MLBスタジアム建築が示す、集合のアーキテクチャ|ボールパークという都市OS 

1992年、ボルティモアに誕生した一つの野球場が、アメリカ都市文化のアーキテクチャを書き換えた。カムデン・ヤーズ——それは単なるスポーツ施設ではなく、失われた都市の記憶をデジタル時代に再コンパイルする試みだった。

コンクリート・ドーナツからの脱却——建築様式のリブート

1960年代から80年代にかけて、アメリカのスポーツ施設は「多目的スタジアム」という名の画一化の波に呑まれていた。ヒューストンのアストロドーム、サンディエゴのジャック・マーフィー・スタジアム、ミネソタのメトロドーム——これらは「クッキーカッター・スタジアム」あるいは「コンクリート・ドーナツ」と揶揄される均質な構造物だった。

効率性と経済性を追求したこれらの施設は、野球とフットボールの両方を収容するという機能的要請のもと、フィールドの形状も座席配置も最適化されることなく、観客を競技から遠ざけた。それはまるで、単一のプラットフォームで異なるプロトコルを強制的に動作させようとするレガシーシステムのようだった。

1992年4月6日、ボルティモアにオープンした「オリオール・パーク・アット・カムデン・ヤーズ」は、この停滞したシステムに対する革命的なパッチだった。設計を手掛けたのは、後にPopulousとなるHOKスポーツ。彼らが提示したのは「レトロ・クラシック」という、20世紀初頭のジュエルボックス・パークの美学をモダンな機能性と融合させた新しいデザイン言語だった。

赤レンガのファサード、非対称なフィールド配置、鉄製トラス構造——これらはフェンウェイ・パークやエベッツ・フィールドといった1909年から1920年代の古典的球場へのオマージュだった。しかし、カムデン・ヤーズは単なるノスタルジアの産物ではない。スカイボックス、ワイドコンコース、最新のスコアボード技術といった現代的アメニティを組み込みながら、野球専用施設としての機能を最大化した。それは歴史的UIと現代的バックエンドを統合したハイブリッド・アーキテクチャだった。

Populousというデザインエンジン——建築界のモノポリー

カムデン・ヤーズの成功は、一つの建築事務所を業界の支配的プレイヤーへと押し上げた。1983年にHOKスポーツとして設立され、2009年に独立してPopulousとなったこの企業は、1992年から2012年までの20年間に、14のMLBスタジアムの主設計を担当し、4つの既存スタジアムの改修に関与した。現在、MLB30球団のうち20球場がPopulousの設計によるものだ。

これは単なる市場支配ではない。Populousは野球場建築という特殊領域において、事実上の標準規格を確立したのだ。クリーブランドのジェイコブス・フィールド(1994年)、デンバーのクアーズ・フィールド(1995年)、ピッツバーグのPNCパーク(2001年)、サンディエゴのペトコ・パーク(2004年)、そして2009年の新ヤンキー・スタジアム——これらすべてがカムデン・ヤーズのDNAを継承している。

興味深いのは、Populousの起源がカンザスシティという中西部の都市に根ざしていることだ。Kivett and Myersという事務所が設計したトルーマン・スポーツ・コンプレックス——これは多目的スタジアムから単一目的スタジアムへの移行期における先駆的プロジェクトだった。この系譜から、HNTB、Ellerbe Becket、360 Architectureといった複数のスポーツ建築事務所が派生している。カンザスシティは、いわば「スポーツ建築のシリコンバレー」なのである。

しかし、この圧倒的な市場支配はいかにして実現されたのか? そして、3,500以上のプロジェクト、総額600億ドル(約9兆3,000億円、1ドル155円換算)超の実績を持つこのグローバル企業は、どのような組織構造と人材によって駆動されているのか? その答えは、創業者たちのビジョンと、40年間にわたる組織的進化にある。

