ZEBとは|BIM用語集
ZEBとは、地球温暖化対策として注目されている、建物の消費エネルギーの実質ゼロを目指す考え方です。今回は、ZEBについて、重要性とメリット、具体的な技術について解説していきます。
目次
ZEBとは?定義について解説
ZEB(ゼブ)とは、Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称で、快適な室内環境を実現しつつ、建物のエネルギー消費量を実質的にゼロにする考えのことです。
実質的にというのは、建物では人々が活動していたり、建物の役割があるためエネルギーの消費は避けられません。そのため、エネルギー消費量を完全にゼロにすることはできませんが、省エネによって使うエネルギーを減らし、創エネによってエネルギーをつくることでエネルギー消費量を正味ゼロにします。
ZEBの3つの種類とそれぞれの定義について
ZEBの3つの種類は下記の通りです。
①ZEB Ready
②Nearly ZEB
③ZEB
順番に解説します。
①ZEB Ready
1段階目は、再生可能エネルギーを除き、基準のエネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量を削減した建物のことです。ZEBの準備段階にあたります。
②Nearly ZEB
2段階目は、ZEB Readyの要件を満たしつつ、基準一次エネルギー消費量から75%以上100%未満の一次エネルギー消費量を削減した建物のことをいいます。
③ZEB
ZEB Readyの要件を満たしつつ、再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から消費量から100%以上の一次エネルギー消費量を削減した建物のことをいいます。
ZEBはなぜ重要なのか?
ではZEBの重要性について解説していきます。
ZEBは地球温暖化対策として重要視されています。日本では、地球温暖化対策として、2050年までにカーボンニュートラル(脱炭素社会)を目指すと宣言しています。カーボンニュートラルとは、地球温暖化の原因でもある温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする考え方のことです。
地球温暖化は、環境問題の中でも非常に大きな問題でZEBはその対策に有効とされています。地球温暖化対策計画の閣議決定では、2030年度までに新築建築物の平均でZEB Ready相当を目指すこととしています。
ZEBで得られるメリット
次にZEBで得られるメリットについて解説していきます。
光熱費を削減できる
まずは光熱費を削減することができます。例に出すと、延べ面積10,000㎡程の物件で50%省エネルギーのZEB Readyをした場合、創エネルギーの設備なしで年間40~50%の光熱費を削減可能です。
またZEBでは、創エネルギーの設備も設置する計画なのでより大きな光熱費を削減することもできます。
建物の不動産また、価値が向上する
ZEBが進むことで建物の価値自体も向上します。環境問題への取り組みは世界的にも重要なアクションです。最近では、企業はビジネスだけをすればいいのではなく、SDGsやESG投資といった地球をより住みやすくするための配慮が企業の評価を高めることにつながっています。そのため、環境に配慮した建築物を求める経営者や消費者、また投資家などが増えています。
建物利用者の生産性が向上する
ZEBを実現し、省エネや創エネ設備を設置した建物は、利用者の「業務効率性」「作業効率性」を高めることもわかっています。働き方改革の観点からも多くの企業で働きやすい環境づくりが進められています。そんな中、ZEB化して室内温度を均一に維持しやすくなった建物は建物利用者の生産性を向上させることができます。
災害時などの事業の継続性が上がる
災害時に事業が停止する主な原因として「停電」があげられます。東日本大震災の時もそのように回答している人が半数以上います。
防災を考えたときに、創エネ設備があることで非常時にある程度のエネルギーを創り出すことができ、重要な業務を停止させずに済みます。
ZEB実現のための技術
それではZEB実現のための技術にはどのようなものがあるか解説していきます。
エネルギーを節約する技術
エネルギーを節約する技術は下記の通りです。
・ダブルスキン(断熱・遮熱)
・ライトシェルフ(自然採光)
・タスクアンビエント空調(照明)
・ヒート・クールピット(集熱)
エネルギーを節約する技術では、熱を放出したり、逃がさないようにしたりなど冷暖房効率を高めるものや、光をコントロールし、照明効率を上げるものがあります。
エネルギーを創り出す技術
エネルギーを創り出す技術は下記の通りです。
・太陽光発電パネル
・地中熱ヒートポンプ(夏・冬)
エネルギーを創り出す技術では、太陽光や地中からの熱を利用し、電気や熱を生み出す技術があります。
ZEBで活用できる補助金制度
国の施策として、環境省と経産省がZEBの建設に対しての補助を行っています。補助事業では対象経費の3分の2を上限に補助が出たりなど、ZEBの段階や新築か既存の建築物かで変わってきます。詳しくは各執行団体のホームページをご覧ください。
まとめ
今回はZEBについて解説しました。ZEBは今後の日本のエネルギー問題で重要な取り組みとなります。世界的にも地球環境への配慮をした取り組みは高く評価されていますので、ZEBは建築業界だけではなく、他業界の経営者、消費者、投資家共に知っておきたい取り組みといえるでしょう。