国土交通省調査、建設大手50社の5月受注高が3か月連続増、民間工事が牽引で14.0%増

国土交通省が発表した「建設工事受注動態統計調査(大手50社調査)」の令和7年5月分によると、建設大手50社の受注総額は1兆823億円となり、前年同月と比較して14.0%の増加を記録しました。これで3か月連続の増加となり、建設業界の回復基調が続いています。

調査対象となった建設大手50社の受注動向を詳しく見ると、国内工事の受注額は1兆4億円(前年同月比11.1%増)となり、こちらも3か月連続で前年を上回る結果となりました。

民間工事が大幅増、6か月連続で前年超え

民間工事の受注額は7,964億円となり、前年同月比で19.2%の大幅な増加を示しました。民間工事の増加は6か月連続となっており、建設業界の成長を支える重要な要素となっています。

民間工事を業種別に分析すると、製造業向けは前年同月比23.5%減少した一方で、非製造業向けは44.7%と大幅に増加しました。

発注者別では、運輸業・郵便業、金融業・保険業、サービス業などの分野からの受注が増加しています。一方、製造業、卸売業・小売業、情報通信業などの分野では受注が減少する結果となりました。

工事種類別に見ると、建築工事と土木工事の両方で増加が確認されています。具体的には、事務所・庁舎、店舗、土木その他などの工事が増加した一方、工場・発電所、住宅、教育・研究・文化施設などの工事は減少しました。

公共工事は4か月連続で減少

公共工事の受注額は1,663億円となり、前年同月比で9.9%の減少を記録しました。公共工事の減少は4か月連続となっており、民間工事の好調さとは対照的な状況が続いています。

発注機関別では、国の機関からの受注が前年同月比21.8%減少した一方、地方の機関からの受注は88.5%の大幅な増加となりました。

国の機関では、独立行政法人からの受注が増加したものの、政府関連企業や国からの受注が減少しました。地方の機関では、地方公営企業、都道府県、地方その他からの受注が増加し、市区町村からの受注は減少しました。

工事種類別では、建築工事が増加する一方で土木工事が減少しています。土木その他、教育・研究・文化施設、上水道・下水道などの工事が増加した一方、治山・治水、道路、娯楽施設などの工事は減少しました。

海外工事は4か月ぶりに増加

海外工事の受注額は824億円となり、前年同月比で66.6%の大幅な増加を記録しました。海外工事の増加は4か月ぶりとなり、建設業界の国際展開が再び活発化していることがうかがえます。

大規模工事の受注状況

受注高が10億円以上の大規模工事(国内工事)の件数は145件となり、受注高は6,532億円でした。これは全体の受注高の65.3%を占めています。

内訳を見ると、民間工事が108件で5,313億円、公共工事が37件で1,219億円となっています。建築工事が88件で4,564億円、土木工事が57件で1,968億円という結果でした。

手持ち工事の状況

4月末時点での手持ち工事高は25兆8,165億円となり、前年同月比で10.4%の増加を記録しました。手持ち工事月数は17.8か月となっており、建設業界の中長期的な事業基盤が安定していることを示しています。

今後の見通し

建設業界は民間工事の好調さに支えられ、全体として堅調な成長を続けています。特に非製造業からの受注増加が顕著であり、サービス業や運輸業などの設備投資意欲の高まりが建設需要を押し上げています。

一方で、公共工事の減少傾向は続いており、国の機関からの受注減少が目立っています。今後は民間工事の動向が建設業界全体の成長を左右する重要な要素となりそうです。

出典情報

国土交通省リリース,建 設 工 事 受 注 動 態 統 計 調 査 報 告 ( 大 手 50 社 調 査 )( 令 和 7 年 5 月 分 ) に つ い て,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001896180.pdf