Populous_WEBサイト

We design the places where people love to be together. 意訳:人が集いたくなる… 続きを読む

Populousという組織——創業者たちのレガシーと新世代への継承

起源と独立——HOKからPopulousへ

Populousの歴史は1983年、HOKグループの一部門として設立された「HOKスポーツ・ファシリティーズ・グループ」に遡る。創設者の一人ジェリー・シンコフのもと、カンザスシティの8人の建築家から始まったこの部門は、1996年には185人まで成長した。

初期のHOKスポーツを率いたのは、建築家ロン・ラビンスキーだった。彼は「世界初のスポーツ施設専門建築家」と称される人物だ。1998年、HOKスポーツはロンドンとブリスベンに拠点を持つ国際設計事務所LOBB Partnershipと合併し、グローバル展開の基盤を築いた。

転機は2009年1月に訪れる。マネジメント・バイアウトにより、HOKスポーツは親会社から独立し、「Populous」(ラテン語で「人々で満ちた」の意)として再出発した。この独立は単なる企業分離ではなく、スポーツ・エンターテインメント建築に特化した独立企業としてのアイデンティティ確立を意味した。

2023年には、プライベート・エクイティ会社Providence Equity Partnersからの戦略的マイノリティ投資を受け入れ、さらなる成長段階に入った。そして2025年、航空・公共建築の名門Fentress Architectsを買収し、「Fentress Studios, a Populous Company」として事業領域を拡大している。

アール・サンティー——「ボールパークの教父」

Populousの顔として知られるのが、共同創業者アール・サンティー(1981年カンザス大学建築・環境デザイン学部卒)だ。1985年にHOKスポーツに入社した彼は、40年のキャリアを通じて「世界で最も称賛されるスポーツデザイナーの一人」となった。

サンティーの哲学は明確だ——「私はまず都市デザイナーであり、次に建築家である」。彼にとって、都市の文脈こそが建築の形を決定する。この思想は、ピッツバーグのPNCパーク、ミネアポリスのターゲット・フィールド、ニューヨークの新ヤンキー・スタジアム、アトランタのトゥルーイスト・パーク、マイアミのloanDepot parkといった60以上のプロジェクトに結実した。

彼の設計は「公式」に従わない。それぞれの都市、それぞれのコミュニティに固有の解を見出す。この姿勢が「ボールパークの教父(Godfather of Ballparks)」という異名を生んだ。Sports Business Journalは彼を「2004年最も影響力のあるスポーツ施設デザイン・開発人物」に選出し、2019年には「The Champions: Pioneers & Innovators in Sports Business」クラスに選ばれた。2024年末には、同誌のInfluence 125——過去25年間で最も影響力のあるスポーツビジネス人物——にも名を連ねている。

2025年3月31日まで、サンティーはPopulousのグローバルCEO兼会長を務めた。その後、エグゼクティブ・チェアマンに転じ、取締役会に残りながら次世代へのバトンタッチを完了した。

ブルース・ミラー——36年間の「ワン・ファーム・マン」

サンティーの後を継いでグローバルCEO兼会長に就任したのが、ブルース・ミラーだ。シンシナティ大学で建築学位を取得した直後にPopulousに採用されて以来、彼は36年間のキャリア全体を同じ事務所で過ごしてきた——文字通りの「ワン・ファーム・マン」だ。

ミラーの強みは、複雑なプロジェクトのマネジメント能力と技術的深度にある。彼が主導した代表作には、ミネアポリスのターゲット・フィールド(野球場として最も複雑で狭小な都市用地の一つ)、ミネソタ・ユナイテッドFCのアライアンツ・フィールド(MLSの観戦体験基準を引き上げたサッカー専用スタジアム)、ナッシュビルのジオディス・パークなどがある。

Sports Business Journalは早くから彼を「スポーツビジネスにおける最優秀若手人材」の一人に選出していた。2019年にアメリカ地域のマネージング・ディレクターに就任して以来、彼は一貫した成長を監督し、アメリカとカナダの11オフィスへの拡大を実現した。彼のリーダーシップのもと、Populousは2018年に過去最高の財務実績を記録し、4年間で33%の収益増加を達成した。

