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建設業向けパワーアシストスーツを国交省が現場レポート|作業負担軽減へ

掲載日:2022年11月01日

トレンドワード:パワーアシストスーツ

建設現場など身体的負担の大きい現場で活用されている「パワーアシストスーツ」についてピックアップします。装着することで負荷を減らし、作業効率化も図れると注目が高まっています。本記事では装置の仕組みや補助金制度などをまとめていきます。国土交通省が発表している装置の現場検証レビューも参考にしてみましょう。

パワーアシストスーツとは

パワーアシストスーツ(PAS)とは、身体に装着して負担を軽減させ生産性を向上させる装置のことを指します。体力的に負荷のかかりやすい介護、農業、物流、建設業などの分野で、幅広く活用されているのが特徴です。人手不足が問題となっている中、業務効率化にも役立ちます。

パワーアシストスーツの仕組み

パワーアシストスーツの仕組みは、モーターや人工筋肉など製品によって様々です。

「アクティブ型」は、電動モーターを使うタイプです。センサーで動きを感知し、人の動きに合わせてモーターが稼働することにより「押す」「引き上げる」といった動力をアシストします。腰に負担のかかりやすい前傾姿勢や、荷物の上げ下ろしといった作業で活用されることが多いです。

一方で「パッシブ型」はモーターを使わず、人工筋肉やばね、ゴムチューブ等を使うタイプとなります。素材の伸縮力や空気圧の収縮により「引っ張り力」を生み出し、重量物の持ち上げ等をサポートする仕組みです。バッテリー不要で軽量のため、安全性が高いのが特徴です。

パワーアシストスーツの価格は?

パワーアシストスーツの価格は、電動モーターを使う「アクティブ型」で70~120万円程度、モーター不要の「パッシブ型」で3~12万円程度となっています。

こちらは一般的な販売価格の目安ですが、メーカーによってはレンタルやリース対応している場合もあります。アクティブ型は高額になりがちですが、レンタルすれば必要な時だけ安く利用することも可能です。

パワーアシストスーツの補助金制度は?

パワーアシストスーツに活用できる補助金制度としては、厚生労働省による「エイジフレンドリー補助金」が挙げられます。令和2年度からスタートした制度で、補助金額は以下の通りです(令和4年度)。

  • 補助対象:⾼年齢労働者のための職場環境改善に要した経費(物品の購⼊・⼯事の施⼯等)
  • 補助率 :1/2
  • 上限額 :100万円(消費税は除く)

対象となる業種は、小売業、医療・福祉、卸売業、建設業などとなっています。建設業の場合は「労働者数300人以下、資本金3億円以下」の事業者であることが条件です。

ただし予算に達した場合は申請期間中であっても締切となるため、基本的に「早い者勝ち」の仕組みです。補助金申請の際は、できるだけ早めに行うのがよいでしょう。

パワーアシストスーツの問題点・デメリット

パワーアシストスーツの問題点やデメリットは、以下が挙げられます。

  • 導入費用が高い
  • 装着に時間や手間が掛かってしまう
  • 慣れるまで違和感がある
  • 事故など安全面の課題

パワーアシストスーツには安い機種もありますが、まだまだ数十万円掛かるものも多いです。また装着時にはベルトを締める、背負うなどの作業が必要となり、手間が掛かる点が現場で敬遠されがちとなっています。さらに慣れないうちは「パワーアシストスーツの重みでバランスを崩し転倒する」といった事故も発生しており、安全面での課題も残っています。

国交省が実証済!工程別のおすすめパワーアシストスーツは?

国土交通省では、i-Constructionが目指す生産性向上、働き方改革、持続可能な建設業の実現に向けてパワーアシストスーツ(PAS)の円滑な導入を推進しています。その取り組みの一環として「パワーアシストスーツの建設施工での有効性」について23機種の現場検証が行われました。

ここでは「パワーアシストスーツ現場検証事例集」をもとに、作業工程別におすすめの機種をいくつかご紹介していきます。実際に作業した際の感想や注意点もあり、参考にしやすくなっています。建設現場での作業軽減対策として、活用してみましょう。全23機種についての詳しい情報は、国土交通省ページをご覧ください。

①かご工(詰石)|パワードウェアATOUN MODEL Y(ネクスト)

鋼製のじゃ篭・ふとん篭を組み立て後、重機等により詰石を流し込み、篭内の中段から上段にかけて石の並べ替えや石詰めにより篭を充填する作業です。

「パワードウェアATOUN MODEL Y」は、荷物の上げ下げなどの作業時に負担のかかりやすい腰を重点的にサポートします。モーター搭載のアクティブ型で、販売価格は767,800円です。

国交省事務局評価

平地や緩斜面での適用で効果が期待される。ただし背面パーツにより重心が高くなり、腰補助の反力を脚部で受けることで、斜面地で動作ズレが生じた場合の転倒や危険回避に注意が必要。

②鉄筋組立|ワーキングパワースーツX(アトリエケー)

鉄筋を所定の場所に運び、並べて結束する作業です。20~50kgの鉄筋を持ち、足元が安定しない鉄筋の上を歩いて運搬することも多くなります。高さ1mほどの鉄筋が組まれた内部に入り、しゃがみこんだまま移動しながら結束する作業を数十分連続で行うこともあります。

「ワーキングパワースーツX」は、ばねを用いたパッシブ型のパワーアシストスーツです。ダブルエックス構造によりアシスト力を備え、身体負担軽減を実現しています。販売価格は44,000円と、比較的安いのが特徴です。また750gと軽量で洗濯も可能のため、日常使いにぴったりでしょう。

国交省事務局評価

現在の機能や構造では、作業者の安全確保のために平地や緩斜面での適用で効果が期待される。補助力が一定ある分、連続した屈み時にはパッシブ特性として常時背中側に張力が働き、斜面での姿勢維持がしにくくなる可能性がある。

③ブロック敷設(縁石)|ワーキングアシストAS(ダイヤ工業)

道路整備工事として行う、コンクリートブロック(縁石)据付工事です。ブロックを持ち上げて据付場所に置き、中腰を維持しながら位置合わせを行います。持ち上げ下げと位置合わせは立位と中腰の繰り返しとなり、腰に負担がかかります。

「ワーキングアシストAS」はパッシブ型で、たすき掛けした肩腕ゴムベルトを引っ張ることで腕を持ち上げるアシストが機能します。腕を伸ばすとベルトが伸び、ゴムの反発力で作業負担を軽減する仕組みです。またコルセット機能で本体背部が中心に寄り、腰を固定することで姿勢をサポートします。

国交省事務局評価

作業者の安全確保のため、平地での適用で効果が期待される。腕部での引き寄せ張力が常時働き、転倒時の保護動作に注意が必要である。

パワーアシストスーツで建設現場の負担軽減へ

パワーアシストスーツは介護や農業だけでなく、建設現場での活用も広まりつつあります。体力的負担の大きい現場では、大幅な作業の軽減が期待されます。安全面での課題もありますが、補助金制度も活用して導入を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

小日向

二級建築士/インテリアコーディネーター(IC)/福祉住環境コーディネーター。 建築学科卒業後、インテリアメーカーにてICの業務を経験。 現在は建築・住宅系ライターとしてコラムを担当。ハウスメーカー、リフォーム、住宅設備会社での執筆多数。

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