【2026年最新】建設事務とは?仕事内容・年収・資格・向いている人まで完全ガイド

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Category:コラム建築
Tag:建築

著者:上野 海

建設事務の仕事について、仕事内容が特殊そう・きつそう・将来性が不安と感じていないでしょうか。結論から言うと、建設事務は一般事務よりも専門性が高く、年収と安定性を両立しやすい職種です。

そこでこの記事では、建設事務の定義・仕事内容・他職種との違いをはじめ、年収事情や向いている人の特徴までわかりやすく解説します。

建設事務とは?一般事務と何が違うのか

建設事務は、ただの「デスクワーク」ではなく、建設現場と会社をつなぐ「司令塔」のような役割を持つ事務職です。

以下より、建設事務の役割や、一般事務との違いを解説します。

建設事務は建設業の「お金・人・工事」を支える専門事務職

建設事務とは、「工事に関わるすべての事務」をまとめて管理する仕事です。

まず建設業では、1つの工事ごとに、お金や人、工事の進み具合を正確に管理しなければなりません。たとえば、以下を管理できる人がいなければ、仕事がストップします。

  • 工事の見積書・請求書を作って「お金の管理」をする
  • 作業員の出勤表(出面)をまとめて「誰が働いたか」を記録する
  • 安全に働くための書類をそろえる
  • 現場から「材料が足りない」と言われたら発注する

つまり、建設事務は現場がスムーズに動けるように支える「縁の下の力持ち」です。事務作業という方法で、建設会社を支えます。

建設事務の働く場所と種類

建設事務はひとつの職業ですが、どこで働くかによって仕事内容と向き不向きが大きく変わります。

ここでは、3つのカテゴリに分けて事務作業の概要を紹介します。

建築設計事務・土木設計事務(設計寄り)

建築設計事務や土木設計事務は、設計事務所の設計部門で働く事務職です。

主な役割は、設計士が作成する図面や申請書類をサポートすることであり、以下のような業務が中心になります。

  • 図面データの管理・印刷
  • 建築確認申請などの書類作成
  • 役所への提出・やり取り
  • CADでの簡単な図面修正

現場に出ることはほとんどなく、オフィスでパソコン作業が中心であるため、「事務職として働きながら、建築の知識を身につけたい人」に向いています。求人によっては、CADが操作できることを必須条件にしている場合もあります。

現場事務(現場寄り)

現場事務は、工事現場の中にある事務所で働く建設事務です。

作業員や施工管理と一緒に、工事がスムーズに進むようサポートします。以下に、主な仕事をまとめました。

  • 作業員の出勤管理(出面表)
  • 安全書類・資格証の管理
  • 資材の納品チェック
  • 電話・来客対応
  • 近隣住民への対応補助

前述した設計事務とは違い、デスクワークよりも人と話すことが多い事務職です。現場の空気を感じながら働けるため、「オフィスにこもるのは苦手だけど、事務はやりたい」という人に向いています。

本社事務(建設会社の経営寄り)

本社事務は、経営全体のお金や契約を管理する事務職です。いわば「会社のお金を扱う中枢ポジション」であり、次のような業務を担当します。

  • 見積書・請求書の作成
  • 工事ごとの原価管理
  • 協力会社への支払い
  • 給与・社会保険の手続き
  • 決算・会計処理のサポート

会社の利益に直接関わる仕事であるため、事務職の中でも年収が高くなりやすいのがメリットです。「長く安定して働きたい」「将来は経理や管理職も目指したい」という人に向いています。

建設事務の仕事内容

建設事務の仕事は、「書類作り」だけではありません。

ここでは、実際の現場で建設事務が何をしているのかを4つに分けて説明します。

見積書・請求書・契約書の作成

建設事務の中心となる仕事が、お金に関わる書類作成です。

工事を始める前には見積書を作り、工事が進めば請求書を発行し、契約書で条件を管理します。それぞれ「いくらで、何を、いつまでにやるか」を決める重要な書類であり、ミスがあると会社の損失やトラブルにつながります。