2025年3月31日の就任演説で、ミラーはこう述べた——「我々は単一のプラクティスとして運営される点で、他の多くの事務所とは異なる。グローバル企業でありながら、我々は共有された人間体験の創造を深く大切にしている。この基本的視点が、独自で持続可能かつビジョナリーなソリューションを通じて、建築環境を周辺コミュニティに統合することを可能にする」

グローバル・リーダーシップ構造——三大陸体制

現在のPopulousは、世界31オフィス、1,500人以上のスタッフを擁する。組織は三つの地域に分かれている。

  • アメリカ地域: ジョナサン・マリー(マネージング・ディレクター、2015年からニューヨークオフィス責任者)が統括。グローバル・ホールディングス取締役会メンバーでもあり、主要プロジェクトの設計リーダーを兼任。
  • EMEA地域(欧州・中東・アフリカ): レクターとして地域を統括。2015年からこの地域の拡大を牽引してきた。
  • APAC地域(アジア太平洋):チャード・ブレスリンが共同マネージング・ディレクターからAPACマネージング・ディレクターに昇格。取締役会に参加し、グローバル・ホールディングス取締役会メンバーでもある。

この構造が示すのは、Populousが単なる建築事務所ではなく、グローバルな知識共有システムとして機能しているということだ。カンザスシティ本社、ロンドン、ブリスベンの各地域本部は、時差を越えて24時間体制でプロジェクトを推進する。

企業文化としてのイノベーション

Populousの競争優位性は、単なる実績の蓄積にあるのではない。それは「イノベーションと起業家精神の文化」を組織の中核に据えてきたことにある。

2022年、Fast Company誌はPopulousを「建築部門で最も革新的な企業」に選出した。その理由は、シアトルのClimate Pledge Arena——NHL初のカーボンニュートラル会場——の実現だった。この栄誉は、技術革新だけでなく、持続可能性への組織的コミットメントを反映している。

2023年9月、Populousが設計したラスベガス・スフィアがU2のレジデンシーでオープンした。世界最大の球体構造であり、ラスベガス・バレーで最も高価なエンターテインメント施設であるこのプロジェクトは、Populousの設計領域がスポーツを超えて拡張していることを示した。

知的財産とデジタル変革——組織の次のフロンティア

現在のPopulousは、「デジタル変革」を戦略的優先事項としている。これは単なるツールの導入ではなく、運営システム全体のデジタル化、独自設計技術の開発、そしてAIの思慮深い活用を含む包括的変革だ。

ミラーが強調するのは、この変革が「設計の卓越性へのコミットメント」と不可分であるということだ。テクノロジーは目的ではなく、より良い設計を実現するための手段だ。

この組織的基盤の上に、次に見るコンピュテーショナル・デザインの実装が展開される。

しかし、Populousの真の競争優位性は、単なる設計の蓄積にあるのではない。それは、デジタル技術を建築プロセスの中核に据えた、コンピュテーショナル・デザインの先駆的実践にある。

コンピュテーショナル・デザインの実装——アルゴリズムが描く曲線美

BIMというデジタル基盤

Populousは2005年から、Rhinoceros 3Dとそのビジュアル・プログラミング環境であるGrasshopperを集中的に活用している。2010年に完成したダブリンのアビバ・スタジアムは、Populousにとって初の本格的なBIM(Building Information Modeling)プロジェクトだった。

このスタジアムの最大の制約は、隣接する住宅地に影を落としてはならないという条件だった。Populousの設計チームは、太陽軌道シミュレーションを何千回も実行し、パラメトリック・ジオメトリーを用いて、周辺環境への影響を最小化する外観形状を算出した。これは、従来の建築家の直感や手描きスケッチでは到達不可能な解だった。

