【メルマガ限定配信】スーゼネを追え!大林組編
スーゼネを追え!では、スーパーゼネコンのDX関連ニュースを各社毎にピックアップしてお届けします。
今回追いかけるスーパーゼネコンは… 大林組 さんです!
【BIM / DX関連pickupニュース】
- 2024.2.7 トンネル覆工裏込め注入工法「スペースパック工法®」で使用するカーボンネガティブタイプの可塑性注入材を開発
- 2024.1.29 新型「耐火被覆吹付けロボット」を開発、建設現場へ適用拡大
- 2023.12.19 大規模製材工場でオンサイトPPAによる再エネ電力供給事業に着手
- 2023.12.7 Starlinkと自動充電ポート付きドローンを活用し、現場監理業務を80%削減
- 2023.11.17 国内初、3Dプリンターで製作したプレキャスト部材を大型土木構造物で適用
トンネル覆工裏込め注入工法「スペースパック工法®」で使用するカーボンネガティブタイプの可塑性注入材を開発
編集部コメント
大林組は、トンネルや護岸の補修に使う「スペースパック工法」で、カーボンネガティブを実現する新しい注入材を開発しました。この技術開発は、老朽化したインフラの安全な維持と、2050年カーボンニュートラル目標達成に向けたCO2排出量削減の必要性に応えるためです。
新開発の注入材は、CO2を吸収し固定化する炭酸カルシウムを含むことで、従来品と比べて製造時のCO2排出量を大幅に削減します。この注入材は、トンネルだけでなく、護岸や高架橋の基礎など、多岐にわたるインフラ補修にも適用可能です。
大林組は、この環境に優しい技術を用いて、インフラの安全性向上と脱炭素社会への貢献を目指します。この取り組みは、建設業界におけるサステナブルな技術開発の一例として、今後のインフラ整備に大きな影響を与えることが期待されます。
新型「耐火被覆吹付けロボット」を開発、建設現場へ適用拡大
編集部コメント
大林組は、建設現場の効率化と技能工不足問題に対応するため、耐火被覆材を吹き付ける新型ロボット(2号機)を開発しました。このロボットは、鉄骨の火災から建物を守る耐火被覆処理を自動で行います。耐火被覆吹付け作業は、従来、作業員が高温や粉塵の中で行う過酷な作業でしたが、ロボットの導入により、これらの作業環境が大幅に改善されます。初号機の導入以降、施工品質の安定や作業の省人化が進みましたが、小型化・軽量化や作業効率のさらなる向上が求められていました。
新型機では、自律移動機能を強化し、測量で使用される後方交会法を採用することで、より精確な位置決めが可能になりました。また、小型化・軽量化を実現し、現場での操作性が向上しました。2024年4月には、吹付け対象の鉄骨梁との相対誤差を把握する機能も追加される予定です。大林組は、この技術を通じて建設産業の生産性向上と技能工の省人化に貢献し、持続可能な建設産業の実現を目指しています。
大規模製材工場でオンサイトPPAによる再エネ電力供給事業に着手
編集部コメント
大林組のグループ企業、大林クリーンエナジーとサイプレス・スナダヤは、再生可能エネルギーの供給を目的とした「オンサイトPPA(第三者所有モデル)」契約を結びました。この取り組みでは、大林クリーンエナジーが愛媛県西条市のサイプレス・スナダヤ工場の屋根上に2MWの太陽光発電設備を設置・運営し、工場に直接「生グリーン電力」を供給します。2024年12月に電力供給を開始し、工場の年間電力消費量の約15%を賄い、温室効果ガス排出を年間約970トン削減する効果が期待されます。
このプロジェクトは、初期費用なしで再生可能エネルギーを利用できるモデルを採用しており、「Obayashi Sustainability Vision 2050」に基づく脱炭素社会への貢献を象徴しています。大林グループはこの経験を活かし、顧客の脱炭素化ニーズに応えるソリューションを提案し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
Starlinkと自動充電ポート付きドローンを活用し、現場監理業務を80%削減
編集部コメント
大林組とKDDIスマートドローンは、Starlinkと自動充電ポート付きドローンを用いた新システムを開発し、建設現場の監理業務を大幅に削減する実証実験を実施しました。この技術は、ドローンが自律飛行し、建設現場やインフラの巡視、点検、計測、異常検知を自動で行うことが可能です。
その結果、現場監理業務の80%削減が可能と確認され、国土交通省から最高評価を受けました。これは、人口減少に伴う労働力不足への対策として、規制緩和を背景に開発されました。今後、全国の大規模建設現場での導入を目指し、社会インフラの効率化とサステナブルな社会の実現に貢献することを目的としています。
国内初、3Dプリンターで製作したプレキャスト部材を大型土木構造物で適用
編集部コメント
大林組は、神奈川県中郡大磯町で実施されている西湘海岸岩盤型潜水突堤整備工事において、国内の大型構造物で初めて3Dプリンター製のプレキャスト(PCa)部材を使用しました。この新技術は、台風などで砂浜侵食が進む西湘海岸の保全を目的としています。潜水突堤は、海岸の保護と砂浜の安定維持に貢献する大型構造で、その先端部には3Dプリンターで製造したPCaブロックが利用されています。
このPCaブロックは、従来工法に比べて重量を約50%削減し、施工の安全性と品質を大幅に向上させました。また、3Dプリンターによる製造と大林組独自の技術「スリムクリート」を内部に充填する方法により、搬入、荷下ろし、組み立て作業の簡素化が可能となり、工期短縮と省人化を実現します。
この取り組みにより、施工の効率化だけでなく、隣接ブロックとの衝突リスク低減や、悪天候時の作業中断を避けるなどのメリットも生まれました。大林組は、この3Dプリンター技術とスリムクリートの応用を通じて、今後も安全かつ持続可能なインフラ構築に貢献していきます。
まとめ
大林組は、環境と建設業の未来を見据えた革新的な技術を開発しました。カーボンネガティブを実現する新注入材の開発は、トンネルや護岸補修に使用され、「スペースパック工法®」でCO2排出量を削減します。また、耐火被覆吹付けロボットの新型機開発により、建設現場の作業効率化と技能工不足問題に対応し、作業環境を改善しました。
オンサイトPPAによる再エネ電力供給事業では、愛媛県の製材工場で太陽光発電設備を運営し、温室効果ガスの削減に貢献。Starlinkと自動充電ポート付きドローンを活用するプロジェクトでは、建設現場の監理業務を80%削減しました。さらに、3Dプリンターで製造したプレキャスト部材を潜水突堤整備工事に適用し、施工の安全性と効率を向上させています。これらの取り組みは、サステナブルな社会実現に向けた大林組の貢献を示しています。