そのため、Excelや専用システムを使い、金額・工事内容・支払条件を正確に入力し、現場や取引先と確認しながら進めなければなりません。建設会社によっては、上記の対応を「営業チーム」が担当する場合もあります。

安全書類・労務管理(出面・労災・資格管理)

建設事務では、次のポイントを確認し、最新の書類として管理しなければなりません。

  • 誰が現場で働いたか(出面表)
  • 保険に入っているか(労災)
  • 必要な資格を持っているか(資格一覧)

特に建設業では、作業員の安全と労働管理が「労働安全衛生法」で厳しく決められています。不備があれば工事を止められることもあるため、非常に重要な仕事です。

現場との連携(資材発注・近隣対応・納品管理)

建設事務は、工事現場と会社をつなぐ調整役を任せられるケースもあります。

たとえば、「材料が足りない」「この日に届くようにしてほしい」といった現場の要望を受け、資材の発注や納品日の調整を行います。また、工事中に近隣住民から問い合わせがあった場合の窓口になることも少なくありません。

現場がスムーズに動くよう、裏側で段取りを組むのが建設事務が担うひとつの役割です。

経理・総務(入出金・給与・社会保険)

建設事務は、会社のお金と社員を支える次のような仕事も担います。

  • 工事代金の入金確認
  • 協力会社への支払い
  • 社員の給与計算
  • 社会保険の手続き

建設業では工事ごとにお金が動くため、「どの工事にいくら使ったか」を正確に管理する必要があります。この経験を積むことで、経理や管理職へのキャリアアップにつながるのも大きな魅力です。

建設事務が「きつい」って本当?

結論から言うと、建設事務は「きつい」と言われる場合もありますが、それは仕事の責任が重いことが理由です。体力的にきつい仕事、というわけではありません。

建設業では、工事ごとに多くの書類やお金が動くため、見積や請求、労務管理などを間違えると現場や会社に大きな影響が出ます。そのため、締切や正確さへのプレッシャーがあり、「大変そう」と感じられやすい傾向です。

ただし、現場作業のように屋外で働いたり重い物を運んだりすることはなく、事務職としては安定して働きやすい環境でもあります。きちんと教育を行ってくれる建設会社を選べば、未経験でも無理なく続けられる仕事です。

建設事務の年収・給料は高い?

建設事務の年収は、建設会社によって変動するのが実情です。

また、本項ではひとつの目安として、企業求人や求人サイト、エージェントに公開されている情報をもとに、年収や給与の傾向をカテゴリ分けしました。おおよその年収イメージとして希望する額に見合うのかをチェックしてください。

  • 未経験・中小企業:年収250〜350万円前後
  • 正社員・成長企業:年収400〜600万円前後
  • 経験者・大手系:年収500万円以上

なお、国税庁が公開している「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、全業種の平均年収は478万円(男性587万円、女性333万円)です。未経験から建設事務になる場合は、収入は低めですが、キャリアアップや転職を組み合わせれば、平均以上の年収を目指せます。

建設事務に向いている人・向いていない人

建設事務は、パソコン作業だけでなく現場とのやり取りもあるため、性格や得意分野によって向き不向きがはっきり分かれる仕事です。

ここでは、向いている人・向いていない人の特徴を紹介します。自分に合っているかを知ることで、入社後のミスマッチを防げます。

建設事務に向いている人(5タイプ)

建設事務に向いているのは、次のようなタイプの人です。

  • 建設用語の理解が苦にならない人
  • 数字やお金の管理が苦にならない人
  • コツコツ正確に作業できる人
  • 人と話すのが嫌いではない人
  • 段取りを考えるのが得意な人
  • 安定した仕事を長く続けたい人

建設業の事務は、専門知識の理解が不可欠であるため、勉強に苦手意識を持たない人ほど向いています。主な業務は一般事務と同じであるため、専門分野で問題なく働けそうかを検討しましょう。