BIMは単なる3Dモデリングツールではない。それは建築物の全ライフサイクルを通じて情報を統合するデータベースであり、設計、施工、運用の各フェーズが相互に参照可能な単一情報源(Single Source of Truth)を提供する。Populousは香港の啓徳スポーツパーク(2025年開業予定)において、800以上のBIMモデルを単一モデルに統合するという前例のない手法を開発した。これは大規模プロジェクトにおけるBIM管理の新しい方法論として業界標準になりつつある。

パラメトリック・デザインの威力

Grasshopperというビジュアル・プログラミング・ツールは、建築家がコードを書かずにアルゴリズミック・デザインを実装することを可能にした。Populousは独自のツールを開発し、5万席のスタジアムのすべての3D視界値(C-value)を1分以内に計算できるようにした——これはかつて3日間を要した作業だ。

パラメトリック・デザインの核心は「制約条件を満たしながら、無数のバリエーションを生成する」という点にある。観客の視線、音響特性、構造的安定性、環境負荷——これらすべてのパラメータを同時に最適化することで、人間の直感だけでは発見できないデザイン解を探索できる。

香港の啓徳スポーツパークでは、アルミニウムファサードのパネル数を47,000枚から27,000枚に削減し、鋼材使用量を40%カットした。これはパラメトリック最適化と製造業者との緊密な連携によって実現された。Populousの「ベニュー・プロダクティゼーション」——スタジアムの工業製品化——というビジョンは、建築と製造業の境界を曖昧にする試みだ。

サーキュラー・エコノミーとBIM

2021年に完成したシドニーのコムバンク・スタジアムは、LEED v4ゴールド認証を取得した世界初のスタジアムだ。このプロジェクトでは、BIMが「サーキュラー・エコノミー」(循環型経済)の実現に不可欠な役割を果たした。

BIMモデルは、建材のトラッキングと再利用計画を可能にする。さらに、建物の解体フェーズまでをシミュレーションし、エンド・オブ・ライフ(寿命終了時)における素材のリサイクル可能性を設計段階で評価できる。モジュラー設計と標準化されたコンポーネントによって、将来の分解・再構成が容易になる。

これは「クレイドル・トゥ・クレイドル」(ゆりかごからゆりかごへ)という設計思想の物理的実装だ。建築物は一度限りの消費財ではなく、素材のリポジトリとして機能し、次の建築プロジェクトへと受け継がれる。

デジタルツインという拡張現実

2020年、ロサンゼルスのSoFiスタジアムは、Populousの技術思想を体現する象徴的プロジェクトだ。このスタジアムは、アメリカの主要スポーツ施設として初めて「デジタルツイン」技術を本格導入した。

デジタルツインとは、物理的な建築物の仮想レプリカであり、IoTセンサー、カメラ、各種データストリームからリアルタイムで情報を収集し、動的に更新される生きたモデルだ。SoFiスタジアムのデジタルツインは、設備の状態、エネルギー消費、観客の動線、混雑状況をリアルタイムで可視化し、運営の最適化に活用されている。

Populousのデジタル・プロダクト責任者ジョナサン・ネルソンは、こう語る——「年間30回から220回しか使われない施設に数十億ドルを投資するなら、その投資価値を最大化しなければならない」。デジタルツインは、維持管理コストを70-80%削減できるという試算もある。

シミュレーションによって、セキュリティ手順の変更、スタッフ配置の最適化、コンコースの交通流れの改善といった運用上の意思決定を、実際の運営に影響を与えることなくテストできる。ピッツバーグのアクリシュア・スタジアムでは、4つのゲートにおける待機時間の不均衡を発見し、ピーク時には一部のゲートで30分近い待ち時間が発生していた問題を事前に解決した。

AIと機械学習の統合

次世代のスマートスタジアムは、デジタルツインにAIと機械学習を統合している。これらのシステムは、過去のデータパターンから観客動員の変動を予測し、天候予報やチーム成績に基づいてスタッフ配置を自動調整し、需要パターンに基づいてリアルタイムで価格戦略を最適化する。

