渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトとは|ゼネコンやBunkamura移転を解説

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「渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト」についてピックアップします。渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトは、2029年竣工予定の大規模再開発プロジェクトです。
休業中のBunkamuraザ・ミュージアムが移転することでも注目されており、文化の発信地としての価値創造が期待されています。本記事では建物概要だけでなく、建設ゼネコンやデザインについても詳しく解説します。
渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトとは
ここでは、渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト(Shibuya Upper West Project)の概要を解説します。ゼネコンや竣工時期など、まとめてチェックしておきましょう。
ゼネコン・設計
渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト(Shibuya Upper West Project)のゼネコンは、「大林・東急・西武建設共同企業体」となっています。そして設計は「日建設計」です。
2023年に閉店した東急百貨店跡地の再開発事業であり、2025年1月に着工開始しています。
アクセス
渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトの所在地は「東京都渋谷区道玄坂二丁目24番1号」です。
各駅からのアクセスは、「東急 東横線・田園都市線渋谷駅 / JR 渋谷駅 / 東京メトロ 銀座線・半蔵門線・副都心線渋谷駅 / 京王井の頭線 渋谷駅より徒歩約5分」となっています。
計画概要
渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトの計画概要は、下記の通りです。
- 事業主:東急株式会社、L Catterton Real Estate、株式会社東急百貨店
- 用途:リテール、ホテル、レジデンス、ミュージアム など
- 敷地面積:約13,675㎡ (※Bunkamura含む)
- 延床面積:約119,000㎡ (※Bunkamura含む)
- 階数:【新築部分】地上34階 地下4階、【Bunkamura】地上7階 地下2階
- 高さ:155.7m
竣工時期
渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトの竣工時期は、2029年7月31日の予定です。当初は2028年3月下旬とされていましたが、諸事情により変更となりました。
渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトのポイント
ここでは、渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトの再開発ポイントについて解説します。
渋谷文化村(Bunkamuraザ・ミュージアム)が拡大移転
渋谷の東急文化村は、1989年に日本初の大型複合文化施設として開館しました。以来、新しい文化や優れた芸術に出会えるカルチャープラットフォームとして多くの文化・芸術を発信してきました。
その中にある「Bunkamuraザ・ミュージアム」は渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトをきっかけに2023年より休館していますが、7階への拡大移転が予定されています。これまでBunkamuraザ・ミュージアムで開催してきた西洋近代美術、日本美術、写真、デザイン、ファッションなどの展覧会テーマを継承しつつ、現代アートなどを新しい切り口でキュレーションし、心を揺さぶる体験価値を創出します。
「The House Collective(ザ・ハウス・コレクティブ)」が日本初進出
渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトには、ホテルブランド「The House Collective(ザ・ハウス・コレクティブ)」が日本初進出します。
「Swire Hotels(スワイヤー・ホテルズ)」が展開し、クリエイターやエグゼクティブに幅広いファン層を持つコンテンポラリーラグジュアリーブランドが入ることで、Bunkamuraとのさらなる融合を推進していきます。
苔を活用した建設現場の仮囲い壁面緑化
渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトの工事では、建設現場の仮囲いに「苔シート」を活用した壁面緑化施策を実施しています。半永久的に二酸化炭素を固定する苔は、ヒートアイランド現象の緩和といった環境対策のマテリアルとして期待されています。
具体的には取り付け・取り外しが容易なマグネット式により、建設工程に合わせてフレキシブルなレイアウト変更に対応できる仕様です。50cmごとに苔を配置することで縞模様をつくり、各ラインの長さをなだらかにした街並みに調和するデザインで景観維持にも貢献しています。
苔には、-20~70℃の寒さ・暑さに耐え、自重の10倍もの水分を蓄えられるなど力強い生命力と順応性を併せ持つ「スナゴケ」が採用されています。基本的な水分供給は雨水で補い、潅水作業は週1回のみで済むのが特徴です。
Bunkamuraザ・ミュージアムの見どころ
ここでは、渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトの7階に移転予定の「Bunkamuraザ・ミュージアム」に着目し、詳しくご紹介します。
渋谷文化村の歴史・精神を継承
渋谷文化村は、1989年に開館した日本初の大型複合文化施設でした。新しい文化や優れた芸術に出会えるカルチャープラットフォームとして多くの文化・芸術を発信してきたという歴史があります。
渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトでの休館期間も「自由な発想で新たに挑戦するチャンス」として文化・芸術の創造と発信が続けられています。今後さらに次世代に文化をつないでいくために、学びや体験機会の創出にも積極的に取り組んでいく予定です。
「Snøhetta(スノヘッタ)」による建築デザイン
Bunkamuraザ・ミュージアムの建築デザインは、Snøhettaが担当します。世界9都市にスタジオを構える国際デザイン事務所であり、先進的な空間計画が強みです。
展示面積は約1,000㎡、展示室の一部は最大約6mの天井高で計画される予定です。複数の展示室から構成されるユニークな空間構成で、展示面積の拡大と最新の展示設備の導入により、幅広い分野の大型展覧会の開催が可能となります。
デザインコンセプトは、渋谷の脈動するエネルギーを象徴する「一筆書き」のイメージからインスピレーションを得ています。地上から天空へと優雅に螺旋を描きながら上昇する、渋谷の躍動感と興奮を表現しているのが特徴です。
具体的には様々なプログラムやコミュニティを一筆書きのようにつなぎ、ミュージアムにおいてもリボンのような壁が複数の展示室を蛇行しながら、アートを愛する人々を誘う空間構成です。オープンプランのデザインは、多様なニーズに応える柔軟な展示システムに支えられ、あらゆる芸術表現やパフォーマンスを可能にします。
「Tokyo’s Urban Retreat」のコンセプト
Bunkamuraザ・ミュージアムも含まれる渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトでは、キーコンセプトとして「Tokyo’s Urban Retreat」が掲げられています。具体的には渋谷の喧騒から離れ、落ち着きを取り戻して創造的な発見が出来る都心のオアシスとしての役割が期待されています。
そもそも渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトの所在地は、渋谷スクランブル交差点・高級住宅地の松濤・富ヶ谷、上原、駒場等の西側エリアが含まれるのが特徴です。中でも松濤は明治時代以降、文化人や要人が居を構える住宅街となり、また現在では周辺にBunkamura、松濤美術館、戸栗美術館といった文化施設を擁する文化の集積地となっています。
ミュージアムの移転・開業をきっかけとしてBunkamuraとのさらなる融合が推進され、新たな大型文化複合拠点として包括的なウェルビーイングを体験できる空間創造にもつながるでしょう。
まとめ
渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトは2029年開業予定の大規模複合施設で、Bunkamuraザ・ミュージアムが移転することでも注目されています。業界全体の人手不足による工期の遅れが懸念されるものの、文化の発信地としての価値創造が期待されており、完成が待たれます。