向いていない人(現場耐性・締切耐性など)

一方で、次のような人は建設事務をつらく感じやすい傾向があります。

  • 締切や期限に追われるのが苦手な人
  • ミスを指摘されると強いストレスを感じる人
  • 複数の業務を同時に進めるのが極端に苦手な人
  • 現場の騒がしさや電話対応が嫌な人

建設事務は「静かなオフィスで黙々と作業する事務」とは少し違い、スピード感と正確さの両方が求められます。一般事務よりも忙しさがあるため、ときには残業が発生するケースもあると理解しておきましょう。

建設事務は女性に向いている?

結論として、建設事務は女性が長く働きやすい職種のひとつです。

実際、現場事務や本社事務には女性スタッフが多く、産休・育休を取りながら続けている人も珍しくありません。特に2024年4月からは、働き方改革によって残業規制がかかるなど、ワークライフバランスを調整しやすくなっています。

さらに重い物を運ぶことはなく、パソコン作業・書類管理・調整業務が中心なので、体力に自信がなくても問題ありません。

また、建設業界は人手不足のため、事務職でもスキルがあれば評価されやすく、昇給しやすいというメリットもあります。「事務職で安定して働きたい」「手に職をつけたい」という女性にとって、建設事務は相性の良い仕事だと言えるでしょう。

建設事務で役立つ資格ランキング

建設事務は、資格がなくても始められる仕事ですが、資格を取得することで、採用確率や給料アップの可能性を高めやすくなります。

参考として、未経験や、年収アップを目指す方におすすめの資格をランキング形式で紹介します。

未経験者向け資格ベスト3(日商簿記・建設業経理・建築CAD)

建設事務をこれから始める人におすすめなのが、次の3つです。

  1. 日商簿記
  2. 建設業経理士
  3. 建築CAD検定

事務に必要なお金に関する知識は、日商簿記で学べます。建設業の請求書や経費処理、給与計算などにつながるため、建設事務を含む事務職全般で評価されるのが魅力です。

また建設業に特化した経理知識を身につけたい方は、日商簿記にプラスして建設業経理士を目指すのがおすすめです。合わせて、CADを操作できるとオペレーターとして活躍できます。

建築業経理士の資格に興味がある方は、以下の記事もチェックしてみてください▼

年収アップにつながる資格ベスト3(建設業経理士・CAD利用技術者・宅建)

ある程度経験を積んだ人が、さらに収入を伸ばすなら次の資格が効果的です。

  1. 建設業経理士(1級・2級)
  2. CAD利用技術者試験
  3. 宅地建物取引士(宅建)

1と2については、未経験と同じく重要な資格です。これらの資格には手当がつくケースもあるため、早めに取得しておくことをおすすめします。

また、不動産取引の国家資格で、建設会社の事務職でも重要ポジションを任されやすくなる強力な資格です。これらの資格を組み合わせることにより、「ただの事務」から「専門職」へステップアップできます。

建設事務についてよくある質問【FAQ】

建設業できつい職種のランキングは?

一般的にきついとされるのは、現場作業員、施工管理、設計、営業、建設事務の順です。建設事務は体力仕事がなく、屋内作業が中心であるため、建設業の中では比較的働きやすい職種だと言えます。

建設業の事務職の年収は?

建築業の事務職の年収は、未経験で250〜350万円程度、経験を積めば400〜500万円以上も目指せます。建設業経理士やCADなどのスキルがあれば、さらに高収入の求人に応募できます。

まとめ

建設事務は、工事のお金・人・書類を支える建設業に欠かせない専門事務職です。

一般事務よりも責任と専門性があり、その分、安定性と収入の両立がしやすい仕事でもあります。仕事内容・働く場所・資格の選び方を理解すれば、未経験からでも無理なくスタートできるため、新たなキャリアの選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。