Populousのプリンシパルでありアジア太平洋地域デジタル責任者のネイサン・トベックは、「データに富んだ環境は、設計プロセスへのフィードバックループを生成するために情報をクラウドソーシングできる」と述べる。数百万のデータポイントから得られる洞察は、次の設計に反映され、継続的な改善サイクルを生み出す。

グローバルなスマートスタジアム市場は、2022年から2028年にかけて年率22%で成長し、233億ドル(約3兆6,115億円)に達すると予測されている。これはもはや建築の話ではなく、データサイエンス、IoT、クラウドコンピューティング、AIが融合した新しい産業領域だ。

レトロ・モダンという変異——スタイルの多様化

2000年代に入ると、カムデン・ヤーズの影響を受けながらも、よりモダンな要素を取り入れた「レトロ・モダン」という亜種が登場する。

クリーブランドのプログレッシブ・フィールド(1994年)は、古典的なレトロ要素を維持しながらも、外観には白や灰色の塗装鋼材、砂岩や石灰岩を多用し、20世紀初頭の美学からは逸脱した。アリゾナのチェイス・フィールド(1998年)は開閉式ルーフとスイミングプールという、ジュエルボックス時代には存在しなかった要素を導入した。

2003年にオープンしたシンシナティのグレート・アメリカン・ボール・パークは、ガラスで覆われたファサードという、21世紀を志向するデザインを採用した。これは過去への回帰ではなく、未来への展望を示すシグナルだった。

オラクル・パーク——水辺のパラダイム

サンフランシスコのオラクル・パーク(2000年開業)は、レトロ・クラシックの文法を地理的文脈に適応させた傑作だ。

最も特徴的なのは、右翼フェンスの向こうに広がるマッコビー・コーブ——サンフランシスコ湾の一部が野球場の景観に統合されている。ここではホームランボールが海に着水する「スプラッシュ・ヒット」が発生し、ボートに乗った観客がそれを回収しようと待機する。これは野球という競技が、都市のウォーターフロントという自然環境と融合した稀有な例だ。

オラクル・パークは、ドジャー・スタジアム(1962年)以来初めて公的資金を使わずに建設されたMLB球場だ。総工費3億5700万ドル(約553億円)は、ネーミングライツとプレミアムシートのパッケージ販売によって賄われた。これは民間主導の都市開発モデルとしても画期的だった。

建築的には、HOKスポーツ(現Populous)がフェンウェイやリグリーからインスピレーションを得つつ、ウォーターフロントという立地に最適化したデザインを実現した。2つの122フィート(37.2m)の時計塔、鋼鉄とレンガの外観、アーチ型の窓——これらはレトロ・モダンの美学を体現している。

また、地震多発地帯であるサンフランシスコ湾岸の液状化しやすい土壌の上に建設するという技術的課題もあった。エンジニアは免震システムと深い杭基礎を実装し、1989年のロマ・プリータ地震後のカリフォルニア州建築基準に準拠した設計を行った。

現在、オラクル・パークの向かいには「ミッション・ロック」という複合開発が進行中だ。ジャイアンツとTishman Speyerの共同事業で、1,200戸の住宅(40%が低所得者向け)、140万平方フィート(13万㎡)のオフィス、20万平方フィート(1.9万㎡)の小売スペース、8エーカーの公園を含む28エーカーの再開発プロジェクトだ。野球場が都市の不動産開発を牽引するエンジンとなっている。

ラスベガス・スフィア時代の球場——未来への展望

2020年代に入り、野球場建築は新たな局面を迎えている。

2024年に公開されたラスベガスのアスレチックス新球場のデザインは、ビャルケ・インゲルス Group(BIG)とHNTBによる野心的なプロジェクトだ。33,000人収容のこの球場は、5枚の重なり合うペナント型のレイヤーで構成される開閉式ルーフを持ち、ストリップの景観を取り込みながら南からの直射日光を遮断する。外野には世界最大のケーブルネット・ガラス窓が設置され、18,000平方フィート(1,672㎡)のジャンボトロン——MLB最大級のスクリーン——が計画されている。

