日本製鉄でドローン「IBIS」運用開始|狭所での高精度撮像可能
株式会社Liberaware(以下、リベラウェア)は、日本製鉄株式会社(以下、日本製鉄)と共同で狭所においても安定して飛行し高精度な撮像が可能な小型ドローン「IBIS」の実機適用についての検討を行い、本年7月より製鉄所内の大型構造設備にて運用開始しました。
概要
我が国では、製造業や各自治体での高度経済成長期に建設・整備されたプラントやインフラ設備において、設備老朽化や人手不足による整備作業負荷とコストの増大が顕在化しており、産業基盤のDXによる「機械化・遠隔化・自動化」の推進が喫緊の課題となっています。
製鉄所内には構造が複雑かつ大型の設備が多く存在し、設備点検をする際にも高所での作業が必要となるため、これまでもドローンを活用した点検を導入してまいりました。一方、複雑な構造の設備の狭い部位、場所においては、汎用のドローンでは複雑な障害物に対して小回りが利かない、気流がある場所での静止や自律飛行が難しいなど、製鉄所内での安定飛行や精度の良い撮像には限界がありました。
図1.IBIS外観と飛行状況撮像データ(イメージ)
今回、リベラウェアが開発した「IBIS」は、寸法20 cm、重量185 gと業界最小クラスの機体に、高度な姿勢制御機能を搭載しており、狭小で複雑な設備内部での安定飛行、高精度の撮像を実現する産業用小型ドローンです。また、取得した動画及び画像データから、点群などの三次元データ等も生成することができます。
「IBIS」を活用することにより、高所作業の削減や整備作業の負荷軽減が可能となり、さらに三次元データを用いて、設備保全の高度化を推進し、生産の安定化・効率化を図ります。
リベラウェアは、屋内点検分野に特化した小型ドローン「IBIS」の開発及び独自の画像編集解析を含む点検ソリューションを提供しています。狭所空間の巡視作業をドローンで代替することによって工数負担の削減にも貢献します。ドローンが撮影した映像を3次元化や点群に編集する技術や人工知能(AI)を活用した技術にも力を入れており、ドローン機体のハードウェアの技術と映像解析・編集のソフトウェアの技術を組み合わせたソリューションを提供できることも強みです。
日本製鉄は、中長期経営計画の4つの柱の一つに「デジタルトランスフォーメーション戦略の推進」を掲げ、データとデジタル技術を駆使して生産プロセスおよび業務プロセス改革に取り組むとともに、意思決定の迅速化、課題解決力の抜本的強化に資する対策を強力に推進してきております。また、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)にも合致した活動(「産業と技術革新の基盤をつくろう」)を通じて、これからも社会の発展に貢献していきます。