メタバースでの不動産取引に注目|購入方法や価格は?

トレンドワード:メタバース不動産

メタバース不動産」についてピックアップします。徐々に広まりつつあるメタバース空間では、NFTを用いた不動産売買が注目されています。本記事では、メタバース上の土地や不動産の購入方法や、メリット・デメリットについてご紹介していきます。

メタバースとは

メタバースとはインターネットを通し、利用者同士が交流できる仮想空間のことを指します。語源の由来としては、「超越」「高次元」という意味の「メタ(meta)」と、「宇宙・ユニバース(universe)」から取った造語です。

仮想空間はCGで制作され、利用者はヘッドセットやゴーグルを装着してメタバースの世界に入ります。インターネットの世界にいながらまるで現実のように感じられることから、現実では難しい体験ができたり、アバターを介してコミュニケーションが取れたりと応用の場面は広がっています。

「メタバース」について詳しくは、下記記事をご覧ください。

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メタバースでの不動産取引とは

メタバースは仮想空間ではありますが、実際の不動産と同じように「家や土地を購入できる」プラットフォームも登場しています。ここでは、メタバースでの不動産取引について整理しておきましょう。

①不動産取引の相談をメタバース上で行う

https://www.proud-web.jp/mansion/z101811/metaverse/

こちらは「現実にある不動産」を取引する際に、メタバース空間にモデルルームを作る方法です。わざわざ現地に行かなくても物件の様子が見られるので、遠方に住む方でも気軽に訪れられるメリットがあります。

たとえば野村不動産では、「プラウドオンラインサロン」を開設してメタバースで接客を行っています。平日10時~17時にスタッフが常駐しており、来場者は「アバター」になって楽しく気軽に見学や相談ができます。物件価格等について相談したい場合には、「プライベートルーム」に切り替えて個別に対応することも可能です。

②「メタバース空間上の建物」をNFTで取引する

一方でこちらは現実世界にある建物ではなく「メタバース空間にある建物」の取引となります。メタバースはまだまだ成長途中の空間です。しかし「メタバース空間で買い物をする」、「メタバースのオフィスで仕事をする」といった時間は増えており、不動産所有のニーズも高まっています。

メタバースは現実世界と違い、いくらでも新しい空間が作成できるという特徴があります。「希少性」を確立するため、メタバース不動産では「代替不可能なデジタルデータ」であるNFTの仕組みが使われています。

「NFT」について詳しくは、下記記事をご覧ください。

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メタバースの不動産を購入するには

ここでは、実際にメタバース空間上の不動産を購入する方法や仕組みについてご紹介していきます。

メタバース上の土地「LAND」とは

現実世界でも不動産を建設するにはまず土地が必要ですが、メタバース上にも「LAND」という土地があります。LANDは主に、「The Sandbox」や「Decentraland(ディセントラランド)」といったゲームプラットフォームで共通して使われています。

LANDは、メタバース空間での「最小土地区画単位」の名称でもあります。大きさについてはプラットフォームごとに違いがあり、The Sandboxでは「1LAND:96×96メートル」となります。LANDの価値はNFTによって定義されており、複製ができないことから不動産として認められているのです。

The SandboxではLANDの上限を「166,464個」と定めており、数に限りがあることから希少性を生み出しています。

LANDの購入方法

上述のように、LANDの実態は「NFT」というブロックチェーンです。LANDを購入するには、大きく2つの方法があります。

  • ゲームプラットフォームの公式サイトで購入する
  • NFTマーケットプレイスで購入する

「The Sandbox」では、約16万LANDの土地を段階的に販売しています。ただし大抵販売開始と同時に売り切れてしまうため、購入したい区画を選んでいる余裕が無いケースが多いです。

次にNFTマーケットプレイスで購入する方法は、好きなタイミングで欲しい土地が購入できるのがメリットです。価格は公式販売よりも高めですが、これは「人気のある土地は高価」といったように現実世界と同じような市場原理が働くことによります。

メタバース不動産の価格目安|2022年以降は不動産バブル?

https://coincheck.com/nft/the_sandbox/items?limit=60&offset=0&sortType=latest

NFTマーケットプレイスの一つである「Coincheck」では、LANDが「2,900 SAND」で販売されました(2022年11月)。

https://coincheck.com/ja/exchange/charts/coincheck/sand_jpy/3600

SANDはThe Sandbox内で流通している暗号資産のことで、ゲーム内での通貨として用いられます。2023年2月時点でのレートは「97SAND / JPY円」なので、上述した2,900SAND(1LANDあたりの価格)は「281,500円」です。

https://corporate.coincheck.com/news/wa8PqIv1

ちなみに2023年2月には「LAND販売価格見直しキャンペーン」が実施され、2,900SANDが1,700SANDに値下げされていました。

メタバースで家を建てる

LANDを購入したら、好きなように不動産を「建築」できます。The Sandboxには「VoxEdit(ボックスエディット)」というツールがあり、上図のように立体的なオブジェクトが生成可能なのです。

他にもキャラクターやアイテムを自由自在に創り出せるので、単なるゲームとはいえハマってしまう人が増えています。

メタバース不動産のメリット

メタバース空間上の不動産には、下記のようなメリットがあります。

  • 経年劣化しない
  • 価値が上昇傾向にある

メタバースは仮想空間なので、現実世界の住宅のように「10年に一度の外壁塗装」、「シロアリの駆除」といった経年劣化による問題は起こりません。

また現時点ではまだ過渡期の段階ですが、今後メタバースが一般的になれば不動産の価値上昇も期待できます。

メタバース不動産のデメリット

https://wiki.denfaminicogamer.jp/doubutsu-no-mori-switch/%E5%AE%B6%E3%81%AE%E5%BB%BA%E3%81%A6%E6%96%B9

一方で、メタバース不動産にはデメリットもあります。

  • 売買できるメタバースが限られている
  • 法整備が未熟

たとえばメタバースの一種である「あつまれ どうぶつの森」では、ゲームの中でローンを組みマイホームを購入します。しかし、この家をマーケットプレイスに出品して売買することはできません。

このようにメタバース不動産として売買できる不動産の種類は限られているので、The SandboxやDecentralandといったプラットフォームでやりとりする必要があります。

またメタバースはまだまだ法整備が追いついておらず、政府はこれから検討を進めるという段階です。そのため売買取引面や資産価値など、トラブルに巻き込まれてしまう危険性も考えられます。

メタバースの法整備については、下記記事をご覧ください。

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まとめ|メタバースの不動産取引が広がるか

2022年には高級ブランドの「GUCCI」がThe SandboxにLANDを購入するなど、商用利用の面で広がりつつあります。メタバース不動産はまだまだ新しい分野ですが、現実世界の不動産と同じような価値を持ち得るのか注目です。