大手ゼネコン・免制震装置メーカー・杭メーカーがRevit用の免制震装置と杭のファミリ公開|深堀り取材【毎月15・30日更新】

オートデスクでは、免制震装置メーカー3社(川金コアテック・センクシア・日鉄エンジニアリング)、既製杭メーカー1社(日本ヒューム)及び大手建設会社5社(大林組・鹿島・清水建設・大成建設・竹中工務店)の協力を受け、BIMソフトウェア「AutodeskRevit」向けに、構造用ファミリとして新たに構造系の免制震装置ファミリを共同整備・公開し、合わせて既製杭のファミリも整備した。

目次
設計者・メーカーが利用しやすいように入れ子構成の免制震装置及び既製杭ファミリを整備
今回、提供するファミリは、前述した大手免制震装置メーカー3社の協力を得て、免制震建物の設計においてニーズの高いオイルダンパー(制振、免震)、耐震ブレース、制振ダンパー、球面すべり支承、鋼製ダンパーを共同で整備しており、合わせて既製杭メーカー1社と既製コンクリート杭を整備している。
設計者は、免制震建物や既製杭を設計する際に、メーカーからカタログやCADデータを取り寄せて自らファミリを作成していた。メーカー提供の製品ファミリがある場合においても、製品ファミリでは設計符号の管理や型番の選択、配置の方法などが設計者の利用方法に合っておらず、設計フローに沿った使い方ができなかった。
それらの課題に対して、設計者・メーカーとも利用・整備がしやすいように入れ子の構成とした免制震装置及び既製杭ファミリを整備している。設計者が直接編集を行うホストファミリ(親ファミリ)には、設計符号や型番といった設計情報、メーカーが整備するネストされたファミリ(子ファミリ)には、装置や部材の詳細な情報が含まれている。
免制震装置のホストファミリ・ネストされたファミリ・既製杭のホストファミリが入手可能
従来、設計業務においては、設計事務所や建設会社が異なるソフトウェアや独自のルールによってデータを作成していることから、各部材のモデルに含まれる属性データが異なり、設計から生産・施工・維持管理などの各プロセスでデータの連携や活用ができないケースが多々あった。
そのような課題に対して、大林組、清水建設、大成建設が共同で「Revit」による設計施工の効率的な業務プロセスの構築を目指した「BIMSummit」を2016年に発足させ、その中に組織された「BIMSummit構造分科会」にて構造設計用「Revit」ファミリの整備に向けた活動を行ってきた。
「BIMSummit構造分科会」では、2018年12月から共同整備した鉄骨構造用ファミリの提供を開始し、2019年6月には鉄骨構造系部材ファミリの拡充を実施した。2020年7月には鹿島も参画して、RC構造系の柱・梁ファミリ、2022年2月には竹中工務店も参画して基礎・杭ファミリ、壁・床のパラメータを発表、2024年1月には中高層木造建築の普及・拡大に対応して木造のファミリを追加した。
加えて、2024年8月には、大手免震装置メーカー2社(オイレス工業・ブリヂストン)の協力で免震装置ファミリ(天然ゴム系積層ゴム・鉛プラグ入り積層ゴム・高減衰積層ゴム)を共同整備した。
免制震装置のホストファミリ(親ファミリ)及び順書の提供サイト
・免制震装置のホストファミリ(親ファミリ)及び順書の提供サイト
免制震装置のネストされたファミリ(子ファミリ)の提供サイト
・川金コアテック:TOP/商品一覧/BIMダウンロード
・センクシア:TOP/資料ダウンロード/CADデータ/BIMデータライブラリー/制震ダンパ
・日鉄エンジニアリング:TOP/免制震デバイス/NS-SSB
・TOP/免制震デバイス/免震NSUダンパー
・TOP/免制震デバイス/アンボンドブレース
既製杭のホストファミリ(親ファミリ)・ネストされたファミリ(子ファミリ)及び手順書の提供サイト
設計情報を生産工程で利用できるため複数組織間や業務プロセスを跨いだ生産性向上が期待
今回提供する免制震装置及び既製杭のファミリについても、これまでのファミリと同様に、生産・施工するために必要な設計データの種類について、異なる組織間でも円滑に利用できるように整備を行い、パラメータを使用した効率的な構造設計ができるようになっている。これによって設計情報を生産工程で利用できるようにし、複数の組織間や業務プロセスを跨いだ生産性向上が期待できる。
オートデスクと大手建設会社5社は、「Revit」向け構造用ファミリの国内整備を進め、JSCA(日本建築構造技術者協会)、BLCJ(BIMライブラリ技術研究組合)、bSJ(buildingSMARTJapan)などの構造系BIMを検討する団体へも提案、設計事務所や他の建設会社などにも利用を働きかけて業界全体の業務効率向上に取り組んでいく。