興味深いことに、BIGはPopulousと協業している。Populousが2023年に完成させたラスベガス・スフィア——世界最大の球体構造で最も高価なエンターテインメント施設——の経験が、野球場のデザインにもフィードバックされている可能性がある。

2012年、マイアミのマーリンズ・パーク(現loanDepot park)がオープンした時、USA Todayは「カムデン・ヤーズ時代の終焉」を示唆した。20年間続いたレトロスタイルの連続記録がついに途切れたのだ。新しいスタイルは「コンテンポラリー」と呼ばれ、その目的はスタジアム周辺の都市や地域の現代文化を反映することだった。レトロという概念そのものを拒否する姿勢だ。

建築批評としてのボールパーク——未完のプロジェクト

しかし、建築評論家の一部は、この30年間のレトロ回帰に批判的だ。マーク・ラムスターは問う——「なぜ我々は球場を設計する際に過去を見つめているのか? 新しい素材、新しい建設方法、新しい建築を追求しないのか?」

確かに、カムデン・ヤーズ以降の球場は、外観的には魅力的だが、ジュエルボックス時代のピーク——1909年のシャイブ・パーク(フィラデルフィア初の鉄筋コンクリート球場)のような建築的卓越性には到達していないという指摘もある。

それでも、これらの球場が都市再生の触媒として機能してきたことは否定できない。カムデン・ヤーズはボルティモアのインナーハーバー観光・エンターテインメント地区を拡大し、オラクル・パークはミッション・ベイという303エーカーの再開発地区の起点となった。

野球場は、もはや単なるスポーツ施設ではない。それは都市のオペレーティングシステムの一部であり、経済的エコシステムのハブであり、集合的記憶のインターフェースである。そして今、デジタルツインとIoTによって、それは「学習する建築」へと進化しつつある。

集合のアーキテクチャ

MLB球場の建築史は、集合のパラダイムが物理空間にどのように実装されるかを示している。

カムデン・ヤーズが示したのは、ノスタルジアと革新は相反しないということだ。過去の美学を参照しながら、現代の技術とニーズを統合することで、より深いエンゲージメントが生まれる。これはデジタルデザインにおけるスキューモーフィズム——現実世界の物体の外観を模倣したUIデザイン——にも通じる思想だ。

Populousという一企業が業界標準を確立したという事実は、プラットフォーム資本主義の縮図でもある。しかし同時に、それは専門知識の蓄積と洗練というポジティブな側面も持つ。そしてBIM、パラメトリック・デザイン、デジタルツインという計算技術の導入は、建築家の役割を「形態の創造者」から「アルゴリズムの設計者」へと拡張した。

そして今、我々は次のパラダイムシフトの入り口に立っている。レトロからコンテンポラリーへ。閉じた空間から環境統合型へ。静的な構造物からアダプティブな都市インフラへ。そして物理的建築から、物理とデジタルが融合したサイバーフィジカル・システムへ。

野球場は、4万人が同時に集まり、共通の体験を共有する稀有な場所だ。その建築は、我々がどのように集まり、どのように記憶し、どのように未来を想像するかを物語っている。デジタルツインによって、その建築は観客の行動を学習し、リアルタイムで最適化され、次の設計へとフィードバックされる。建築はもはや完成した時点で固定されるものではなく、継続的に進化するシステムとなった。

次の革新的な球場デザインが登場した時、カムデン・ヤーズが証明したように、すべてのチームがそれを模倣したくなるだろう。そしてその時、我々は再び、建築が文化を再定義する瞬間を目撃することになる。ただし今度は、その建築はアルゴリズムによって生成され、AIによって運営され、データによって絶えず書き換えられる——生きた情報システムとしての建築なのだ。