地質DX|SfMとSVマップで地質調査

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中央開発株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:田中誠)は、地盤工学研究発表会(7月20日~22日、新潟縣新潟市)において、従来の地質調査にデジタル技術を導入する「地質DX」の取組として、SfMによる3Dスケッチの活用と、新しく考案した微地形表現図「SVマップ」を発表しました。

SfM(Structure from Motion)について

「SfM(Structure from Motion)」は、多視点の画像から、カメラの位置や姿勢と対象物の3次元形状を同時に推定する手法で、地形学や考古学などでも活用されていますが、地質調査での利用はあまり進んでいませんでした。

中央開発では、デジタルカメラ、スマホ、ドローンで撮影した写真・動画データのほか、既存の空中写真を用いて、標本サイズから地形データまで様々なスケールでSfMを活用しています。露頭スケールでの精度検証も行っており、誤差2~3%程度と高い精度で3次元点群化を行うことができます。
地質分野の現地踏査時や構造物の点検、災害調査などにSfMを活用することで、現地作業を軽減しながら、より詳細な3Dスケッチやデジタル空間内での計測といった成果を提供することができます。また、VR技術と組み合わせれば、遠隔地からも「現場感覚」を体感することができます。

  SfMで作成した3Dモデル(標本サイズから地形サイズまで)

  左:空中写真から復元した中国自動車道建設前の山崎断層付近の地形
  右:同じ位置の現在の地形(いずれも国土地理院の空中写真を使用)

SVマップについて

中央開発(株)は、レーザ測量結果から作成される微地形表現図として、「SVマップ」を新しく考案し、作成手法を公開しました。これは都市工学などで利用されている天空率(Sky View Factor)と傾斜量を用いて地形の凹凸を表現するマップです。

SVマップでは、開けた平坦地や緩傾斜地は白色から明るい赤色系、急傾斜地暗い赤色系、狭い谷底や崖下のように空が開けていないところは青色となります。これにより、がけ崩れのあとや地すべり特有の地形、崩壊した土砂がたまっている箇所、水が流れた痕跡などが図面上で判読しやすくなり、災害リスク箇所の抽出や評価の精度が向上するほか、地形学的な研究にもご利用いただけます。

このSVマップが誰でも簡単に作成できるよう、その作成手法・手順を中央開発の公式Webサイト上で公開しています。
 https://www.ckcnet.co.jp/technology/survey/geodx/

  荒砥沢地すべりのSVマップ鳥瞰図(国土地理院基盤地図情報 数値標高モデルを使用。以下同様)

  左:八甲田山  右:東京都区部

担当者コメント

SfMでは、スケッチや計測といった現地作業を軽減しつつ、これまでより詳細な3Dスケッチを提供できます。のり面の露頭やトレンチ、災害時の損傷部など、いずれ覆われて見えなくなるものや早急に復旧させなければならないものも、デジタルツインによって記録を残すことが可能です。

SVマップは、従来の地形図判読に比べて判読の根拠が直感的に分かりやすいものであり、判読者の経験に頼っていたリスク箇所の抽出や評価が、より分かりやすいものになります。事前の机上スタディにおいてSVマップを活用することにより、現地踏査の着眼点を整理し、現地で判読結果を確認することによって、効率の向上や、観察の抜け・漏れを防ぐことが期待できます。

「地質DX」を積極的に進めることによって、作業効率を向上させ、ライフワークバランスを改善するだけではなく、日々進化するお客様にニーズに応え、新たな価値を提供できると考えています。
(中央開発(株) 技術センター主任技師 上原)

地盤工学研究発表会でSVマップの作成方法を公開する様子

中央開発株式会社について

中央開発(株)は1946(昭和21)年、日本初の地盤コンサルタント企業として、戦後復興を目的にスタートした会社です。以来、国内における標準貫入試験の実用化を行うなど、地質調査のリーディングカンパニーとして、国内外のインフラ整備に関わるビッグプロジェクトに携わりながら、土木設計、情報解析、IoT機器を用いた防災コンサルティングなど建設コンサルタントとして事業領域を拡大して参りました。

近年では”地質DX”と銘打ったデジタルトランスフォーメーションを推進しています。点群データ活用やSfM処理技術、保有するボーリングデータを活用したAI分野での研究開発に取り組み、建設コンサルタント業界における新たな価値の創造に努めています。

詳しくは、中央開発(株)のWEBサイトをご覧ください。
 https://www.ckcnet.co.jp/

お問合せ窓口

 中央開発株式会社 経営企画センター[担当:瀬古亮介]
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