題】、【②図面中心の従来のワークフローが存在するという課題】、【③ツールが多く利用が浸透しないという課題】)にフォーカスし 、今後も応用技術とプロジェクトでの検証を重ねるとともに、本課題の解決に向けたツールのパッケージ化に向け、MOUを推進していきます。

今後も、人口減少による担い手不足、気候変動を始めとした環境問題等を含む社会問題解決のため、「設計から維持管理までの全工程を通じBIMを活用したプロセスの実現」を通し、「誰もが活用できるBIM」を提供できるように努めていきます。

※3:ISO-19650とは、BIMを基盤とした設計から建設、保守、廃棄まで、建設資産のライフサイクル全体にわたる情報マネジメントを行うための業務プロセスを示した国際規格 (出典/BSIグループジャパン社 -ビルディングインフォメーションモデリング-ISO 19650: https://www.bsigroup.com/ja-JP/Building-Information-Modelling-BIM-ISO19650/ )

2. 応用技術 発表内容要約

ツールパッケージ化のために本年は「検証フェーズ」のサポートを行いました。一番の成果としてあげられるのは、BIM運用プロセスを最適化するためにISO-19650の認証取得におけるサポートを行ったことです。

国際規格に基づくことで、両社間で理想のBIM運用をイメージすることが出来るようになり、今回の3つのBIM運用上の課題(美保テクノス 発表内容参照)を見つけることが出来ました。

その各課題に向けて①施工時の設計仕様の積み残しが発生してしまう課題に対して、「正確なBIMモデルの作成」、②図面中心の従来のワークフローであるという課題に対して、「BIMプロセスの明確化」、③ツールが多く利用が浸透しないという課題に対して、「BIM情報のマネジメントを行う」ことで課題の解決を図っていきます。

これら3つの課題をすべて解決するためにBIM運用上で必要なタイミングに必要な情報を瞬時に取り出せるダッシュボードを含めた、BIMにおけるモデリング、プロセス、ダッシュボードに関わるすべてのシステムが連動するようなパッケージを作る必要があります。

今後のスケジュールとして、今年度内にダッシュボードのリリースを目指します。応用技術は美保テクノスと共同で開発したツールの販売およびサポートを行うことで、米子市をBIMにおける先端的な街に出来るよう、今後も支援していきたいと考えています。

今後のパッケージ開発スケジュール今後のパッケージ開発スケジュール

🔳2023年6月8日(木)に開催されたMOU中間発表会は応用技術のYouTubeチャンネル「toBIM」よりライブ配信が行われました。当日の様子はこちら https://youtube.com/live/TigarQKn1Co

美保テクノス株式会社について

1958 年に創業し、鳥取県で総合建設業を営んでおります。2023年現在は鳥取県内で売上高・従業員数ともに最大の建設会社となり、当社を含む関連企業 14社全体では売上高約210億円・従業員数約700名の企業グループとなりました。

公共工事から住宅のリフォーム、災害時の対応など、地域の暮らしを守り、地域社会とともに成長できる「地域未来牽引企業」として、これからも地域の皆様の豊かで快適な暮らしに貢献して参ります。

美保テクノス株式会社ホームページ: http://www.miho.co.jp/

応用技術株式会社について

応用技術は1984年の会社設立以来、ものづくり支援やBIM/CIM,GISを活用した「ソリューションサービス事業」と防災・環境分野を対象とした「エンジニアリングサービス事業」を両輪に、お客様の課題を価値に変えるイノベーション・カンパニーとして成長しています。

応用技術株式会社ホームページ https://www.apptec.co.jp/